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秋本番! 独自の冬支度をする動物たち 5選

  • 2019年10月4日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 いよいよ本格的な秋の到来。動物が冬への備えで忙しくなる季節だ。シカや鳥、クマにいたるまで、多くの種が食料集めや伴侶探しに没頭する。

 科学者たちはこうした動物たちの行動を研究し、日々、新たな知見を見出しつつある。動物たちが気候や環境の変化にうまく適応する方法は、これから訪れる気候変動などの困難に対処していく上でのヒントになるかもしれない。

 冬支度に駆け回る動物たちの姿を紹介しよう。

ヘラジカの求愛、成功者の88%は「戦いの勝者」

 北米やユーラシア大陸の北部に生息するシカ科最大の動物、ヘラジカにとって、秋は交尾の季節。普段は単独で生活しているが、9月から10月半ばにかけてはオス同士がメスを巡って争う。

 ヘラジカの角は、春から夏にかけて伸びる間、柔らかくけばだった皮膚に覆われている。「袋角」と呼ばれる状態だ。だが、発情期にテストステロン(いわゆる男性ホルモン)の量が増えると、この皮膚がはがれ落ちて中から硬い角が現れ、戦闘準備が整う。

 米国アラスカ州のデナリ国立公園で40年近くにわたって行われた研究によると、交尾に成功したオスの88%が、角を突き合わせる戦いの勝者(たいてい、最も体が大きく地位の高い)だったという。メスは春、通常5月下旬頃から出産し始める。

旅の半ばでひと休みする渡り鳥

 渡り鳥たちは冬を越すために南へ移動するが、秋には、その途中でひと休みする鳥がいる。

 例えば夏の繁殖地を発ったハジロカイツブリは、米国カリフォルニア州のモノ湖やユタ州のグレート・ソルト湖にやってきて、餌を取ったり、換羽を済ませたりする。このほか「ひと休み」する鳥には、アメリカズグロカモメ、アメリカオシ、浜辺で見つかるコオバシギなどがいる。

 毎年、北極圏から南半球まで旅をしては戻ってくるコオバシギは、一気に約2400キロも飛び、浜辺でひととき休息し、餌を食べ、換羽を済ませる。そして毎年、正確に同じ場所へ帰ってくる。

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冬眠とクマの体

 秋、北米のクマは一心に餌を食べる。長い冬眠に備え、食べられるだけ食べて体重を増やすのだ。

 人間なら、肥満と運動不足が長く続けば、深刻な病気になるだろう。だが、2019年9月に学術誌「Communications Biology」に掲載された研究によると、ハイイログマは冬眠時期に遺伝子の発現が変化し、身体的に困難な状態に対処できるという。

 これにより、血糖値は正常なレベルに留まり、長い眠りの間も糖を必要とする脳が消費する分を残しておける。またその間、脂肪を代謝することもできる。論文の共著者で、米ワシントン州立大学の進化遺伝学者ジョアンナ・ケリー氏は、人間の場合はこうはいかないと指摘する。

食べまくるテントウムシ

 テントウムシの仲間は、約5000種におよぶ。北米では外来種であるナミテントウを含め、多くの種は、秋が近づくと「無数のアブラムシを食べて大きくなります」と、米メリーランド大学の昆虫学者マイク・ラウプ氏は話す。この大宴会が終わると、テントウムシは集まり、時には大集団を作って、長い冬が過ぎるのをじっと待つ。

 テントウムシは露出した岩の割れ目に潜り込むのを好むが、人家の脇に集まっていることもある。「うってつけの岩肌に見えるのでしょう」とラウプ氏は笑う。

 こうしたテントウムシの塊は、天敵に見つかりにくい。だが、腹を空かせた動物がこの集団を見つけ、派手な警戒色も気にしない場合、テントウムシは「最後の手段」に出ることもある。ラウプ氏によると、テントウムシは関節に当たる部分から嫌なにおいの体液を分泌し、それを味わった天敵はすっかり気分が悪くなってしまうという。

「冬眠」する唯一の鳥

 多くの鳥たちが越冬のため南へと忙しく旅する一方で、遠出をせずに過ごすものもいる。夜行性のヨタカの1種で、北米西部とメキシコに生息するプアーウィルヨタカだ。

 鳥類の中で、冬眠に近い休眠状態に入ることがわかっているのはプアーウィルヨタカだけ。休眠状態のとき、この鳥の体温は5℃まで下がることがある。

 プアーウィルヨタカは、地上で「冬眠」する。まだらの茶色がカムフラージュになり、ほとんど見えなくなる。カナダ、レジャイナ大学の生物学者マーク・ブリガム氏によれば、哺乳類同様、休眠に入る前に体重が最も重くなるという。

 ブリガム氏は米アリゾナ州での研究で、休眠中のプアーウィルヨタカが南西を向いていることを発見した。午後の日光が体を温め、代謝を補うのではないかという。

 同氏はプアーウィルヨタカの休眠について共著論文を書き、その論文は今年、学術誌「Oecologia」に掲載された。それによると、平均的なプアーウィルヨタカの休眠は約5日だったが、中には45日間眠り続けた個体もいたという。

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