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バスク地方の文化の十字路 スペイン、ビトリア=ガステイス

  • 2021年1月17日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 スペインの伝統豊かなバスク地方の内陸部に、文化都市を自負する街がある。地名は、カスティーリャ語の名前ビトリアと、バスク名のガステイスを併記したものだ。ここは中世のカスティーリャ王国とヨーロッパ北部を結ぶ最短ルート上に位置していたため、貿易や文化の十字路とも言うべき重要な場所だった。

 伝統的に外部の文化を取り入れる気質があるのか、ビトリアでは毎年7月に国際ジャズ・フェスティバルが催される。新進ミュージシャンに加え、アルバム『ビトリア・スイート』でこの街に敬意を表したトランペット奏者、ウィントン・マルサリスなどの大物もやって来る。

 そのマルサリスの銅像が立っているのがフロリダ公園の庭だ。ビトリアの街を緑豊かに彩るこの公園や他の公園のおかげで、ビトリア市民一人当たりの緑地面積はスペイン最大となっている。また、この街では自然保護だけでなく、持続可能な移動手段の利用も進んでいる。市民の多くが自転車や市電を利用することから、ビトリアは2012年に「欧州グリーン首都」にも選ばれた。

 ビトリア市民は、旧市街をはじめ、伝統を守ることにも熱心だ。丘の上から旧市街を見下ろすのは、ゴシック様式の荘厳なサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。通りはそれぞれ中世のギルドの名を冠している。立ち並ぶバーやレストランには地元の人々が集い、バスク版のタパスであるピンチョス(小さく切ったパンに食べ物をのせた軽食)を食べられる。

 旧市街の南端にある広場では、毎年8月、一風変わった祭りが開催される。この広場の名にもなった守護聖人、ビルヘン・ブランカ(「白いマドンナ」)を称える祭りだ。集まった人々が見上げるのは、傘を広げて空から舞い降りるバスクの村人「セレドン」の彫像。宴の始まりを告げる存在だ。セレドンはワイヤーを伝ってバルコニーに降り立つと、魔法のように本物の人間に「変身」し、人々に大いに楽しむようにと促すのだ。

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※「いつか訪れたい旅先25 2021年版 再び旅立つ日を信じて」ほか、旅の記事は「旅・文化の記事一覧」でまとめてご覧いただけます。

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