1株あると何かと便利なハーブ。独特の香りをもっていて、比較的長く収穫が楽しめます。ここでは代表的なものを五十音順で紹介します。基本的な特徴はもちろん、植えつけ・収穫の時期や、育てるときの注意事項など役立つ情報を簡潔にまとめました!
ア行
アーティチョーク
キク科/別名:チョウセンアザミ
フランスでは野菜としてポピュラーなハーブです。
開花する前のがくを摘み取ってゆで、ソースなどで味つけをして食べます。食用以外には、ドライフラワーに加工して使われることもあります。
多年草のため、収穫後も秋に追肥をしておけば、翌年以降も再び収穫することが可能。
株が直径1mほどに成長することもあるので、株間がある程度必要です。
アロエ
ユリ科/別名:シンロカイ
多肉植物としても人気な植物。味にクセがなく食用として有名なアロエ・ベラと、やけどに効能がある民間薬として用いられるキダチアロエが特に有名な2品種です。
肉厚な葉の中に水分を蓄えることができるため、乾燥に強く、園芸初心者にもおすすめのハーブです。
ただし、寒さには弱いので、冬は5℃以上を保つ環境に置いて冬越しをさせる必要があります。
アンゼリカ
セリ科/別名:ヨロイグサ、セイヨウトウキ
利用部分によって様々な方法で利用されるハーブ。
茎は薄切りにして砂糖漬けにすることで、ケーキのデコレーションに使います。
葉は、ミントなどと合わせてサラダに利用。
さらに花についてはドライフラワーに加工してクラフトに使うこともできます。
湿り気のある土と、半日陰を好むハーブです。
タネをとった後には枯れますが、花がらをこまめに摘むことで多少長持ちさせることができます。
イタリアンパセリ
セリ科
マイルドで親しみやすい風味が特徴の、パセリの仲間です。苗があれば基本的にいつでも植えつけが可能です。
植え替えには弱いため、タネまきから行う場合は育てる容器や畑に直まきにします。
半日陰で育て、葉が茂ってきたら、上の方から摘み取って利用します。
花が咲く前に花芽を摘み取ると、収穫が長く楽しめます。
とても丈夫でよく育ち、タネからでもかんたんに育てることができます。
オレガノ
シソ科/別名:ワイルドマジョラム、ハナハッカ
ピザやトマトソース、パスタなどに合うスパイシーな香りをもつハーブです。
料理に使う際には主に乾燥葉を用います。
水はけさえよければ半日陰でもよく育ち、肥料や水やりを気にする必要もありません。
どんどん増えるので、葉はこまめに収穫して風通しをよくします。
1~2年育ったら、大きめの鉢に植え替えるか、花が終わった後に株分けして増やします。
カ行
カモミール
キク科/別名:カモマイル、カミツレ
リラックス効果のあるハーブティーとして利用されるカモミールは、リンゴのような甘い香りをもつハーブです。
とても育てやすく、春か秋にタネをまけばどんどん増えて収穫ができるようになります。
日当たりのよい場所で育て、水は土の表面が乾いたときだけ与えるようにします。
一年草のジャーマン種はさし木、多年草のローマン種は株分けで増やします。
カレープラント
キク科/別名:エバーラスティング
常緑性の葉にはカレーに似た強い香りがあります。
花部分はとても鮮やかな黄色のため、ドライフラワーやポプリの彩りとして人気です。
防虫効果があるため、庭いじりの際の虫除けにするほか、乾燥花を袋につめて防虫剤として使われることもあります。
乾燥には比較的強く、日当たりと水はけがよいとよく育ちます。
水については、土が乾いてから控えめに与えるようにしましょう。
キャットニップ
シソ科/別名:イヌハッカ、チクマハッカ
ネコが好む匂いのため、乾燥した葉をぬいぐるみなどにつめてペットのおもちゃに利用されることがあります。
また、ハーブティーにして飲んだり、天ぷらにして食べることもできます。
繁殖力が強く丈夫なため、地植えの場合は直接庭にまくだけで自然と育ちます。
ネコの大好物のため、屋外で育てる場合は金網やネコよけを置くなどの対策が必要です。
キャラウェイ
セリ科/別名:ヒメウイキョウ
独特の甘い香りを放つ種子は、砕いてスパイスとして利用することができます。
パンやケーキ、クッキーなどのお菓子との相性は抜群です。
また、若葉もサラダとして利用できます。
植え替えを嫌うため、鉢や地面などに元肥を与えての直まきがおすすめです。
種子が茶褐色に色づいてきたら、茎ごと刈り取って収穫し、乾燥させて保存しましょう。
コーンサラダ
オミナエシ科/別名:マーシュ、ノヂシャ
葉もの野菜のように、サラダにして利用することが多いハーブ。
若葉は特にビタミンやミネラルが豊富です。
サラダ以外には、スープやシチューなどの浮き身としても利用されます。
タネはバラまきし、混み合ったところを間引きしながら栽培すると、収穫もできつつ長い期間楽しむことができます。
寒さに強い一方暑さには弱いので、やわらかい葉を収穫するためには、秋まきをして冬に収穫するのがおすすめ。
コリアンダー
セリ科/別名:シャンツァイ、パクチー
近年は「パクチー」の名前で人気が上昇しているハーブ。独特の強い香りは、エスニック料理に欠かせないアクセントになります。
乾燥させた種子も、カレーやピクルスなどのスパイスとして利用できます。
直根性で植え替えを嫌うため、タネは直まきをします。株間を20cmとり、1箇所に5~10粒ずつまきましょう。
発芽がそろってから、1箇所1本になるよう間引きます。湿気を嫌うため、過湿には注意して水を与えましょう。
サ行
サフラワー
キク科/別名:ベニバナ、スエツムハナ
種子からとれる油は「ベニバナ油」の名で浸透しています。花を乾燥させて、ドライフラワーやポプリに加工して利用されることもあります。また、乾燥後は赤色になるため、口紅の材料にもなります。
アルカリ性の土を好むので地植えの場合、植えつけの前に苦土石灰をまいて、酸性土を中和しておきましょう。
タネは直まきをします。花が開いた後、色が黄色から赤色に変わり始めたら花の収穫適期です。
サフラン
アヤメ科/別名:バンコウカ
乾燥させた柱頭を、パエリア、ブイヤベース、サフランライスなどに入れて利用します。分娩促進作用があるため、妊娠初期の摂取は控えめにしましょう。
日当たりのよい砂地を好みますが、基本的には植えっぱなしでも花が咲きます。球根植物なので、増やす場合は分球で増やします。
サラダバーネット
バラ科/別名:オランダワレモコウ
葉はキュウリに似た香りをもっています。サラダに加えるほか、細く刻んでバターやチーズに混ぜ込むこともあります。
タネが大きくて発芽しやすいので、タネから育てるのも比較的かんたん。
日当たりと水はけのよい場所が理想ですが、やや半日陰で育てることも可能です。
葉が20枚以上に生育してから収穫しましょう。多年草なので、一度根づくと毎年収穫できます。
ステビア
キク科/別名:アマハステビア
甘味料として注目を浴びているステビアの甘さは砂糖の数百倍ともいわれています。
砂糖に比べて低カロリーなことも人気のポイントです。
日当たりと水はけのよい場所が理想ですが、半日陰で育てることもできます。
春に植えつけ、やや湿り気のある土で育てれば5月ごろから若芽を摘んで利用ができます。
こまめに摘芯すればわき芽を出すこともでき、収穫量が増やせます。
セイボリー
シソ科/別名:サボリ、キダチハッカ
生葉には強い辛味があります。
ソーセージなどのつめ物や煮込み料理、ハーブオイルなどに利用されることの多いハーブです。香りが強いため、量に注意して使いましょう。
タネからの栽培にはかなり日数がかかるため、苗からの栽培がおすすめ。
株間を30cmほど確保して植えつけます。成長に合わせて収穫を兼ねた刈り込みを行い、形を整えます。
セージ
シソ科/別名:ヤクヨウサルビア
ソーセージの「セージ」はこのハーブの名前に由来します。
強い香りとほろ苦さが特徴なため、肉料理の臭み消しと風味づけに利用されることが多いです。
とても丈夫で、日当たりと水はけをよくすれば、室内でも育てることができます。
やや乾燥ぎみに育てて、生育中はこまめに収穫して風通しをよくします。
さし木やとり木でかんたんに増やすことができます。
セントジョンズワート
オトギリソウ科/別名:ヒペリウム、キンシバイ
民間薬用に古くから利用されてきたハーブです。
花はうがい薬や化粧水として、花や葉を油に浸したものは神経痛や打撲への民間薬として利用されています。
また、ハーブティーにすると抗うつ効果も期待できると言われています。
比較的大きく育つため、鉢植えの場合には大きめの容器を用意しましょう。
生育の始まる春と開花後、秋には固形肥料などで追肥をするとよいです。
ソレル
タデ科/別名:スイバ、スカンポ
大きくてやわらかい葉には独特の酸味があります。
若葉を根元から摘み取って、サラダをはじめ、ソース、スープ、オムレツなどに利用し独特の風味を楽しみましょう。
湿り気のある土を好み、半日陰で栽培します。
丈夫で成長がかなり早く、タネから育てるのもかんたんです。
ただし、根が肥大化するため、鉢植えでの栽培には不向きです。
タ行
タイム
シソ科/別名:タチジャコウソウ
肉料理の臭みを消して、料理の風味をアップさせるために利用することが多いです。
暑さにも寒さにも強く、一度植えたあとは基本的にいつでも収穫ができます。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水を与える程度の手入れは必要ですが、地植えの場合は放置していても生育します。
さし木、株分け、とり木で増やすことができます。
タラゴン
キク科/別名:フレンチタラゴン、エストラゴン
生のままの若葉をベアルネーズソース、タルタルソース、、ビネガーやオムレツなどの卵料理に利用します。
ロシアンタラゴンと呼ばれる品種は苦味が強く、香りが劣るため、ハーブとしてはあまり利用しません。
タネができないハーブのため、苗で購入するかフレッシュ(生)で売られているものをさし木して育てます。
2年ほど経過すると香りが劣ってしまうので、株分けで株を更新しましょう。
チャービル
セリ科/別名:セルフィーユ、ウイキョウゼリ
主に料理に利用され、オムレツなどの卵料理との相性は抜群です。
その他にも魚や鶏肉料理に加えたり、スープやサラダに利用されることもあります。
加熱すると風味が劣ってしまうため、調理の最後に加えるようにしましょう。
強い日差しと乾燥が苦手なため、半日陰とやや湿った土で栽培します。
植え替えを嫌うため、直まきで植えつけます。
チャイブ
ユリ科/別名:チャイブス、エゾネギ
マイルドな香りを持つ、ネギの仲間です。
春か秋に植えつけるとすぐに収穫ができ、真冬以外はずっと収穫することができます。
やや湿り気のある土に植えつけ、乾燥に気をつければ半日陰でもよく育ちます。
土の酸性には弱いため、植えつけ前に苦土石灰で中和しておきましょう。
株分けでかんたんにふやすことができます。
ディル
セリ科/別名:イノンド
生の状態の枝や葉は香りが強く、魚料理や肉料理、サラダやオイルの風味づけに利用されます。
また、ディルシードと呼ばれる種子をピクルスやクッキーに利用することもあります。
植え替えを嫌うため、株間を30cmほどとって直まきします。
花が終わって茶褐色に色づいていてから花穂ごと刈り取り、乾燥後にふり落として保存することで、種子を収穫できます。
ハ行
バジル
シソ科/別名:バジリコ、メボウキ
イタリア料理やトマト料理には欠かせないハーブです。
日当たりと水はけ・水もちがよければ、とてもよく育ちます。
水を好むので、土が乾いていたらたっぷりと水を与えます。
花が咲くと葉がかたくなってしまうため、花芽が出たら摘み取るようにしましょう。
摘み取ることで、わき芽をだして収穫量の増加にもつながります。
さし木で増やすことができます。
フェンネル
セリ科
ライムのような香りと風味があり、フランス料理や魚料理との相性が抜群です。
根が地中深くまっすぐに伸びる直根性のため、タネや苗は容器や畑に直に植えつけます。
日当たりのよい場所で育てれば、何年にもわたって収穫ができ、こぼれ種からもどんどん増えます。
3~4年が経過したら、株分けして植え替えるとよいでしょう。
ポットマリーゴールド
キク科/別名:キンセンカ、カレンデュラ
キンセンカ属に所属するハーブです。
マンジュギク属の「マリーゴールド」は名前は似ているのですがハーブとしての利用はできません。
花をハーブティーにしたり、葉を天ぷらにしたりして利用します。
酸性の土を嫌うため、植えつけの前には苦土石灰をまいて中和しておきます。
冬場でも乾燥することが多いため、水やりを忘れないようにしましょう。
マ行
マロウ
アオイ科/別名:ウスベニアオイ
マロウの花のハーブティーは色の変化が楽しめることで有名です。
淹れたてはきれいなブルーですが、そこにレモン汁を入れると、徐々に薄いピンク色に変色します。
また、お菓子のマシュマロはマーシュマロウというマロウの粉末を利用することに由来します。
1日しか咲かない花のため、朝に花が咲いているのを見かけたら摘み取りましょう。
ミント
シソ科/別名:セイヨウハッカ
スッとした香りをもち、デザートなどに添えることで清涼感を与えるハーブ。
春か秋に苗を植えつければほとんど年中収穫ができます。
とても丈夫で、日なたでも日陰でもよく育ちます。
水はけ・水もちがよく、やや湿り気のある土で育て、土の乾燥に注意して育てます。
花が咲くと葉がかたくなるので、花芽は摘みましょう。
花芽を摘むことでわき芽も伸びるようになります。
ヤ行
ユーカリ
フトモモ科/別名:ユーカリプタス
オーストラリア原産で、コアラが食べることで有名なユーカリ。
精油がアロマテラピーで使われたり、お風呂に入れることで肌がきれいになる効能があるといわれたりと、ハーブとしても利用されています。
日当たりと水はけのよい場所で育てましょう。
また、地植えの場合は樹高がかなり高く、横にも広がるため、広めのスペースが必要です。
成長がとても早いです。
ラ行
ルッコラ
アブラナ科/別名:ロケット
近年はサラダとしての利用も一般的になりつつあるハーブ。葉はゴマに似た風味と、クレソンに似た辛味があります。
イタリアや地中海地方の料理には野菜としてもよく登場します。
花が咲くと葉がかたくなり、収穫量も減少するので、花茎は早めに摘み取りましょう。
半日陰で育てると黄緑色のやわらかい葉に、日なたで育てると緑色で味が濃く辛味がきつい葉に育ちます。
ルバーブ
タデ科/別名:ショクヨウダイオウ
赤く色づく茎には酸味があり、ジャムに利用されることが多いハーブです。整腸作用があるとされ、ヨーロッパでは朝の食卓に並ぶこともあります。
水はけのよいやや肥えた土に植えつけ、日当たりのよい場所で育てます。根腐れを防ぐために、適度な湿度管理と雨よけなどの対策が必要です。
寒さに強いので冬の間も特別な手入れは必要ありませんが、成長はストップします。
レモングラス
イネ科/別名:レモンガヤ、フェバーグラス
熱帯アジアに自生しているハーブで、とてもさっぱりしたレモンのような香りが特徴です。カレー、エスニック料理やタイ料理に利用されます。
タネはあまり出回っていないため、苗で購入するのがおすすめです。根が地中深くまで伸びるため、鉢植えの場合には深めの容器を用意しましょう。
本葉が15枚以上の株に育ったら収穫が可能です。日本では花は咲きますが、タネができることはほとんどありません。
レモンバーム
シソ科/別名:メリッサ、ビーバーム、コウスイハッカ
レモンに似た爽やかな香りが特徴のハーブ。ハーブティーはもちろん、ハーブバスやポプリなどに利用されることもあります。
とても丈夫で育てやすいため、初心者にもおすすめです。
タネから育てるのもかんたんで、半日程度日が当たる場所で育てると特によく育ちます。繁殖力が強いため、植えたままでもどんどん広がっていきます。
ローズマリー
シソ科/別名:マンネンロウ
脳を活性化させるような刺激的な香りで有名なハーブ。「若返りのハーブ」や「記憶力を高めるハーブ」と呼ばれることもあります。
鶏肉料理との相性が抜群です。
ローズマリーには、枝が上に伸びる直立性、横に伸びる匍匐性と、両方の性質をもつ半匍匐性があるため、苗を購入する際には栽培環境に合わせたものを選びましょう。
茎葉が伸びてきたら枝ごと収穫をします。下の方の葉さえ残しておけば、また葉が生えてきます。
ワ行
ワイルドストロベリー
バラ科/別名:ヨーロッパクサイチゴ、エゾヘビイチゴ、ノイチゴ
ノイチゴの名称で親しまれている果実は生で食べたり、ジャムに加工したりして利用します。
葉の部分については乾燥させるとハーブティーとして楽しむことができます。腎臓や肝臓の機能を整える効果があるとされています。
リン酸を多く含む肥料を元肥にし、株間は30cmほど確保して植えつけます。
土を乾燥させないようたっぷり水を与えていると春には白やピンクのかわいい花を咲かせます。
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