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【動画】壮観!無数のウミガメが海に、一斉産卵へ

  • 2019年12月1日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 中米、コスタリカのオスティオナル国立野生生物保護区には、毎年、何万匹ものウミガメのメスが、産卵のため砂浜にやって来る。しかもその到来は何日かに集中している。

 スペイン語で「アリバダ」と呼ばれるこの現象を研究している生物学者バネッサ・ベジー氏は、その一環で、海を泳いで砂浜を目指すウミガメたちをドローンで撮影した。ほとんどがヒメウミガメだ。2016年11月のある日、ベジー氏はこれまでに記録されたなかで最も密集した群れを撮影することに成功した。

「何か特別なことが起きているとすぐに気づきました」と、ベジー氏は撮影当時を振り返る。「今でもこの動画を見るたびに感動します」

二つとない特別な場所

 これほど大規模なアリバダが見られる場所は世界的にもめずらしい。ここより多くカメが到来するのはメキシコ、オアハカのエスコビージャ海岸くらいと考えられている。

 ところで、なぜ今になって2016年の動画を公開したのか。ベジー氏は、ウミガメが以前より大きな脅威にさらされているからだと言う。コスタリカでは旅行者が増えているほか、住宅地の開発も進んでいる。ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるベジー氏は動画を公開することで、ここが二つとない特別な場所であること、絶対に守るべき場所であることを知ってほしいと考えている。

「アリバダの水上の様子をとらえた動画は初めて見ました」と、米サウスイースタンルイジアナ大学の生物学者ロルダン・バルベルデ氏は語る。「この現象を記録した写真は、ほとんどが海岸の写真です」

 ベジー氏がドローンで撮影した動画では、ウミガメは1平方メートルごとに1匹くらいいるように見える。これは前例のない密度だ。雨期全体を通してみると、1平方キロ当たりに記録されるウミガメの数は平均250匹。それでも十分に密集している。動画をさらによく見ると、浮かび上がってくるウミガメもいて、水面下にはもっと多くのカメがいるらしい。

次ページ:責任ある開発

 ベジー氏は、これほど多くのカメが主に8月から10月にかけてこの場所に集まる理由を解明したいと考えている。海流、海岸の方位、砂の種類などが関係している可能性がある。また、アリバダを大規模にすることで、カメが生き残るチャンスを高めているのかもしれないと、ベジー氏は分析している。

 国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、6種のウミガメが絶滅危惧種に指定されているが、ヒメウミガメもその一つだ。ベジー氏によれば、ヒメウミガメのライフサイクルにおいて、アリバダは極めて重要な役割を果たしているという。

「アリバダは謎の多い現象です。カメたちがどのように群れを形成するのかは、まだわかっていません」

卵の「安全」な採取

 オスティオナルとその周辺では、住宅地が急速に拡大している。責任ある開発を行うには法令を整備する必要があると、ベジー氏は提言している。

 オスティオナルに隣接する自治体ニコヤでは、野生生物保護区を取り囲む「緩衝地帯」での開発について、一連の指針を設けようと取り組んでいる。これを歓迎しない開発業者はいるものの、ニコヤ当局と連携する「ノサラ市民協会」のフランシスコ・ヒメネス氏によれば、住民の意見の約80%が指針案を支持しているという。

 ベジー氏は規制案の内容は開発業者に対して甘いと評価しているが、建物の高さ、光源の使用などが制限されれば、環境とウミガメに変化をもたらすことができると考えている。この一帯は成長が著しいため、何もしないよりはいいだろうと同氏は言う。

 コスタリカの保護区ではもともと、海岸から200メートル以内の開発は禁止されている。

 アリバダの最初の2日間は、ウミガメの卵を取ることが法的に認められている。最初に産み落とされた卵は、後から来たカメに踏みつけられる可能性が高いためだ。地元の人々は取った卵を販売し、その売り上げの一部でインフラ整備や海岸の警備、清掃といったプロジェクトを支援している。

 バルベルデ氏の研究によると、合法的な範囲なら卵の採取は持続可能なようだ。採取期間と場所のルールが確立されていることが理由の一つだ。同氏によれば、オスティオナルのヒメウミガメの個体数は安定しているようだが、数十年単位でさかのぼった場合、少し減少しているようにも見えるという。

 ただし、卵が違法に採取されることもあると、ベジー氏は指摘する。同氏は「トルトゥギオネス・シー・タートル・コンサベーション・プロジェクト」というNGOを立ち上げ、卵の採取や巣の破壊の実態を調べている。ベジー氏はさらに、ツアー会社と連携し、カメのじゃまをしない責任ある観光を推進する取り組みを行っている。

 ベジー氏は公開に踏み切ったアリバダの動画について、見た人がこれまで以上にウミガメを気にかけ、一帯の保護を支援してくれればいいと期待している。「私が動画を見せた人は皆、心を動かされていました」

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