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【動画】仲間を進んで助けるヨウム、鳥で初の行動

  • 2020年1月16日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 オウムの仲間でアフリカに生息するヨウムに、自ら進んで仲間を助ける習性があることが、1月9日付けの学術誌「Current Biology」に発表された。鳥類でこの行動が見られたのは初めてだ。

 ヨウムは脳が大きく、優れた問題解決能力を持ち、賢いことで知られているが、仲間を助けるといった複雑な社会性が鳥に備わっているかどうか、科学者たちは疑問を抱いてきた。スイス、チューリッヒ工科大学の生物学者デジレ・ブルックス氏によると、やはり「知的な」鳥として知られるカラスには、今のところそのような行動はみられない。

「オウムの仲間はこれまで実験されてこなかったので、仲間を積極的に助ける能力は鳥では進化しなかったという仮説に結論は出ていませんでした」

 ブルックス氏は、ドイツにあるマックス・プランク鳥類学研究所のアウグステ・フォン・バイエルン氏と協力して、8羽のヨウムを使って実験を行った。

 まず、真ん中に仕切りの入ったガラス製のケージを用意し、2羽のヨウムを仕切りの両側に1羽ずつ入れる。2羽は実験のたびに組み替えて、何通りもの組み合わせで実験した。ケージの仕切りには、ヨウムが互いにやり取りできる穴が開いている。また、ケージの壁にも、外にいる人間とやり取りできる穴があり、この穴を通して、ヨウムが人間にコインを渡すとナッツを受け取れることを学ぶようトレーニングした。

 そして、ここからが実験の本番だ。全てのコインをどちらか1羽のヨウムだけに与えると、そのヨウムはコインを持たないもう1羽のヨウムに、仕切りの穴を通してコインを分け与えていた。相手が友だちや家族の場合、より多くのコインを渡す傾向にあったが、見知らぬ相手であっても助けてやった。注目すべきは、相手が外の実験者と接触できないようになっていた場合、コインを分け与えようとしなかった点だ。つまり、相手に援助が必要か、または、自分の行為が役に立つかどうかを判断できるということだ。

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 大きくて流動的な群れをつくる動物では、ある個体が利他的であるという評判は役に立つ。「いい人」と認められれば、仲間に恵まれて有利になるからだと説明されるが、実験で見せたヨウムの行動は、そのような環境で進化した結果ではないかと、論文の著者らは考えている。

 米シカゴにあるリンカーン・パーク動物園の動物学者キャサリン・クローニン氏はこの研究に関して、コインを渡すという行為が単なる遊びである可能性を排除した点を高く評価した。「相手にもたらされる恩恵を考慮しているとみなして良いでしょう」

 さらにクローニン氏によると、動物における利他的な行動の研究は他にも増えており、人間特有の性質でないことを示している。

チンパンジーとボノボ

 その行動がとりわけはっきりわかるのが、人間に最も近いチンパンジーとボノボだ。

 チンパンジーは、困っている仲間のチンパンジーに何が必要であるかを評価し、その問題解決に役立つものを分け与えるという研究報告がある。例えば、飼育されるチンパンジーがおやつを手に入れようとしている仲間に、適切な道具を与える行動が観察されている。

「ヨウムの研究と同様、チンパンジーも仲間の必要に応じて、その場では見返りがないのに助ける習性があることを示した研究です」と、クローニン氏は言う。

 アフリカ原産の絶滅危惧種のボノボも、初対面のボノボに惜しみなく食べ物を分け与える行動が見られる。

吸血コウモリ

 牙を持ち、いかにも怖そうなチスイコウモリには、優しい一面もある。

 血液が不足して窮地に陥っている仲間がいると、それが家族であろうとなかろうと、コウモリは自分の摂取した血液の一部を吐き戻して分け与えるという。

 そして、ある個体が血液を分け与えるかどうかを予測するのに、血縁関係よりも、以前血液をもらったことがあるかどうかの方が重要な判断要素になるという。

ドブネズミ

 ドブネズミは仲間を助けるだけでなく、誰に助けてもらったかを覚えておいて、後でそのネズミに恩返しをする習性を持つ数少ない動物だ。2015年の実験では、質の高いおやつ(バナナ)と質の低いおやつ(ニンジン)を仲間に与えるように、ドブネズミを訓練した。

 次に、おやつを受け取る側だったネズミにシリアルを与えてお礼をする機会を与えてやると、ニンジンよりバナナを分けたネズミの方が先にシリアルをもらっていた。

ザトウクジラ

 ザトウクジラには、シャチの狩りを邪魔するという奇妙な習性がある。シャチと獲物の間に割って入り、シャチが近寄りすぎると大きなひれをバタバタさせる。こうして、アザラシやアシカ、他のクジラを敵から守る様子が観察されている。

 この行動がザトウクジラにとって何か利益があるのかはわからないが、ザトウクジラの子はシャチに狙われやすいという事実と関係しているのかもしれない。

 または、人間や他の霊長類、そしてヨウムもそうかもしれないが、クジラも善い行いを評価するようになったのだろうか。

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