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ハスキー犬の独特な青い目、関連遺伝子を発見

  • 2018年10月12日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 エレガントで思わせぶりな瞳。青い目の犬は一度見たら忘れられないものだ。この魅力的な特徴は、どのような条件で現れるのだろう。科学者たちはいくつかの手掛かりを解き明かし、10月4日付けの学術誌「PLOS Genetics」に論文が発表された。

 一部の犬種において、青い目が毛の色と関係していることを科学者はすでに知っていた。オーストラリアン・シェパードのまだら模様はその一例だ。しかし、独特な存在感があって人気のシベリアン・ハスキーなど、淡いブルーの目をもつほかの犬種についてはどうだろう?

 遺伝子検査をビジネスとするスタートアップ企業に所属する科学者たちが、この疑問の答えを探るため、青い目を生じる条件の調査に乗り出した。

 研究チームは、犬たちの完全な遺伝情報を史上最大の規模で比較し、青い目と強い関連のある遺伝子を特定した。研究を主導したのはエンバーク・ベテリナリー社のアダム・ボイコ氏とアーロン・サム氏だ。

 研究チームは6000匹を超える犬のDNAを解析。対象となったのは、飼い主が遺伝子検査キットを購入し、犬種や健康リスクを調べた犬たちだ。その飼い主たちがオンラインを通じての調査と写真の提出に協力してくれたおかげで、これほど大規模な研究が可能となった。

 その結果、18番染色体にあるALX4遺伝子の近くで生じた遺伝子の変異がシベリアン・ハスキーの青い目に強く関連していることがわかった。

 米ウエスタン健康科学大学獣医学部の遺伝学者クリストファー・イリザリー氏によれば、遺伝子が働く仕組みはドミノ倒しのようなもので、すべてに因果関係があるという。「1つの遺伝子が別の遺伝子のオン、オフに関わることもあれば、10の遺伝子をオフにして、さらにいくつかの遺伝子をオンにすることもあります。遺伝の仕組みはクモの巣のように複雑な構造を持ち、絶えず押し引きが行われています。しかも、順番とタイミングが重要です」

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「青い色素ではありません」

 オールド・イングリッシュ・シープドッグ、ボーダー・コリー、ウエルシュ・コーギー・ペンブロークなど、青い目が確認されている犬種はいくつもあるとイリザリー氏は話す。ただし、これらの犬種の場合、青い目は潜性形質として受け継がれるため、潜性遺伝子が2つ必要になる。

 ちなみに人間の場合は、HERC2とOCA2という2つの遺伝子によって青い目が生じているという。

 イリザリー氏はシベリアン・ハスキーのALX4遺伝子の近くで生じた変異について、目の色素生成能力が落ちる変化を招いているようだと分析する。色素が少ないと、瞳は青く見える。

「青い色素ではありません。目の中を出入りする光が青く見えるのです。空は青く見えますが、宇宙空間は青くありません。それと同じことです」

 エンバーク・ベテリナリー社の上級研究者であるサムズ氏は、遺伝情報の断片が重複するこの変異は、まだら模様のオーストラリアン・シェパードの青い目にも関連していると述べている。まだら模様の個体に青い目が生じる理由もこれまで解明されていなかった。

「21世紀の遺伝学のあるべき姿です」

 イリザリー氏は今回の研究について、遺伝子解析に使われたデータの量はとりわけ注目に値すると評価している。イリザリー氏はジャーマン・シェパード・ドッグの神経疾患を研究しており、40匹分のDNAを集めるだけでも大変だったと振り返る。道具を持ってあちこちに車を走らせ、DNAサンプルを1つずつ採取して回ったそうだ。

「6000人もの人が飼い犬のDNAサンプルを取り、1カ所に送り、ウェブサイトに犬の詳細な特徴を書き込む。これこそ大変革であり、21世紀の遺伝学のあるべき姿です」とイリザリー氏。

「民間の企業が飼い主の許可を得て、DNAサンプルを2つの目的に利用できるのは素晴らしいことです。1つは商品本来の目的、もう1つは研究目的です」と、米プリンストン大学の生物学者であるブリジット・フォンホルト氏も電子メールで絶賛した。

 イリザリー氏はさらに、飼い主たちが科学に貢献できることも利点として挙げている。市民科学にとっても、大きな一歩だ。「ペットが研究のきっかけになっただけでなく、DNAを実際に提供したのです。とてもクールだと思います」

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