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「徘徊型兵器」って何? コスパ最強「自爆型ドローン」でハイテク兵器不要時代到来か

  • 2020年10月10日
  • 乗りものニュース

「高価なハイテク兵器が飛び交う」という現代戦争観はもはや古いかもしれません。無人航空兵器、いわゆるドローン兵器は比較的安価なうえ戦車も撃退できるとなればコスパ最強、使わない手はないことでしょう。その最新事情を追います。

戦場カメラマン不要時代

 モニター画面中央に映る、レーダーを回転させた対空ミサイル車両。四角の線に囲まれて嫌な予感がするのもつかの間、次の瞬間、爆炎に包まれました。お次は地上の様子、ビーンという小型レシプロエンジン特有のカン高い排気音が近づいてきますが姿は捉えられず、付近の人達が騒いでいます。しばらくすると機銃の連射音が聞こえ、次の瞬間、画面は爆風で揺さぶられて――このような動画がSNS上に次々とアップされています。

 2020年9月27日、旧ソ連カフカス(コーカサス)地域のアルメニア軍とアゼルバイジャン軍が戦闘状態に入りました。その戦闘の様子は両国の政府機関公式から民間人まで、色々な人がSNS上に投稿しています。今回の戦闘の投稿画像で特徴に思うのは、無人航空機(UAV、いわゆるドローン)による空撮が多いことです。

 特にアゼルバイジャン軍は、積極的に空撮画像を投稿しています。攻撃の様子を撮影するには攻撃用と撮影用の少なくとも2機以上のドローンが必要ですから、相当数が投入されていることがうかがえます。

 安価で使いやすいドローンは世界中に拡散しています。アルメニア軍やアゼルバイジャン軍がドローンをどのくらい保有しているのか正確な情報はありません。偵察監視だけでなく、戦車などの目標に突っ込んでいく画像も見られ、それらは自ら爆薬を搭載して目標を攻撃する自爆型ドローンです。攻撃される側からの動画では、自爆型ドローンのカン高いエンジン排気音に恐怖を掻き立てられます。

複雑高価なハイテク兵器不要時代は来るのか?

 自ら爆薬を搭載して目標を攻撃する自爆型ドローンは「徘徊型兵器」と呼ばれます。従来の画像誘導式対地ミサイルと似ているかもしれませんが、使い方は違います。徘徊型兵器は文字どおり一定時間目標地域上空を飛行(徘徊)し、高価値目標を発見すると操縦者からの指令で目標に突入する、という使い方をします。従来のミサイルのように発射時に目標を発見している必要はなく、目標が無かった場合には帰投できる機種もあります。

 画像誘導式対地ミサイルを搭載する攻撃機型ドローンもありますが、機体は大型でシステムはずっと複雑高価になります。徘徊型兵器は安価で、操縦するのも特別な技能は必要ありませんし、制御センターのような地上支援設備もありません。

 現代戦は複雑高価なハイテク兵器をたくさん揃えた方が有利だとされてきましたが、徘徊型兵器はこの定義に一石を投じるゲームチェンジャーになるかもしれません。もっとも、誰でも簡単に飛ばせるということ自体、ハイテクだといえるかもしれません。

気軽に簡単に飛ばせて戦車も壊せしかも安価…コスパ最強か

 代表的な徘徊型兵器は、敵の対空レーダーを攻撃する目的で作られたイスラエル製の「ハーピー」で、今回の戦闘にもアゼルバイジャン軍が改良型の「ハーピー2」(別名「ハロップ」)を投入しているようです。

「ハーピー2」は全長2.5m、翼長3m、6時間の飛行が可能で航続距離は1000kmとされ、小規模部隊でも運用でき、いくつかの国が採用しています。搭載している爆薬は23kgであり、主力戦車のような硬目標にも致命傷を与えられます。

「カミカゼドローン」は対策できるのか

 視界の狭い市街地戦闘に偵察用小型ドローンを使うことも一般化してきましたが、敵を見つけても攻撃するには別の手段を講じなければなりませんでした。敵がそこに隠れているのが分かっているのに、直接これを攻撃できないというイライラを解消してくれる徘徊型兵器が、少人数の歩兵戦闘で使えるポータブルなイスラエル製「ファイアフライ」です。

 2基の電動モーターで駆動する折り畳み式二重反転ローターで飛翔し、制御は軍標準規格の双方向データーリンクタブレットで簡単に行え、個人でバックパックに入れて携行できます。バッテリーを2個搭載する偵察タイプと、バッテリー1個と爆薬を搭載する自爆攻撃タイプが選択できます。

 収納時は縦横80mm、長さ400mm、重量3kgの筒状にパッケージされており、建物の裏や路地をのぞきたいときに、バックパックからさっと取り出して飛ばせる気軽さで使用できます。搭載炸薬量は350gであり、手りゅう弾と同等レベルです。

 対抗する近接防空システムも進歩してきており、ドローンも無敵無双状態ではありませんが、いまの所ドローンは安価であり、対費用効果からドローンの方が有利なようです。「ファイアフライ」のように、翼をもった手りゅう弾がとんでもない方向から飛んで来たら対処しようがありません。

 各国の軍やメーカーは新型ドローン開発とともに対ドローン対策にも知恵を絞っており、「矛盾」のようにシーソーゲームは続いています。地上部隊は常に上空から見られていることを意識し空を見上げます。あるアメリカ陸軍将校はこれを「一個大隊の肩こり」と表現しました。

 徘徊型兵器による攻撃を、いくつかの海外メディアは「ドローンによるカミカゼ攻撃」と呼称しています。旧日本軍の神風特別攻撃隊が出撃したのは70年以上昔のことですが、「カミカゼ」が固有名詞としてグローバル化していることに日本人としては複雑な思いを抱かざるを得ません。

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