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ホホジロザメの赤ちゃんにカメラを装着、初、NY沖に巨大生育場

  • 2024年7月6日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

ホホジロザメの赤ちゃんにカメラを装着、初、NY沖に巨大生育場

 米国ニューヨーク州ロングアイランドの砂浜を埋め尽くす海水浴客は、この温暖な海が海水浴に最適な場所だと感じているのは自分たちだけではないと知って、驚くかもしれない。実は、ニューヨーク湾と呼ばれるロングアイランド沖の海域では、何百匹ものホホジロザメの赤ちゃんが餌のとり方、移動の仕方、捕食者を避ける方法を学んでいる。研究者たちは、この海域がホホジロザメにとって、北大西洋の主要な、そしておそらく唯一の生育場だと考えている。

 かつて乱獲によって絶滅寸前まで追い込まれた北大西洋のホホジロザメは、近年、その餌であるハイイロアザラシが増えるにつれて回復している。現在、その数は約800匹と推定されている。

「私たちが知る限り、ロングアイランド沖のサメの生育場は、北大西洋で生まれたすべての(ホホジロザメの)赤ちゃんが最初の1年間を過ごす場所です」と、米国マサチューセッツ州のNPO「大西洋ホホジロザメ保護団体」の研究者であるミーガン・ウィントン氏は話す。

「そして、そこはたまたま、米国沿岸で最も人口密度が高い地域の一つに隣接しています」

 ホホジロザメの研究者は1980年代半ばから、ロングアイランド沖にホホジロザメの生育場が存在すると主張してきた。だが、その存在がデータによって裏付けられたのは近年のことだとウィントン氏は述べている。

 ウィントン氏らは最近、研究プロジェクトの一環として、特製のカメラタグをメスの赤ちゃんザメに取り付け、史上初めてサメの赤ちゃんの動きを追跡した。このサメはニューヨークのランドマークである自由の女神像にちなんで「リバティ」と名付けられた。

「信じられないほど感動しました」

 サメの赤ちゃんの動きを理解することは、保護の観点からも極めて重要だ。なぜなら、これらのサメがいずれ北に移動し、マサチューセッツ州のケープコッド沖で暮らすことになるためだ。ウィントン氏が共同で率いた2023年の研究によって、ケープコッド沖はおそらく、世界で最もホホジロザメの密度が高いと判明している。

「ホホジロザメの赤ちゃんについて、私たちはほとんど何も知りません」とウィントン氏は話す。「彼らは生まれてすぐに独立しますが、それまでに狩りをしたこともなければ、この海域を泳いだこともありません。では、どのように生き延びているのでしょう? ホホジロザメに関することは、本当に未知の領域です」

 生後数カ月のリバティを間近で見ながら、慎重に衛星タグを取り付ける体験は、ウィントン氏にとって感動的なものだった。ウィントン氏は、ナショナル ジオグラフィックのサメ特番「シャーク・フェス」の一つである「Baby Sharks in the City(ニューヨークの海に暮らすサメの赤ちゃん)」に出演している。

「信じられないほど感動しました」とウィントン氏は振り返る。「彼女はとても美しく、ホホジロザメの成魚をそのままミニチュアにしたようでした」

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1分ごとに活動を記録

 複数の研究機関や政府機関が毎年、音響タグや衛星タグを使用し、ロングアイランド沖の若いサメを追跡する調査を実施している。

 ホホジロザメの出産が目撃されたことはないが、毎年5月と6月に多くの赤ちゃんが現れるため、近くで出産が行われているようだと米海洋大気局(NOAA)持続可能漁業局の漁業管理担当者トビー・カーティス氏は述べている。同氏はロングアイランド沖の生育場に関する論文をいくつか執筆している。

 研究によって、サメの赤ちゃんはほとんどの時間をこの生育場で過ごしていることが明らかになった。90%以上の個体がロングアイランドの東海岸に沿って、海岸から約20キロの範囲を泳いでいるのだ。

 ロングアイランドのモントーク岬、ニュージャージー州ケープメイ、そしてニューヨークを結ぶ三角地帯に位置するこの生育場では、年間最大200匹のホホジロザメが育つと考えられている。

 リバティの活動はカメラタグで1分ごとに記録され、この生育場が安全なすみかとして重要な役割を果たしているさらなる証拠が発見された。10時間にわたる映像から、水深約45メートルまで潜ってイカを捕まえ、その後、海岸沿いでニシンの仲間メンハーデンの大群を補食するなどの習性が明らかになった。

 また、リバティの動きは、「サメの赤ちゃんはまだ体温を調節できないため、可能な限り20℃ぐらいの暖かい海域にとどまる」という仮説を裏付けた。

 この暖かい環境は、大型の捕食者が少なく、餌が豊富だという利点もある。特に、ロングアイランド周辺はあちこちに難破船があり、そこに多くの魚やイカが集まってくるのだ。

子ザメの遺産

 ロングアイランド沖で拡大しているホホジロザメの保育園は、保全の成功例だとカーティス氏は言う。

「サメも含めて、これほど魚がたくさんいる健康な海がニューヨークとロングアイランドのすぐ沖にあるのは驚きです。海岸沿いに何百万という人々が住んでいて、水路への影響もあるにもかかわらず、以前と比べるとこの生態系は今のほうがずっと健康です」

 リバティのタグは計画通りに外れて11日後に浮上した。しかし、生育場でもケープコッド沖でも、研究者たちはうまくいけばもう一度彼女に会えると見立てている。リバティの尾と脇には特徴的な白い模様があり、現在ケープコッドのデータベースにある700以上のサメのカタログに加わっている。

 この夏にも、カメラタグを取り付ける計画がすでに進行中だとウィントン氏は言う。

「人々はニューヨークをあまり野生的な場所だと思っていません。ですが、多くの種にとって大切な場所です」と氏は言う。「リバティへのタグ付けは始まりに過ぎません。私はこの研究の結果が私たちをどこへ連れて行ってくれるのかに、とてもワクワクしています」

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