江戸時代は城下町として栄えた山形県鶴岡市。
西には日本海、平野を囲む山々、穏やかな人々。
ここではトルコギキョウ、アルストロメア、キク、
ストック、球根の5つの専門部とそのほか4つの専門班、
花夢comeネットという女性組織から構成された
「JA鶴岡花き振興部会」が年間を通じて実に多くの品種の花々を育てています。
今回は過去に開催された「花想 きてみっちゃの~鶴岡」に編集部が参加。
圃場見学だけでなく、
実際に作業を体験したレポートをお届けします。
ちなみに、JA鶴岡花き振興部会で作られているのは
◎トルコギキョウ◎アルストロメリア◎スプレーギク
◎小菊◎スプレースタンダードストック◎OHユリ
◎フリージア◎ラナンキュラス◎アネモネ
◎カーネーション◎キンギョソウ◎カンパニュラ
◎ケイオウザクラ◎ヒマワリ◎バラなど
で、これらが1年を通して出荷されています。
このほか年間5回程度市場視察を実施。
市場と密に情報交換を行ったり、実績検討会時には各市場より販売経過・市場動向、
出荷規格などのアドバイス、
圃場の確認も行われたりと細かにニーズを汲み取り生産に生かしているのです。
カンカン照りの昼下がりに訪れたのは、
阿部秀和さんのハボタンのハウス。
初紅、晴姿などを砂丘畑で育てていて、
ハウスには約15,000本のハボタンが育成中でした。
ここではハボタンの葉かきを体験。
しっかりと瑞々しい葉の手触りに、
仕上がりの期待がおのずと高まります。
出荷は12月からの予定だそうです。
アルストロメリアは先の阿部さんと上野善光さんの圃場を見学。
大きなハウスの中では色とりどりの試作品が育てられていました。
昨年の春植えたもの、今年の春植えたもの、
花屋さんなどの意見を聞きながら出荷品種を選抜するそうです。
「寒い冬、積もる雪をかき分けて毎日ハウスを見に行って、
そこで花が咲いている様子といったら……」
と語る上野さんの言葉からは花に対する愛情が伝わってきました。
今秋から収穫予定の品種も控えている、
鶴岡のアルストロメリアから目が離せません!
大きな穂のように八重の花をたくさんつけ、
ボリュームがあり華やかなストック。
その華麗な八重を咲かせるために大切なのが「八重鑑別」です。
ストックは一重と八重で種が分かれていないので、
発芽して初めて一重か八重かを見分けることができます。
そこである程度育った苗を鑑別し、
八重を残し一重を間引いて育ちやすい環境を作るそう。
佐藤孝さんの圃場で鑑別を体験させていただきましたが、
これがかなりの重労働。
こんなに手をかけて育てられると、花も応えてくれそうな気がします。
翌日の昼からは、
小ギクの五十嵐久弥さんの圃場と
スプレーギクの佐藤伸さんの圃場を回りました。
五十嵐さんは露地、佐藤さんはハウス。
どちらも圃場の整然とした美しさが印象的でした。
今やすっかり人気の花として定着したトルコギキョウも、
JA鶴岡花き部会ではさまざまな品種が作られています。
訪ねたのは佐藤司さんの圃場で、
約2,000本の“パレオエレガンス”が育てられていました。
収穫は、根から引っこ抜くのが鶴岡流だとか。
集荷場に集められ、てきぱきと選別、
荷分けされ各地に送られていく。
市場で見つけたら、ぜひ一度じっくりと見てみて!
お話をうかがった人
JA鶴岡花き振興部会
鶴岡市農業協同組合
山形県鶴岡市覚岸寺字水上199
Facebook:https://www.facebook.com/kakisinkoubukai.jatsuruoka
text&photo 月刊フローリスト