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燃費よすぎて困る… LPGスタンド減 どう維持? タクシー燃料入れられない問題

  • 2020年11月7日
  • 乗りものニュース

LPガスのスタンドが減り、タクシーが燃料を入れられなくなるという現象が起こっています。燃費の安さからタクシーで広まったLPガスですが、クルマの燃費がよくなるにつれ販売量が減少する悪循環に。どう対策するのでしょうか。

減少し続けているLPGスタンド

 タクシーの燃料として広く普及しているLPガス(液化石油ガス、以下LPG)、これを取り扱うスタンドが減少し、タクシーが燃料を入れられなくなるということが、地方を中心に起こっています。

 LPGは家庭用ではプロパンガス、自動車用はオートガスなどとも呼ばれます。ガソリンに比べて4割ほど安いとされ、タクシーでは昭和30年代から広く使われてきました。通常のガソリンスタンドでLPGを扱うことは稀ですが、トヨタ関係者によれば、「タクシーが走っている地域にはたいていスタンドがある」とのこと。また、自前の供給設備を用意しているタクシー事業者もあります。

 しかし、たとえば2020年7月の豪雨で被災した熊本県の球磨地域では、人吉市にあった地域唯一のスタンドが8月に閉店し、往復2時間かけて宮崎県内のスタンドでガスを入れているタクシーもあるそうです(産経新聞、2020年10月27日)。同様の問題は福井県などでも顕在化しています。全国LPガス協会によると、そもそもLPGスタンドの数は、2016年までの10年間でも約14%減少しているそうです。

 理由として、タクシーの燃費が良くなりすぎた、ということが挙げられます。全国LPガス協会によると、たとえば旧来のLPGタクシーが3日から4日に1回の充填だったのに対し、LPGハイブリッドに改造した「プリウス」タクシーの場合だと1週間に1回程度になることもあるといいます。

 もうひとつは、LPG自動車自体の減少です。タクシーでは2015(平成27)年、法令で定められていた車両に関する規定が撤廃され、どのような車種でもタクシーとして使えるようになりました。こうしたこともあり、LPG自動車の台数は2016(平成28)年までの10年で約28%減、LPGの販売量は約37%も減っているのです。

「ジャパンタクシーを一般にも売って」業界の訴え

 2018年に登場したトヨタの次世代型タクシー車両「ジャパンタクシー(JPN TAXI)」は、ガソリンではなくLPGハイブリッドが採用されています。全国LPガス協会によると、これには、タクシー事業者の強い要望があったとのこと。

 当然ながら、ハイブリッドではない従来のセダン型タクシー車両に比べると、ジャパンタクシーの燃費は大幅に向上しており、同車が普及すればするほど、LPGの販売量が減少するのは明らか。LPGスタンドをどのように維持していくかが、業界の課題になっています。

 LPGスタンドを維持するひとつの方法として挙げられているのが、取り扱う燃料の多様化です。全国LPガス協会が経済産業省の研究会で提出した資料では、LPガスは改質器を通して水素の供給も可能といい、欧州では様々な種類のエネルギーを供給できる複合型設備もあるとのこと。

 しかしながら、技術的ハードルは高く、実際にエネルギー供給のマルチ化を果たしたスタンドは、2020年現在、国内には存在しないといいます。またLPGスタンドは、ガソリンスタンドのようなセルフ化、無人化といったことも、消防法令で認可されていません。

 では、どうやってLPGスタンドを維持していくのでしょうか。

 全国LPガス協会は自動車メーカーなどに「LPGの車種を増やしてほしい」と訴えているそうです。「ジャパンタクシーなどは台数も増えてきましたので、タクシー用途ではなく一般向けにも売ってほしいとお願いしています」とのこと。タクシー以外では、たとえばガスボンベを運ぶトラックなどがLPGを使用しているといいます。また乗用車でも、ガソリンからLPGへ改造する事例もあるとのことです。

 スタンドの減少や過疎化は、通常のガソリンスタンドも同じ課題を抱えていますが、全国LPガス協会は、「業界としても(LPGスタンドの減少を)食い止めたい」と話します。

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