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植物たちの夏休み

  • 2017年8月28日
  • 植物生活

避暑にでかける植物たち

2017年の夏休みもそろそろおしまい。
高冷地など、一部の学校では
すでに新学期が始まっているところもあるようです。
みんなの夏休みは、どんな夏休みだったでしょうか。
海へ行ったり、ふるさとへ帰ったり、避暑へ行ったり。
海外まで足をのばした人もいるかもしれません。

ところで、私たちにとって身近な植物たちのなかにも、
避暑に行く御一行さまがいるんですよ。
それもなんと、6月下旬から
猛暑の場所を離れてた〜っぷり避暑! という贅沢ぶり。


というわけで今回は、
「植物を避暑へ連れていく」という埼玉県鴻巣市の生産者、
「花職人」こと、飯塚園芸の飯塚勝志さんに案内していただきました。


飯塚さん(写真)、よろしくお願いしまーーす!

 


植物たちの避暑、それは「山上げ栽培」

高速道路を走るトラックは、やがて長野県軽井沢町方面に到着。
そこは標高900mほどの農場でした。
日ざしは強いけれど、絶えず微風が通り、
やはり平地とは違う心地よさがあります。
ここで植物たちは、暑い夏を過ごすのか〜!
ちょっと羨ましいぞ。
私もここで避暑したら、仕事がはかどりそう…(たぶん)。

飯塚園芸のある埼玉県鴻巣市は、
内陸部のため、夏は連日、最高気温40℃を超えます。
夜間の気温もそうそう下がらないため、
植物の苗は生育をストップさせてしまうことが少なくありません。

そんなトラブルを回避するために始まったのが、
この避暑作戦で、「山上げ栽培」と呼ばれています。
盛夏中、生育が停止してしまうことがないよう、
生産中の苗をいったん高冷地に移動するという、
植物のことを考えた、力技ともいえるひと手間なんです。
この山の農場なら、昼間でも30℃前後、
夜もしっかり20℃程度に気温が下がるので、
植物の夏バテを抑えることができます。






どうして山上げ栽培をするんだろう?

そもそも「山上げ栽培」は、
比較的早期に、栃木県のイチゴ農家で始まったとされています。
イチゴの本来の旬は初夏。
それをクリスマスケーキのデコレーションに間に合わせるためには、
秋に花芽をつけさせる必要がありました。

そこで、夜はバッチリ低温になる高冷地へ移動して
すると季節を勘違いしたイチゴは、早く花を咲かせ、果実をつけるというわけです。

今ではハウス内を冷房する方法が主流になったため、
イチゴ農家の山上げ栽培は、ほとんど見られなくなりました。

それに代わって山上げ栽培されるようになったのが、花苗でした。
最初はイチゴ同様、花芽づくりに低温が必要な
カランコエなどが導入されていきました。

90年代のガーデニングブームを経て、
今では花芽づくりに低温が必要な植物に限らず、
多種多様な品目の植物が、山で夏を過ごすようになりました。

それは残念ながら、近年の地球温暖化の影響もあるようで、
埼玉県などの内陸部に位置する花苗農家にとって、
ますます暑い夏を回避しながら
よりいっそう高品質な花苗を、
季節に先駆けて出荷するためには山上げは欠かせなく、
今もなお、年間作業のなかでも大きな割合を占めています。

ただし、イチゴ栽培と同じように、
近年は苗を平地に置いたまま、ハウスを冷房するケースもふえました。


ところで、山上げ栽培と平地でのハウス冷房。
どちらが効率がよく、植物のためにもなるんだろう?

「それはみんな人それぞれ。
自分がよいと思った方法を信じて選んで、
それぞれが工夫をして手間をかけてると思うよ。
俺は、やっぱり山に上げたほうがよいと感じている。
だから、こうやって運んで、毎日鴻巣から山に出勤してる。
正直、大変だけどね! でも植物のためだから!」(飯塚さん)

 




植物たちが山を下りてくるのも、もうすぐ

さて、2017年の夏も暑かった〜! といいたいところだったけれど、
全国的に不安定な気候だったよう。
さらに8月の日照時間が少なく、農作物への影響が心配されています。

そんななか、避暑地の植物たちの生育具合はどんななんだろう。
たくましく、しっかり育っていたらいいな。
飯島園芸の山の農場からも、そろそろ苗たちが山を下りてきて、
今度は鴻巣農場で、
出荷に備えた最終調整が行われる時期になりました。


私たちが知らないところで、
ひと手間どころか、大変な手間をかけて
大切に大切に生産される花苗たち。
この秋も、ガーデンショップの店頭で
そんな花苗たちに出会えるのが
今から楽しみでなりません。
そしてもちろん、花職人渾身のフォーチュンベゴニアに
早く会いたい!



*取材、撮影は7月中旬に行われたものです。現在の苗のようすは、飯塚さんのFacebookでもチェックできます。
*フォーチュンベゴニア の詳細についてはコチラ 


text & Photo ウチダトモコ  取材協力 飯塚園芸

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