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猛暑東京、でも水不足が問題化しないのは?都が力入れる「中水道」と再生水

  • 2018年8月11日
  • THE PAGE

 今年7月は、35度を超える日が続く記録的な猛暑になりました。テレビなどでも水分補給をはじめとする熱中症への注意喚起が盛んにおこなわれています。また、学校の教室内にクーラーを設置することも活発に議論されました。

 あまりの猛暑で外出を控えた人もたくさんいたと思いますが、2020年の同時期には東京五輪が開催されます。とてもスポーツに適しているとは言えない灼熱の東京ですが、小池百合子都知事は暑さ対策として「打ち水」を積極的にアピールしています。打ち水で使われている水は風呂の残り湯を使うことが推奨されています。

 風呂の残り湯を使おうと呼びかけている理由として、水を無駄遣いしないという意図があります。最近では、都のイベントでも打ち水が実施されていますが、その際には“再生水”と呼ばれる水が使用されます。

 あまり馴染みのない再生水。一体、水道の蛇口から出てくる水と何が違うのでしょうか?

渇水対策を契機に導入

 私たちが生きていくのに、水は必要不可欠な資源です。普段から何気なく使っている水道の蛇口から出てくる水は、一般的に上水道と呼ばれます。他方、使い終わって下水処理場へと流される水は下水と呼ばれます。

 下水処理場ではごみなどを取り除くなどして水をきれいに処理し、再び水を河川に放流します。河川から海に戻った水は、いずれ蒸発。再び雨になって大地に降り注ぎ、それが浄水場などを経て私たちの家庭に届けられているのです。

 一連のサイクルを見ると、上水道と下水道は車の両輪のような関係です。こうした上水道・下水道といった水インフラのシステムにくわえて、近年では中水道と呼ばれるインフラが整備されるようになっています。

「本来、家庭などで使用された水道水は下水処理された後に河川に戻されます。しかし、再び浄水場に戻ってくるまでにはタイムラグがあり、何日も雨が降らなければ水不足になってしまいます。タイムラグをなくすとともに、水資源を有効的に活用するべく考え出されたのが中水道です」と話すのは、東京都下水道局計画調整部計画課の担当者です。

 中水道は、渇水対策を契機として導入されてきました。大規模マンションの屋上などに設置された雨水の貯水タンクを使った循環システムやオフィス街に整備された配水池・配水ポンプなどの設備が、それらにあたります。また、小池都知事が推奨する風呂の残り湯を使用することも中水道の一種といえるでしょう。

水の有効利用目的も。現在都内の供給件数は180件以上

 そうした中水道の中で、特に都が力を入れているのが下水処理場で高度処理された“再生水”と呼ばれるものです。

 1984(昭和59)年、都は新宿区にある落合水再生センターで再生水供給システムを初導入し、公園の散水用水・親水用水として使用しました。また、付近の河川に再生水を送水することで清流を復活させるという環境用水としても活用されています。

「落合水再生センターで再生水の供給を開始した後、有明水再生センターでも1996年から供給を開始しました。さらに、その翌年には芝浦水再生センターでも再生水の供給を開始しています。現在、都内で再生水を供給している下水処理場は3カ所だけですが、年々、再生水は供給エリアと供給量を拡大させています。現在、供給面積が1000ヘクタール以上、供給件数は180件以上にまで増加しました」(同)

 都は、2003年に「水の有効利用促進要綱」を制定。同要綱では、再生水の水質基準を厳密に定めています。こうした厳格な水質基準を設けているので、再生水は決して汚い水ではありません。

 それでも、“使用済”の水のため、「飲用水として、上水道に使用されることはありません」(同)

 水の有効活用という観点から、東京都は「述べ床面積1万平方メートル以上の建築物もしくは開発面積3000平方メートル以上の開発事業」に中水道を導入するよう要請しています。しかし、これらはあくまでもお願いであり、法的に義務化されているわけではありません。

 それでも、都が中水道の整備を奨励している理由は、貴重な飲用水をいたずらに消費しないという考えがあるからです。

 今般、都内で渇水による水不足が問題化することはありません。しかし、災害で水不足になる可能性はあります。そうした緊急事態のためにも水資源の有効利用は日常から備えておく必要があるのです。

 小川裕夫=フリーランスライター

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