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新種のピノキオガエル、鼻が勃起、目的は謎

  • 2019年6月11日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 ニューギニア島の森で見つかった奇妙なアマガエルが、このたび正式に新種として報告された。

 オスの鼻先が角のように飛び出しているこのカエルは、学名を「リトリア・ピノッキオ(Litoria pinocchio)」、通称「ノーザンピノキオガエル」という。

 オーストラリア、クイーンズランド博物館とグリフィス大学の爬虫両生類学者ポール・オリバー氏が、世にも珍しいこのカエルを発見したのは2008年。インドネシア、ニューギニア島のフォジャ山脈を調査していたときだった。(参考記事:特集「秘境フォジャ山脈」)

 キャンプで雨宿りをしていたオリバー氏が何気なくあたりを見回した拍子に、緑、茶、黄色のまだら模様のカエルが、米袋の上にちょこんと座っているのを見つけたのだという。

「わたしたちが見つけたというよりも、あちらがわたしたちを見つけたようなものです」とオリバー氏は言う。この新種のカエルは、学術誌「Zootaxa」の最新号の論文で、正式に「Litoria pinocchio」と命名された。

 ニューギニア島にはこのほかにも、鼻先が角のようになった同属のアマガエルが、数種生息している。オリバー氏のチームは、同じく「Zootaxa」に発表したもう一本の論文で、さらに2つの新種を報告している。

次ページ:「特筆すべきは、この鼻が勃起性であることです」

 オリバー氏らは現在、このかわいらしい長鼻が何のために付いているのかを探り続けている。

「特筆すべきは、この鼻が勃起性であることです」と、オリバー氏は言う。「まっすぐに立っていることもあれば、だらんと下を向いていることもあります。つまりこれは非常に精巧な器官であり、必ずや何らかの目的があるはずなのです」

メスを引き付けるか、種を見分けるか

 ひとつ考えられる仮説は、この鼻がメスを引きつけるのではないかというものだ。しかし、これには疑問があるとオリバー氏は言う。

「鼻に角のあるカエルの繁殖期の合唱を研究した生物学者らは、メスの相手をするオスの角の変化に、何のパターンも見られなかったと述べています」

 一方でオリバー氏は、カエルたちはこの角を目印に、さまざまなカエルが暮らす森の中で、種を見分けているのではないかと考えている。ニューギニア島では、すでに450種以上のカエルが確認されており、まだ見つかっていない種も多い。世界で二番目に大きなこの島には、世界のどの島よりも多くの種のカエルが生息している。

「わたしはふたつ目の仮説が気に入っていますが、生物学の世界ではよくあるように、真相ははっきりとはわかりません」

希望をつむぐ「チャンスの島」

 ニューギニア島がカエルの楽園であるという事実はあまり知られていないが、オーストラリア、ニューイングランド大学の保護生物学者であるデビー・バウワー氏によると、この島のカエル密度はアマゾンの雨林と同じくらい高いという。

「これまで知られていなかった希少な種の発見が続いているのは、ニューギニアのような遠隔地の生物多様性について、われわれがいかに無知であるかの証明です」とバウワー氏は言う。

「ピノキオガエルもそうした種のひとつであり、その存在は、両生類を襲うツボカビのような重大な脅威を防ぎ、これに備えるための保護戦略を立てることがいかに重要かを表しています」

 バウワー氏は、今のところツボカビが発生していないニューギニアのことを、「チャンスの島」と呼んでいる。なぜならこの島が、世界の両生類にとっての安全な隠れ家となる可能性を秘めているからだ。バウワー氏は先日、学術誌「Frontiers in Ecology and the Environment」に発表した論文の中で、ニューギニアに対し、ツボカビの出現と、もしも出現した場合にはそのまん延を抑える計画を早急に立案すべきだと求めている。

 バウワー氏は言う。「ニューギニアのような安全地帯の研究と保護に注力しなければ、われわれはその存在さえ知らなかった種を失うことになるでしょう」

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