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生まれ変わった警報は「本当にやばい時のシグナル」、豪雨災害から身を守る

  • 2018年6月14日
  • THE PAGE

 6〜10月は多くの地域で出水期と呼ばれ、集中豪雨や台風などによる洪水や土砂災害が起きやすい時期だ。福岡県朝倉市などで42人の死者・行方不明者を出した2017年7月の「九州北部豪雨」、岩手県岩泉町の高齢者グループホームの入所者9人全員が死亡した2016年8月の「台風10号豪雨災害」など、中小河川であっても多くの命を奪うような洪水もたびたび発生している。

 このような豪雨災害から身を守るうえで役立つのが気象庁が発表する各種の情報だ。しかし、ホームページを見てもいまいちどこに必要な情報があるのか分かりづらい。そこで、気象庁・気象防災情報調整室の高木康伸調査官に、洪水などに関する情報の見方や適切な行動について聞いた。

警報発表の仕組みを抜本的に改善

── 昨年から大雨洪水警報が生まれ変わったと聞きました。

高木調査官 実は、以前は大雨警報や洪水警報が出ても、実際には重大な災害までには至らない、いわゆる「空振り」のイメージを持たれがちでした。しかし、それでは「警報」の効果が半減してしまうため、警報発表の仕組みを2017年7月に抜本的に改善しました。従来は雨量そのもので警報を発表するかどうかを判断していましたが、これを都市化率や地質のデータも駆使して、雨水が地表面や地中を通って川に集まるといったプロセスも計算して判断するように改善しました。これによって警報と実際の災害の発生との結びつきが非常に強くなりました。今、警報は「本当にやばい時のシグナル」になったと考えてください。

── 地図上でどこが危ないかを見ることもできるようになったそうですね。

高木調査官 キーワードは「大雨・洪水警報の危険度分布」です。気象庁ホームページのトップページに「この雨大丈夫?そんな時 危険度分布」と書かれたバナーがあります。これをクリックすると、生まれ変わった洪水警報を「見える化」した「洪水警報の危険度分布(https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/flood.html)」のページに飛ぶことができます。拡大していくと、国内の人々の生活圏にある約20000の河川の全てを表示することができ、この川の色が危険度に応じて変わります。通常は水色ですが、危険度が高まっていくと、黄(注意)→赤(警戒)→うす紫(非常に危険)→濃い紫(極めて危険)の順に川の色が変化していくのです。

── それでは、それぞれの色の時にどのような行動を取ったらいいのでしょうか。

高木調査官 黄色の時は、こまめに情報を見て、状況が変わらないかどうかを確認しましょう。「心の準備」の段階ですね。赤になったら、いつでも避難に移れるように準備をして、準備が整い次第、速やかに避難を開始することが望まれます。うす紫や濃い紫の時は、重大な災害の恐れが高まっていて、一部では災害がすでに発生しつつある段階です。危険な場所が出始めている可能性もあるので、川の水位計などの現況も確認し、周囲の状況に気を配りながら、避難など命を守る行動を取ってください。ただし、濃い紫の場合は、重大な災害がすでに発生している可能性が高く、避難するのにも相当な危険を伴う深刻な状況です。この濃い紫の段階で行動を取っていては命が助からない可能性がありますので、遅くともうす紫の段階までに安全を確保してください。

── 自分の住んでいる場所や職場の近くの川の色に注目すれば良いわけですね。ちなみに、注意や警戒、危険というのは何年に1度ぐらいの頻度で起きるのでしょうか。

高木調査官 赤は過去データから重大な洪水災害となりうる水準、これが警報が出る基準で、30年に1度ぐらいの状況です。この基準をまもなく超えそうというときに洪水警報が出るのですが、都道府県の河川管理者などに聞くと「実際にその基準を超えたら、あちこちの中小河川で氾濫が発生してもおかしくないような恐ろしいレベル」との答えが返ってきます。紫はさらに1割程度高い値で50〜60年に1度の水準です。その基準を超えそうだという時はうす紫、すでに超えてしまっている時は濃い紫です。濃い紫の場合は、すでに川からあふれた水で道路冠水などが起き、避難そのものが不可能になっている状況も十分考えられます。

── 他の注意点はありますか。

高木調査官 洪水警報の危険度分布のページを見て、今自分がいる場所の近くの川が水色や黄色でも、すぐに安心せず、上流がどうなっているかを見てください。もし上流でうす紫や濃い紫が出ていると、これが下流に移動してくる傾向があります。川の場合は上流の色を見て、準備、行動をすることを心掛けてください。あとは、もし雨が降っている時に「ちょっと降り方がいつもと違うかも」「雨ってこんなに強く降るものだったかな」などと感じることがあれば、危険度分布を開いてください。早めに情報を入手することで、余裕を持って行動できるようになると思います。

土砂災害には「土砂災害警戒判定メッシュ情報」を

── 豪雨の場合、場所によっては土砂災害も怖いですよね。

高木調査官 洪水警報の危険度分布と同じように土砂災害の危険度を見える化した「土砂災害警戒判定メッシュ情報(https://www.jma.go.jp/jp/doshamesh/index.html)」というものがあります。近くにがけや渓流があるなど、都道府県によって土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域に指定された場所に住む人は、ここも注意して見てください。土砂災害の危険度を5段階に判定した結果が、地図上に縦横5キロごとに色分け表示されます。黄(注意)→赤(警戒)→うす紫(非常に危険)→濃い紫(極めて危険)の順は変わりません。遅くとも赤の段階で、高齢者など避難に時間がかかる人は避難を開始し、その他の人も避難準備ができ次第、避難を開始し、濃い紫になる前のうす紫の段階で安全な場所への避難を完了しておいてください。洪水、土砂災害とも「赤やうす紫になったけど、これまで大丈夫だったから今回も大丈夫だろう」などと決して思わないようにしてください。

飯田和樹・ライター/ジャーナリスト(自然災害・防災)

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