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深宇宙から謎の「反復」電波バースト、過去2例目

  • 2019年1月12日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 深宇宙から発せられた13回の高速電波バーストが検出され、そのうちの1つには規則的な反復が見られることが、1月9日付け科学誌『ネイチャー』オンライン版に発表された。正確な発生源はまだわかっていないが、今回新たに検出された高速電波バースト群は、この謎の電波についての新たな手がかりとなる。

 高速電波バーストは2007年に初めて発見された、宇宙で最も奇妙な現象の1つだ。個々のバーストの持続時間は数ミリ秒(1ミリ秒は1000分の1秒)で、いずれも銀河系のはるか彼方から来ているらしい。

 原因はまだ解明されていないが、これまでにわかっている周波数などの情報から、毎日1000回近くの高速電波バーストが発生していると考えられている。ただし、これまでに検出された高速電波バーストの数はまだ少ない。

 今回、カナダの「カナダ水素強度マッピング実験(Canadian Hydrogen Intensity Mapping Experiment:CHIME)」の研究チームが、新たに13回の高速電波バーストを検出したと報告した。そのうちの1回は非常に珍しい「反復するバースト」だった。これまでの観測で、反復するバーストはほかに1回しか確認されていない。

 今回の論文によると、「リピーター」と呼ばれる反復する高速電波バーストと、それ以外の12回の通常の高速電波バーストは、地球から15億光年離れた領域から来ていた。13回のバーストのすべてが、これまでに検出された高速電波バーストの中で周波数が最も低かったが、同時に、これまでに観測されたものに比べて明るかった。これは発生源の環境と関係があるのではないかと、研究チームは考えている。

 カナダ、マギル大学物理学科の博士研究員、シュリハーシュ・テンダルカール氏は、「周波数が低い高速電波バーストほど遠くから来たということにはなりません」と説明する。「光は銀河間媒質や星間媒質中の高温のガスやプラズマの中を伝わってくるため、シグナルはさまざまな影響を受けているのです」

 例えば、電波は宇宙空間を伝わってくる間にねじれたり、散乱・吸収されたりする。したがって、研究チームは、13回の高速電波バーストはすべて、銀河の中の荒れ狂った高密度領域から来たのではないかと考えている。高密度の超新星残骸やブラックホールの近くなど、非常に激しい活動が起きている領域だ。

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深まる謎

 テンダルカール氏のチームは、今回検出された反復するバーストの構造が、過去に1回だけ検出された反復するバーストの構造によく似ていることにも気づいた。

「バーストの構造が似ているのは、非常に珍しいことです」と彼は言う。「どうやら、このような構造は『リピーター』にしか見られないようです」。つまり、今後、同様の構造を持つ高速電波バーストが見つかったら、それも「リピーター」である可能性が高いということだ。

 今回の反復するバーストは前回検出されたものより明るい。これは今回のバーストの発生源が前回のものより近いせいかもしれないが(前回のバーストの発生源までの距離は30億光年だった)、確実なところはわからない。より多くの例と比較するためには、新たなバーストの発生源を探さなければならない。研究チームはCHIMEを使ってバーストがやって来た方向の空の観測を続けると同時に、ほかの電波望遠鏡を使って今回の発見を確認しようとしている。

「さらなる手がかりを集めて、反復する高速電波バーストと単発の高速電波バーストが別々のものかどうかを解明したいと思っています」とテンダルカール氏は言う。「2種類のバーストは別々の天体から来ているのでしょうか? それとも互いに何らかの関連があるのでしょうか? どのような結果が出るか、今からワクワクしています」

 それだけではない。研究チームが今回報告したバーストを検出したときにはまだ、CHIMEの能力の一部しか使われていなかった。彼らの装置がフル稼働しはじめた今、もっと多くの高速電波バーストが検出されることが期待されている。

 米コーネル大学天体物理学・惑星科学センターの上級研究員であるシャーミ・チャタジー氏も、「CHIMEの発見には非常に大きな可能性があります」と言う。なお、チャタジー氏は今回の研究には関与していない。「彼らが今、どのくらいの高速電波バーストを観測できているのか、非常に興味があります。何十も、何百も観測しているに違いありません」

 チャタジー氏は、さらなるバーストが検出されれば、銀河の間の何もないように見える空間に分布するガスやダストやプラズマ(これらを「銀河間媒質」という)を調べるための有効な手段になるだろうと期待している。

「銀河間媒質の組成を教えてくれるような探査機を送り込むのは困難です」とチャタジー氏は言う。「銀河間媒質は星間媒質に比べてずっと希薄です。ここを通ってくる高速電波バーストは、銀河間媒質を調べ、こうした銀河間の環境を理解するための数少ない手がかりの1つなのです」

 高速電波バーストをめぐるこうした謎こそが魅力でもあると、テンダルカール氏は言う。

「知らないことがあるのは良いことです。新しい情報を得る楽しみがありますから。ただ、科学全般について言えることですが、1つの謎が解けた瞬間、新たに3つの謎が生まれるのですが」

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