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【豊田真由美の野党ウオッチ】初の党大会で食われっ放しだった蓮舫代表 主役は来賓の「魂のスピーチ」と愛嬌振りまく新ゆるキャラ

  • 2017年3月21日
  • 産経新聞

 「魂のスピーチ」「気持ちのこもった熱い演説」「一番迫力があった」−。民進党が都内で開いた初の定期党大会で喝采を浴びたのは、政権交代へ不退転の決意を表明した蓮舫代表の挨拶…ではなく、尊厳ある社会保障の実現を訴えた井手英策慶応大教授の挨拶だった。党首が見せ場をつくるはずの党大会で、来賓にお株を奪われた格好の蓮舫氏。その姿は、自身の党内での求心力低下を物語るようだった。

 「僕は20年かけて、自分の学者生命をかけて作り上げた大切な理論を、言ってみれば学者としての僕自身全てを、皆さんにお預けしようと思っています」

 「人間が人間らしく生きていける社会、人間の顔をした政治を取り戻してください。対抗軸は皆さんにしか作れない。この叫びにも近い強い願いを皆さんに託します」

 12日午後、昨年3月の結党後初めての定期党大会が都内のホテルで開かれた。会場を盛り上げたのは、冷静な語り口でありながら情熱を感じさせる“演説”。出席者が徐々に話し手に引き込まれていくのが見て取れ、静まりかえった会場に同意のかけ声と大きな拍手がわき起こった。

 声の主は、財政社会学者の井手氏。民進党にとっては社会保障政策のアドバイザーであり、党の「尊厳ある生活保障総合調査会」(会長・前原誠司元外相)で、党が目指す国家像の議論にも加わっている。

 井手氏の“演説”は、大会次第でいう「来賓挨拶」に当たる。だがそれは形式張っていない、いい意味で来賓らしからぬ内容だった。民進党議員には耳が痛いこともストレートに言い、「率直な気持ちをぶつけられている」と緊張感を持たせた上で、自身の問題意識を明らかにし、「民進党しかない」と頼ってみせる。全体を通して最も高揚感を生まれた瞬間だった。

 出席した党所属議員からは称賛の声が次々と挙がった。有田芳生参院議員はツイッターに「深く感動した。人間の精神の根底に達する名演説だ」、近藤洋介衆院議員は「政治の原点を訴える、いわば『魂のスピーチ』を頂戴した」とそれぞれ投稿。玉木雄一郎幹事長代理も「問題はこれほどの熱を発することをやめた私も含めた今の民進党所属議員の現状だ。正直、恥ずかしかった」とツイートした。

 一方、党大会では蓮舫氏も挨拶に立ち、野党第一党党首としての決意と覚悟を示した。「一方的に『この道しかない』と独りよがりの未来を押しつけられることに多くの人が不安を覚えている」と安倍晋三政権を批判し、「国民にもう一つの選択肢を示す政党だと伝えていきたい」と表明。「民進党は私の政治人生においての全て」と党への思い入れも吐露し、「党一丸となって私たちの未来を実現可能なものに変えていきたい」と結束を呼びかけた。

 しかし拍手はまばら。先だって挨拶した井手氏に比べ、盛り上がりに欠けていたのは明らかだった。「前向きな未来志向の話をしていただいた」(井坂信彦衆院議員)などの肯定的な感想も聞かれたが、両者の挨拶を比較して露骨にこき下ろす声が目についた。

 初鹿明博前青年局長はフェイスブックに「心を動かされたのは蓮舫氏の挨拶ではなく井手氏の挨拶だったのでは」と投稿。福島伸享衆院議員は井手氏の挨拶を「躰の奥底から発せられた魂の叫びであった」と高く評価する一方、蓮舫氏に対しては「中身のない『原発ゼロ基本法案』を連呼した代表の言葉は、命を懸けて政治に取り組む姿勢とみられただろうか」と冷めた見方を示した。

 意気の上がらぬ異様な党大会に花を添えたのは、初めてお披露目された党公認ゆるキャラ「ミンシン」。壇上には上がらず、廊下などで愛嬌を振りまく控えめなデビューだったが、記念撮影を希望する人たちに取り囲まれ、早くも人気者となっていた。

 次期衆院選の前哨戦とされる東京都議選を7月に控え、党大会は本来、蓮舫氏にとり「選挙の顔」として党内の士気を鼓舞する機会となるはず。それなのに来賓とゆるキャラに食われるとは、誰も予想していなかったのではないか。もっとも、弁舌や華やかさで蓮舫氏が劣るとは思わない。足りないのは言うまでもなく、党代表としての求心力に他ならない。

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