
新発想!縦・横・仰向けの3パターンで行うユニークな培養土の袋栽培について、雑誌の読者さんから届いた成功事例とともに、ご紹介します。いずれも春から始められるものです。みなさんの菜園でも試してみませんか!
縦置き袋栽培
*向いている野菜
トマト、ナス、ゴボウ、ダイコンなどに
*Point① 袋を立てて野菜を植える袋栽培の基本形
野菜づくり用の土を購入したら、袋をそのままプランター代わりに利用して気軽に野菜づくりを楽しめます。
下のイラストは袋栽培の基本形。袋を立てて置き、上部を開封し、袋の下側に穴を適宜あけて通気性と排水性をよくします。20~25L入りの培養土ならトマトやナスの栽培も可能です。
*Point② 日当たりのいい場所に置き適宜水やりをして育てる
袋栽培で使いやすいのは20~25L入り程度の培養土です。
小さな袋だと野菜の根の張りが制限されて窮屈で、土の温度や水分などの環境変化を受けやすくなります。
大きな袋ほど野菜はよろこびますが、その代わりに持ち運ぶのが大変です。
下の表は20~25Lの縦置き袋栽培で育てられる野菜の目安。大きく育って根が深くまで広がるナスやトマトのほか、根が長いダイコンやニンジンの栽培にも向きます。日当たりのいい場所に置き、栽培を始めましょう。
培養土には養分が入っているので、栽培スタートからしばらくは水やりだけでよく、その後、葉の色や生長の勢いを見て、薄めた液肥を水やり代わりに与えるか、ボカシ肥料をチョコチョコと置き肥にして栽培を続けます。
栽培後も、袋は劣化するまで繰り返し使えます。古い土に1割程度の腐葉土とひとつかみのボカシ肥料を混ぜて、土をほどよく湿らせたらビニール袋に密閉して1か月以上日の当たる場所に置きます。土をリフレッシュさせることができます。
【縦置き袋栽培の目安(20~25L袋)】
*Point③ 必要に応じて支柱を立てて誘引する
①土に支柱を挿してトマトとナスを誘引している例。栽培中、袋の土の表面が乾いたら、水抜き穴からしみ出るまでたっぷりと水を与える。基本的にプランター栽培法と同じだ。
根腐れしないよう、水抜き穴が詰まったらドライバーを刺してメンテナンスするといい。

②袋栽培で元気に育つキュウリ。

③スイカを支柱に誘引して栽培。実はヒモで吊るして茎への負担を減らす。
*Point④ 肥料や堆肥の空き袋に土を詰めてゴボウの袋栽培
読者アンケートを見ると、ゴボウの袋栽培している方はとても多いです。一般的な栽培法では、ゴボウを掘り出す収穫作業は重労働。収穫のラクさが、袋栽培が選ばれる理由です。
下の写真は北海道の読者、坂井繁一さんの畑。坂井さんは堆肥や肥料の空き袋を利用してゴボウを育てています。坂井さんの場合、袋の天と地を切って筒状にした袋に畑の土を詰めてタネをまき、倒伏防止として支柱を立てて袋を支えています。
収穫時には袋を破き、土を崩してゴボウを取り出します。
①40Lの堆肥袋に畑の土を詰めて立てる。
野菜がよく育っている畑の土なら、ゴボウ栽培では元肥は不要。粗めのフルイにかけた土を利用するときれいなゴボウが育つ。坂井さんは1袋に8か所タネをまく。

②春にタネをまき、収穫は秋。カッターで袋を切り開き、ゴボウを簡単に収穫できた。

購入した袋入りの培養土に直接タネまきや苗植えをする
栽培例で使用しているのは「花ちゃん培養土25L」(花ごころ)。根の張りをよくするフルボ酸を配合した「フルボ酸配合 花ちゃん培養土」もおすすめ。
フルボ酸 花ちゃん培養土:
腐植土壌に含まれるフルボ酸を配合。根張りがよくなり丈夫に育ちます。培養土は花つき、実つきをよくするリン酸成分が多く配合され、プランター栽培や袋栽培に最適です。
5L、12L、20Lがあり、各オープン価格。
横置き袋栽培
*向いている野菜
キャベツ、ハクサイなどに
*Poimt① 袋を横倒しにして胴の脇を裂いて栽培する
袋栽培は縦置きだけではありません。発想を変えて袋を横向きに寝かすと、キャベツやブロッコリーなどの栽培に向くスタイルになります。
ニラや葉ネギの栽培も楽しめそうで、栽培する野菜の幅が広がります。左の表を参考に、いろいろな野菜づくりを試してみましょう。
袋の扱いと栽培方法は、縦置き袋栽培と一緒です。野菜が根腐れを起こさないよう、袋の下部に水抜き穴をあけておきます。

【横置き袋栽培の目安(20~25L袋)】

①短系の黒ダイコンを横置き袋栽培。5~6か所に点まきして間引きながら育てる。根が短いタイプの根菜類なら横置き袋栽培で株数を多く植えられてお得。

②トマトを2本仕立てや垣根栽培にするなら、横置き袋栽培がおすすめ。
仰向け袋栽培
*向いている野菜
葉物野菜、イチゴなどに
*Point① 袋を仰向けに置けば小さな野菜をどっさり収穫
袋栽培の最後は、仰向け栽培。ペタンと袋を置き、袋の腹をカッターで切り開いて利用する方法です。
根をそれほど深くまで張らない、小さな葉物野菜、カブ、イチゴなどの栽培に向いています。栽培面積が広くなるので、1袋でも葉物野菜をどっさり収穫することができます。
土の露出が多い分、タネまき後しばらくは土が乾きやすいので水やりが欠かせません。袋の周囲に水抜き穴をたくさんあけて、根腐れを防ぎましょう。
カッターで×印に切り込みを入れる

【仰向け袋栽培の目安(20~25L袋)】
*栽培例
袋に植え穴をあけてイチゴとミズナを混植。ミズナは年内収穫、翌春にイチゴが大きく育つ。時間差栽培だ。
横置きにしてイチゴとニンニクの混植も試してみたい。

大きく育った葉レタス。株採りしてもいいが、摘み採り収穫で長期間楽しむのもおすすめ。

袋栽培で立派なカブが育つ。大きくなったものから順番に収穫していく。

袋に植え穴をあけてキュウリの苗を植えて横置き栽培。マルチ栽培のイメージで、よく育つ。
うどんこ病が出ているが、土の排水不良か高温で根が傷んだ可能性がある。
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