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平昌パラ五輪開幕。日本の注目選手は? 成田3兄弟の末っ子、緑夢も挑戦

  • 2018年3月10日
  • THE PAGE

 障がいのあるアスリートにとって4年に1度の世界最高峰の舞台、パラリンピック冬季大会が3月9日、韓国平昌(ピョンチャン)で開幕した。12回目を数える冬季大会としては過去最多となる49の国などから約570選手が参加、10日間、6競技80種目で鎬を削る。

 大会スローガンはPassion. Connected.(ひとつになった情熱)。史上最多メダルに沸いたオリンピックチームの勢いに乗ってパラアスリートたちの躍動にも期待だ。

 日本から出場するのは車いすカーリングを除く、アルペンスキー、スノーボード、クロスカントリースキー、バイアスロン、アイスホッケーの5競技で38選手と競技ガイド1名となる。
 
 アルペンスキーは「雪上のF1」とも呼ばれ、種目によっては時速100kmを超えるスピード感が魅力だ。オリンピックとほぼ同じルールで、旗門の数と滑走距離の異なる5種目が男女別に実施される。ただし、パラリンピックでは選手の障がいの内容により、座って滑る座位、立って滑る立位、視覚障がいの3カテゴリー別に競われる。

 さらに選手はそれぞれの障がいの程度によって「クラス」にも分けられ、公平な競技のため、「計算タイム制」が導入されている。ゴルフのハンディキャップのようなもので、簡単な例を挙げると、立位カテゴリーで、もし実走タイムが同じ場合、腕の障がいの選手より脚の障がいの選手が上位となる。

 このアルペンスキーには日本から9選手が出場する。特にチェアスキーと呼ばれる用具で滑る座位カテゴリーは、過去大会で最多メダルを獲得しているお家芸。注目選手はスーパー大回転で3連覇、滑降で2連覇を狙う狩野亮(31、マルハン)。「ここまできたらやるだけ。楽しんでベストパフォーマンスを出せれば結果はついてくると思う」と、心境を語る。
 また「得意の回転でもう一度表彰台に上がりたい。手をあげてターンする独特のスタイルを見てほしい」という鈴木猛史(29、KYB)が回転で2連覇を狙う。

 過去4大会でメダル4つ(銀3、銅1)を獲得し、悲願の金を狙うのが森井大輝(37、トヨタ自動車)。
 3人での「表彰台独占」が目標で、森井も、「世界最強のチーム。多くの支えに感謝して、平昌ではこれまでのメダルとは違う、いい色のメダルを獲りたい」と決意を口にした。

「雪上のマラソン」と呼ばれるクロスカントリースキーと、さらに射撃を組み合わせたバイアスロンには9選手がエントリー。それぞれ走行距離などが異なる3種目が男女別で行われる。アルペン同様、3カテゴリーがあり、計算タイム制で競う。

 クロスカントリーでは6大会連続出場の“レジェンド”新田佳浩(37、日立ソリューションズ)が2大会ぶりの金メダル奪還に挑む。
「4年間やってきたことをすべて発揮するとともに、スキーの難しさ、楽しさをここで表現したい」
  鍛え上げた脚力と右手1本のストックによる力強いフォームに注目だ。

また、2大会連続出場で成長株の阿部友里香(22、日立ソリューションズ)、3大会連続出場で、トライアスロンでも2016年リオ・パラリンピックに出場した「夏冬二刀流」の佐藤圭一(38、エイベックス)らが表彰台を狙う。

 今大会から正式競技となったスノーボードも注目だ。
速さとターン技術などが問われる、スノーボードクロスとバンクドスラロームの2種目が行われる。選手は上肢障がいと下肢障がい(膝上/膝下)の3クラスに分かれて競う。

日本からは3選手が出場する。膝下障がいクラスの成田緑夢(ぐりむ=24、近畿医療専門学校)は兄の童夢氏と姉のメロ氏が2006年トリノオリンピックに出場した「成田3兄弟」の末っ子。オリンピックを目指していた練習中の事故で、19歳のとき左脚に障がいを負い、パラスポーツに転向した。今季のワールド杯では何度も表彰台に上がっている。
「見てて『楽しかった』『ハラハラした』と言われるようなパフォーマンスをしたい。スタートダッシュが得意なので先行逃げ切りのレースをしたい」
 世界ランキング1位の実力を大舞台で見せたい。

また膝上障がいクラスの小栗大地(37、三進化学工業)は元々、プロのスノーボーダー。仕事中の事故で右脚を失ったが、パラスノーボードで競技復帰を果たした。
「パラリンピック出場とともに、スノボができることも嬉しい。元々、カービングターンを武器としている。ベストなパフォーマンスをしたい」という。

  同クラスの山本篤(35、新日本住設)も「夏冬二刀流」で、2016年のリオパラ五輪の陸上走り幅跳びの銀メダリストだ。
「夏の大会は3度経験しているが、陸上と違うのはスノーボードはコースが会場によって異なること。平昌コースの重要なポイントをしっかりと覚えて臨みたい」
高校時代に事故で左脚を失う以前から取り組んでいたスノーボードでも世界に挑む。

氷上の格闘技とも言われるアイスホッケー。パラリンピックでは下肢に障がいのある選手がスレッジと呼ばれる専用のそりに乗り、手に持った2本の特製スティックでスレッジを漕ぎ、パックを打つ。アイスホッケーと、ほぼ同じで、ボディチェックもあり迫力満点だ。
 パラリンピックでは世界トップ8が激突する。2010年バンクーバー・パラ五輪銀メダルのメンバーが半数以上残る日本代表は「平均年齢約42歳」が話題となっているが、須藤悟主将は「平昌入り後、チームの調子もゲームスピードも上がってきている。雰囲気もいい。このまま試合を迎えたい」と、手ごたえを感じ取っている。2大会ぶりの大舞台では、豊富な経験と培ってきたチームワークと磨いたパス技術で、グループリーグで大会3連覇を狙うアメリカ、国を挙げて強化に力を入れてきた世界ランキング3位の韓国に挑む。

 個性あふれる選手たちがそれぞれの目標を胸に自身の限界に挑戦する舞台。選手たちは、競技がスタートする10日から9日間に渡って走りつづける。

(文責・星野恭子/スポーツライター)

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