サイト内
ウェブ

人権弁護士にむち打ちも、男尊社会と闘う女性たち

  • 2019年10月29日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 家父長主義は今も、社会に深く根を張っている。世界を見渡しても、男女間の格差を完全に解消した国は、今のところ一つもない。

 この分野の先進国は、アイスランドやノルウェーといった北欧諸国だ。世界経済フォーラムが健康、教育、経済、政治の四つの主要分野での男女格差を数値化した「世界ジェンダー・ギャップ指数」で、北欧諸国は最上位を占めている。マラウイなどサハラ砂漠以南のアフリカ諸国は軒並み下位だが、2カ国がトップ10に入っている。6位のルワンダと10位のナミビアだ。ルワンダの格付けが高いのは主として、1994年のジェノサイド(大虐殺)の後に女性支援の法律が次々に制定されたおかげだ。

 こうしたランキングを見ると、世界の同じ地域内でも、女性の影響力や課題には微妙な違いがあることがわかる。とりわけ中東とアフリカは、画一的な文化圏と見なされがちだが、実際には多様な表情を秘めている。

「中東の女性は一つのタイプには当てはまりません」。そう語るのは、レバノン人の俳優で映画監督のナディーン・ラバキーだ。アラブ女性の映画製作者として初めてアカデミー賞にノミネートされた実績をもつ。  

「多種多様なアラブ女性がいますが、その大半は、どれだけ困難な環境にあっても、強い意志をもち続けています。家庭内でも、もっと広い仕事の場でも、女性はそれぞれ自分のやり方で闘っています。彼女たちはとても大きな力を秘めているのです」

 チュニジアの議員で人権派の弁護士でもあるボシュラ・ベルハジ・ハミダに言わせると、アラブ女性は欧米の女性よりも権利が少ない状況を受け入れるなどと決めつけるのは「植民地主義者」の発想だ。ただし、権利を勝ち取る方法は欧米とは違うかもしれない。

実を結んだ女性たちの運動

 イランでは、ヒジャブと呼ばれるスカーフの着用を拒むなど、女性活動家が大胆に改革を訴え続けている。こうした運動に参加した女性たちは何人も逮捕された。その多くの弁護を引き受けてきた人権派の弁護士ナスリン・ソトゥデは、2019年3月に38年半の懲役と148回のむち打ちの刑を言い渡された。

 その一方で、長年にわたる女性たちの運動が実を結んだ例もある。イランの宗教指導者たちは2019年10月、イラン女性と外国人男性との間に生まれた子どもにイラン国籍を与えることを決めた。この権利については、中東のより進歩的な国々であっても、認められるにはほど遠い状況だ。

 一般に、女性の権利に関する進歩は、女性が身に着けているもの自体よりも、むしろ身に着けるものを自分で選べるかどうか、そのほか生活上のさまざまな事柄を自分で決められるかどうかで評価すべきだろう。

※ナショナル ジオグラフィック11月号「未来を築く」では、男性優位の社会で、政府や地域の先頭に立って男女平等を実現しようとしている世界中の女性たちに焦点を当てます。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
(C) 2019 日経ナショナル ジオグラフィック社