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2025年の天文イベント9選+1、皆既月食、消える土星の環など

  • 2025年1月17日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

2025年の天文イベント9選+1、皆既月食、消える土星の環など

 2025年は天体ショーが目白押しだ。日食も月食もあり、華々しい流星群も見ることができる。月と惑星との共演は肉眼でも確認でき、土星の環が姿を消す様子も観測できるだろう。見逃せない天文イベントが起きる日には、カレンダーに印をつけておこう。2025年は、一年を通して神秘的な空に釘付けになるはずだ。

1月18〜19日:土星と金星の接近

 この天文イヤーの幕開けは、惑星同士の接近だ。1月18〜19日、日本では金星と土星が2度程度まで近づいて見える。夕方、南西の空の高さ約3分の1ほどのところで、2つの惑星を探してみよう。

 明るい方の金星は白く輝き、そのすぐ左にある土星は少し暗く、金色がかって見える。どちらも肉眼で観測できるが、双眼鏡を使えばさらにきれいに見える。小型の天体望遠鏡なら、土星の環まで見えるだろう。

3月14日:皆既月食とブラッドムーン

 3月14日には、月が顔を赤らめる。この「ブラッドムーン」効果が起きるのは、満月のときに太陽と地球と月が一直線に並び、地球の影が月を覆うときだけだ。

 天気がよければ、この現象は米大陸全体で見ることができる。最初に地球の影が月にかかり始めるのは、日本時間で3月14日12時57分。だが、この天体ショーのクライマックスは、同15時26分から16時31分にかけての皆既月食だ。このとき、月全体が地球の影に入り、カボチャのようなオレンジから赤銅色に染まる。

 国立天文台によると、日本では月の出のころには皆既月食はほぼ終わっている。北海道、一部を除く東北地方、関東地方東部、小笠原諸島では満月が一部欠けたまま昇ってくる「月出帯食」になるという。しかし、後述するように、日本では9月に皆既月食が見られるチャンスがある。

3月29日:部分日食

 2024年4月に北米で見られた皆既日食とは異なり、2025年3月29日の日食では、太陽が三日月型になる。これは北米、ヨーロッパ、北アジア、北西アフリカの広い範囲で見ることができ、日本時間で17時50分に始まる。一番多く太陽が隠れるのは、同19時47分だ。日本からは見られない。

 一番多く欠ける太陽が見られる場所は、カナダ大西洋岸とケベック州北部で、80〜92%が月に覆われる。観測するときは、必ず太陽観測用のメガネかピンホール観察器を使う必要がある。絶対に直接太陽を見てはいけない。

次ページ:日本で見られる皆既月食は…

6月27日:月と水星の接近

 太陽に一番近い惑星を見たことがあるだろうか? 水星は太陽に近いため、太陽に妨げられて見つけるのが難しい。しかし、6月27日の水星は月のすぐそばに来るため、初心者でも簡単に見つけることができる。

 水星は肉眼でも観測できる。細い三日月から少し離れたところに、かすかな点として見えるはずだ。

 この2つの天体を観測するには、低い空をはっきりと見渡せる場所が必要だ。水星を探すのは難しいかもしれないが、双眼鏡を使えば見つけやすくなるだろう。

8月12〜13日:金星と木星の大接近

 8月12〜13日の夜の空は見逃せない。一番明るい惑星である金星と、二番目に明るい木星が大接近するというめったにない機会だからだ。

 夜明け前、東の空の高い位置で、明るい2つの天体を探してみよう。双眼鏡で同時に観測できるほど接近して見える。白く輝く金星の方が明るく、木星は少し暗いかすかな金色に見える。小型の天体望遠鏡を使えば、木星の帯状の雲や、一列に並んだガリレオ衛星まで見ることができる。

9月8日:2回目の皆既月食とブラッドムーン

 2025年には、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリアで、もう一度皆既月食を観測できるチャンスがある。今度は日本全国で観測でき、9月8日の早朝になる。

 地球の影が月にかかり始めるのは日本時間で午前1時27分、皆既月食が起きるのは2時30分から3時52分の間だ。この間、太陽光が塵を含む地球の大気を通過し、青い光が散乱されるため、赤い光が月に当たる。そのため、月は不気味に赤く輝くことになる。

 観測するには、西の空に沈む月が見える場所を見つけよう。特別な機材は必要ないが、双眼鏡や天体望遠鏡があれば、赤い月の表面までよく見ることができる。

次ページ:美しい3つの天体が接近

9月19〜20日:月・金星・レグルスが接近

 9月19日、20日の夜明け前の空を彩るのは、美しい3つの天体だ。東の空に、細い月、明るい金星、そして明るい恒星のレグルスが並んで見える。月に次いで明るい金星は、ダイヤモンドのように輝いて見える。レグルスもそのそばで青白い堂々たる光を放つ。

 3つの天体は肉眼でも簡単に確認できるが、双眼鏡ならかなり鮮明に見えるだろう。

11月8日:土星の環が消失

 土星の特徴と言えば環で、この巨大なガス惑星を見るときは誰もが期待するものだろう。しかし、11月初旬の土星からは、その有名な環が一時的に消える。真横から土星を見ることになるからだ。

 このめずらしい現象が起きるのは、約15年に一度だけだ。土星から見て地球が赤道方向にあるので、薄い環(厚さは数キロメートルに満たない)はほとんど見えなくなる。観測には、高倍率の天体望遠鏡があるといいだろう。日没後の南の空、みずがめ座付近で明るく輝く土星を探すのがおすすめだ。

12月14日:ふたご座流星群のピーク

 毎年12月になると、地球が小惑星の破片の中を通過するので、たくさんの流れ星を見ることができる。

 例年、ふたご座流星群のピークには、1時間あたり60個から120個の流れ星が出現する。国立天文台によれば、2025年は日本では12月14日の17時ごろがピークで、見ごろは13日深夜から14日未明と14日深夜から15日未明だという。月明かりのない暗い空と重なるので、観測には最適だ。

 最高の眺めを楽しむには、できるだけ光害が少ない場所を探そう。空が晴れていれば、郊外の裏庭や公園でも、数十個の流れ星が見えるはずだ。

+1:2025年のオーロラ観測

 2024年10月、米航空宇宙局(NASA)、米海洋大気局(NOAA)、太陽活動周期予測パネルが、太陽の活動が極大期に入ったと発表した。この状態は2025年を通して続く可能性がある。

 つまり、2025年は年間を通して、黒点や太陽フレアなどの太陽活動が活発になるため、地球から鮮やかなオーロラを観測できるチャンスが増えることになる。

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