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東京へのふるさと納税額大きく増加。それでも制度に一貫して反対する理由

  • 2018年7月12日
  • THE PAGE

 2008年に導入されたふるさと納税は、創設から10年が経過。今では、広く知られるようになっています。制度開始直後、ふるさと納税の返礼品は寄付額の3割が相場でした。しかし、少子高齢化で財源が先細りする市町村では、新たな財源としてふるさと納税を集めることに躍起になっており、豪華な返礼品でふるさと納税を募るようになりました。

 そんな豪華な返礼品が話題を呼び、2016年前後からふるさと納税ブームが巻き起こります。その結果、自治体間でのふるさと納税競争が過熱化し、本来の趣旨からは逸脱した税源の奪い合いといった様相を呈するようになりました。こうした状況を憂慮した総務省は、2017年度に豪華な返礼品を控えるよう各自治体に通知しました。これにより、高級家電や高級家具といった豪華な返礼品は姿を消しました。

 こうした豪華な返礼品が消えてから約1年。7月6日に総務省が2017年度におけるふるさと納税の状況を公表しました。豪華な返礼品が抑制されたことで、過熱したふるさと納税ブームは沈静化し、納税額の減少も予想されました。しかし、予想に反して2017年度の寄付総額は約3653億1700万円。前年度と比べ、約1.3倍増加しました。

 一時期に比べると伸び率は鈍化しましたが、それでも着実に寄付が伸びています。新たな局面に突入したふるさと納税ですが、まだ課題は残っています。

都と都内市区町村は一貫してふるさと納税反対

 近年、ふるさと納税は広く一般にも定着しています。しかし、そんなふるさと納税に頑なに反対してきたのが東京都です。ふるさと納税が創設された当初から、都や都内の市区町村は一貫して反対してきました。

 近年では、文京区が困窮家庭を支援する“こども宅食事業”、世田谷区がかつて区内を走っていた“玉電車両の保存事業”、目黒区が目黒川など区内で桜の名所になっている“桜の植え替えと保存事業”といったテーマ型のふるさと納税を打ち出し、ブランド牛や海産物といった豪華な返礼品に対抗しています。これまで税を収奪される側だった都や都内の市区町村でも、ふるさと納税へのスタンスには少しずつ変化が見られます。

 それでも、都はふるさと納税に対し、反対のスタンスを変えていません。

 「都内の市区町村には、税の流出が多額になることに危機感を抱き、テーマ型のふるさと納税を創設して対抗している自治体はあります。そうした個々の取り組みに都がとやかく言うことはありませんが、ふるさと納税が応益原則に反していることは明らかです。だから、一貫して反対を表明しています」と都主税局税制部税制課の担当者は強調します。

周知進むことで寄付額も流出額も増加

 2017年度に都および都内の市区町村に寄付されたふるさと納税の総額は、約22億6000万円。2016年度のふるさと納税総額は、約8億7000万円です。1年間で2.5倍近くも寄付額が増加しています。

 この数字の増加だけを見ると、都や都内の市区町村にとっても制度は追い風になってきているように見えます。それでも、ふるさと納税に反対するのはなぜでしょうか?

 「寄付総額だけを見れば、確かに今年度は大幅に増加しています。その一方、ふるさと納税を利用したことによる控除額を見ると、2016年度が約263億1000万円。2017年度は約466億2000万円と、1年間で200億円以上も増加しています。東京に入ってくるふるさと納税が増えても、都外に流出したふるさと納税はそれ以上に増加しているのです」(同)

 ふるさと納税が広く周知されたことで、都および都内の市区町村ではふるさと納税で入ってくる額が増えても、それをさらに大きく上回る税額が流出するという結果となり、皮肉にも深刻さは増しているのです。

地方では豪華返礼品で寄付集めるスタンス改める自治体も

 一方、地方に目を向けると、豪華な返礼品で寄付を募るスタンスを改めて、本来の趣旨「ふるさとを応援する」という健全なふるさと納税のあり方を模索する市町村も出てきています。

 また、地震や豪雨といった災害で被災した市町村を支援するためにふるさと納税を活用する寄付者も増えています。先日に起きた西日本の豪雨災害でも、被災自治体をふるさと納税で支援する動きが見られます。

 ふるさと納税を巡る自治体間の課題は、完全に解決されたわけではありません。すべての自治体が納得できる制度設計は難しいかもしれませんが、ふるさと納税で新たな潮流が生まれていることも事実です。

 小川裕夫=フリーランスライター

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