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「紅葉狩り」。何かを狩るわけではないのに、なぜ“狩り”?

  • 2022年11月9日
  • tenki.jp

11月になり、全国的に紅葉が見ごろになっています。今年はもう、紅葉狩りをしましたか。ところで、春に桜を見に行くことを「花見」といいますが、秋に紅葉を見に行くことは「紅葉狩り」といいます。赤や黄色に染まる木々を見るだけなのに、なぜ「狩り」という言葉が使われるのでしょう。その起源はなんと、平安時代にまでさかのぼります。

「紅葉狩り」「紅葉見」「観楓会」。紅葉観賞のよび方いろいろ

紅葉が見ごろをむかえる11月。皆さんは紅葉を見にいくことを、なんといいますか。
一般的には「紅葉狩り」といわれていますね。春に桜の花を楽しむように、秋は落葉樹の葉が落ちる前の、色とりどりの葉を眺めて楽しみます。紅葉狩りのほかに、「紅葉見(もみじみ)」という言い方もあります。意味としては紅葉狩りと同じで、どちらも日本の秋の風物詩です。
北海道では紅葉見物のことを「観楓会(かんぷうかい)」とよんだりします。漢字が表すとおり、楓などの紅葉を観る集いのことですが、花見のように紅葉した木の下で宴会を催すわけではなく、会社などで温泉一泊旅行などの懇親会といった意味合いのほうが強いかもしれません。

ここで疑問なのは、桜を見るのが「花見」なのに、紅葉を見るのはなぜ「紅葉狩り」とよぶのか、ということです。「紅葉見」というよび方もありますが、よく言われるのは「紅葉狩り」です。何かを「狩る」わけではないのに、紅葉狩り。そこには何か歴史的な意味が隠されていそうです。


りんご狩り、ぶどう狩り、きのこ狩り。植物の採集にも「狩り」を使う

「狩り」というと一般的には、野生の鳥獣を捕らえる狩猟のことを表しますが、果物や山菜、魚介類などを採取するときにも使われます。
果物だと「りんご狩り」「ぶどう狩り」「いちご狩り」「さくらんぼ狩り」をはじめ、「プルーン狩り」「なし狩り」「みかん狩り」など、主に果樹園で果物を採取するときに使われます。また、山野では「きのこ狩り」「山菜狩り」「ふき狩り」など、海岸線では「潮干狩り」「あさり狩り」などが行われます。これらはいわゆる狩猟ではありませんが、植物や魚介類をとるので「狩り」が使われます。
この「狩り」という言葉は、実際に何かをとるのではなく、「紅葉狩り」や「桜狩り」のように、季節の花や草木の美しさを観賞するときにも使われます。したがって、「ほたる狩り」は蛍を実際に捕らえるのではなく、蛍を観賞して楽しむことを表します。
でも、美しいものを観賞するときに、なぜ「狩り」という言葉が使われるのでしょう。その語源は平安時代までさかのぼります。

平安貴族が歩くことは下品。でも「狩り」だったら歩いて山に行ける

平安時代の貴族は、広い自宅の敷地に花や木を植えて愛でていました。そして、自宅の花木をいつくしむのと同じように、山一面の紅葉も見物に行きたい。でも、貴族たちは特別な用がない限り、平安京の外に出ることは許されていませんでした。特別な用とは、神社や寺へのお参り、お祭りなどの見物、鷹狩りなど。
さらに、移動するには牛車や馬に乗らなければならず、自分の足で歩くことは下品だと考えられていました。とはいえ、山に出かけて紅葉を楽しみたい。そこで、「狩り」という名目で山に行けば、たとえ山の中を自分の足で歩いたとしても、貴族としての体裁が保たれます。こうして、紅葉を見にいくことを「紅葉狩り」とよぶようになりました。

参考
国立国会図書館「レファレンス協同データベース」:ホタル狩りはなぜ「狩り」というのか
NHK「チコちゃんに叱られる!」:紅葉狩りはなんで狩りっていうの?

平安貴族が使っていた「紅葉狩り」という言葉が、1000年以上たった今もなお使われているとは、驚きですね。昔も今も、赤や黄色に染まる山の紅葉を美しいと思う心は変わらない、ということでしょうか。今年も紅葉が見ごろをむかえています。季節の移ろいを愛でる日本ならではの風物詩、紅葉狩りを今年も楽しみたいですね。

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