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21世紀の「絵本」で現代社会と平和を学ぶ!子ども向け?いいえ大人もぜひ!

  • 2019年10月19日
  • tenki.jp

秋の月の虧けてゆくのを眺めながら今夜はどう過ごしましょうか? 録りためたビデオを見るも良し、音楽に耳をかたむけるのも素敵ですが、やはり秋といえば読書! という方も多いと思います。身近に小さな子がいないと絵本を眺める機会もなかなか持てませんね。大きな本屋さんや図書館に行った時、ちょっと子ども向けの書棚を覗いてみて下さい。21世紀の絵本にはメルヘンや冒険、英雄譚だけではない多彩な本が揃っています。手にとってつかの間の立ち読みをしてみたら、私たち大人にも読んで欲しい本がたくさん見つかりました。今日はその中からいくつかをご紹介したいと思います。

日本、中国、韓国、3つの国が共に作る1冊の平和の絵本

こんな取り組みがあるのをご存じですか? 戦争のない世界をともに願おう、と日本の絵本作家が中国と韓国の絵本作家に呼びかけ、3国が協力して1冊の絵本を作る活動です。12冊の刊行をめざして2005年に始まり、現在までに10冊の絵本がそれぞれ3つの国の言葉で出版されています。
日本は独自の文化と伝統を築いてきましたが、その基盤を作ったのは古代から取りいれてきた中国大陸や朝鮮半島の先進文化です。東アジアの国として文化の源流を共有していると感じます。しかし第二次世界大戦から70年以上過ぎた今も、その傷は癒されずに信頼関係を築くことを難しくしています。このような社会での平和の絵本づくりの取り組みは、たいへんな苦労であろうと想像されます。それを乗り越えて子どもたちに平和であることを大切にして欲しい、と願う絵本作家たちの祈りがこの活動にこめられています。それぞれの国の作品を紹介したいと思います。
日本から、
浜田 桂子 作『へいわって どんなこと?』 童心社
「平和」ということばを私たちはふだん何げなく使っていますが、ほんとうはどんな事なのでしょうか? 大きな地震や災害が起きたとき、被災した人たちの困難を目の当たりにして気づくのは、毎日のなんでもない生活ができる幸せ。この幸せをどうしたら作れるのか、守れるのか…誰もが考えたい内容は、大人の心にもずしんと響きます。

中国から、
姚紅(ヤオホン) 作、中 由美子 訳『京劇がきえた日』 童心社
「孫悟空」の話を知っていますか? 日本人にも馴染みのあるこんな演目をもって時々公演に来てくれるのが「京劇」という中国の長い伝統を持つ演劇です。守り続けてきた大切な文化が戦争に飲み込まれてしまう現実。日中戦争で占領された南京の町の人々が描かれます。誰だって自分たちが育んできた伝統は大切ですよね。

韓国から、
ピョン・キジャ 文/チョン・スンガク 絵 『春姫という名前の赤ちゃん』 童心社
日本は世界で唯一の被爆国です。でも被爆したのは日本人だけではありません。在日コリアンの母と子に流れる時間を見つめていると、植民地、戦争、原爆という現代史がもつ傷跡は深いのだと、被害の怖さをあらためて感じます。

日々の忙しさの中で平和について少し寄り道をして考えてみませんか。
この活動を担う童心社「日・中・韓 平和絵本」のホームページもリンクからご覧下さい。


アフリカ大陸、世界が注目!でも知っていると云えますか?

ミュージカル『ライオン・キング』はパペットを使ったリアルな動物表現でアフリカの動物たちと情景を描きました。また手塚治虫のアニメ『ジャングル大帝』にアフリカを感じていた、という方も多いと思います。
現実のアフリカ社会は21世紀を迎えて大いに発展を続けています。一方で貧困や病気に苦しむ人も多く、伝統的な因習社会も続いています。第二次大戦後に植民地から独立した国々の人々が自国について、自身の言葉で語り始めたのは20世紀も終わりに近づく頃でした。そして21世紀、子どもたちのために絵本もたくさん描かれています。
日本とは気候も風土もまったく違う土地で子どもたちはどんな暮らしをし、将来にどんな夢を持っているのでしょうか? 絵本を読むと子どもたちの生活ぶりを知ることができるとともに、元気で勇気ある人間に育って欲しいと願う大人たちの思いを感じることができます。そこで筆者のオススメの一冊をご紹介します。
ヴェロニク・タジョ 文、ベルトラン・デュボワ 絵、村田はるせ 訳
『アヤンダ おおきくなりたくなかった おんなのこ』 風濤社
小さなアヤンダは戦争でお父さんが死んでしまったことを悲しみました。アヤンダの悲しみは怒りへと変わり、戦争をして殺し合う大人になることを拒否したのです。まわりの友達が大きくなってもアヤンダは小さいまま。それでいい、戦争をしたくないからとアヤンダは考えたのです。やがて月日が流れお母さんは病気になり、おばあちゃんが亡くなり、アヤンダのまわりは変わっていきます。さあ、アヤンダはどうするのでしょうか? 続きはぜひ近所の図書館などで読んでみてください。

どんなところで育とうとも、子どもは安全で幸せの中に成長して欲しいと願います。でも大人になるにはやはり試練が必要ですね。アヤンダも同じです。アフリカを感じる色使いで描かれる風景は絵ならではの楽しさがあります。なかなか知ることのできない現代のアフリカや子どもたちを物語から知ることができる絵本はとても貴重です。
アフリカの子どもたちに本を届け、日本の子どもたちにアフリカのことを伝える活動「アフリカ子どもの本プロジェクト」のホームページもリンクからご覧下さい。

「CO2」環境問題は子どもだって勉強しているんです

近年続くかつてないほどの大雨や漁業の不漁の原因として、地球温暖化が話題にのぼります。石炭や石油から生み出されている現代文明の恩恵のかげには、CO2をはじめとした温室効果ガスの排出による地球温暖化という問題も抱えています。経済成長を続けながら、地球規模で「CO2排出とその削減」の対策をとらなければならない現在、各国の足並みが揃わないことに誰もが心配を隠せません。
未来を担う子どもたちにこの大きな問題を知って貰いたい! そんな大人の思いが感じられる一冊がこちらです。
三浦 太郎 著『CO2のりものずかん』 ほるぷ出版
勉強する気バリバリの雰囲気を醸し出ている大学ノートに「CO2、二酸化炭素」のことがわかりやすく書かれています。この本に示されているのは数値。飛行機や自動車、電車などの乗り物が出すCO2の量です。私たち人間ひとりと身近な乗り物を比較しているので、ふだんは想像つかないCO2の量を「ああ、そうなんだ」と実感できるのです。難しく感じられる環境問題が楽しいイラストで毎日の生活の中に落としこんであります。新聞などで「CO2について」の記事を読むよりずっとわかりやすい! と筆者は思いました。ぜひ一読してみて下さい。

戦争や平和、環境問題は子どもたちにまかせる前に、大人たちも真剣に議論しなければならない問題です。子どもの絵本は大人にとっても学びがいがありますよ!
※公開後、記事の一部を訂正いたしました。(2019/10/23)

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