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この10年で8種の鳥が絶滅か、評価の見直しを勧告

  • 2018年9月10日
  • ナショナル ジオグラフィック日本版

 ある生物の絶滅が迫ってくると、世界中の人々が最後の個体の死を気にかけるようになる。この夏に最後のキタシロサイのオス「スーダン」が死亡したときもそうだった。

 鳥類も例外ではない。このほど保全科学の学術誌「Biological Conservation」に発表された研究によると、この10年間のうちに少なくとも8種の希少な鳥類がひっそりと姿を消した可能性があるという。

 この研究は非営利組織バードライフ・インターナショナルの支援を受けて、絶滅寸前とされる61種の鳥類の統計分析したもの。8年がかりの研究で、8種のうち3種が絶滅、1種が野生では絶滅、4種は絶滅したとは言い切れないものの、その可能性が高いという結果が出た。

 2011年のアニメーション映画『ブルー 初めての空へ』は、人間に飼われていたオスのアオコンゴウインコ(Cyanopsitta spixii)が、野生で生き残っていた最後のメスと出会って結ばれる物語だった。今回の研究結果によれば、映画は10年遅かった。野生のアオコンゴウインコは2000年にいなくなったとみられ、現在は約70羽が飼育されているだけだという。

 国際自然保護連合(IUCN)は、世界の動物の個体数を記録するデータベースを持っている。バードライフ・インターナショナルはしばしばIUCNに評価の結果を提供している。そこで今回、2007年以降一度も目撃されていないブラジルのカマドドリ科の鳥Cichlocolaptes mazarbarnettiと、同じくブラジルのアラゴアスマユカマドドリ(Philydor novaesi、最後の目撃は2011年)、ハワイのカオグロハワイミツスイ(Melamprosops phaeosoma、最後の目撃は2004年)の3種を正式に絶滅種とするように勧告した。

 論文によると、1500年以来、合計187種の鳥が地球上から消えた。その9割が島にすむ鳥だった。絶滅の主な要因は、50パーセント近くが侵略的外来種で、約25パーセントが狩猟やエキゾチックなペットとして販売するなどのための捕獲だった。

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 野生生物の保護に携わる人々が現在最も心配しているのは、持続不可能な木材の切り出しや農業のための森林伐採による絶滅だ。

「今回の結果は、主として持続不可能な農業と木材の切り出しによる生息地の消滅と縮小が、複数の大陸に絶滅の波を広げていることを裏付けるものです」と、論文の主著者でバードライフ・インターナショナルの首席科学者であるスチュアート・ブッチャート氏はプレスリリースで述べている。

 かつてこうした生物の多くが豊富に生息していたアマゾン熱帯雨林では、森林伐採への懸念がますます大きくなっている。世界自然保護基金(WWF)は、2001年から2012年までに1700万ヘクタール以上の森林が失われたと推定している。2018年2月に学術誌「Science Advances」2018年2月号に発表された論文によると、アマゾンの森林地帯の40%が森でなくなると、生態系は回復不可能な打撃を受けると予想され、現在のアマゾンはこの臨界点に近づいているという。

 生物学者で、ナショナル ジオグラフィック協会の上級プログラムオフィサーであるルイーザ・アルネド氏は、特定の種類の食物だけを摂取したり、特定の樹木にのみ巣を作ったりする鳥は、生息地の消滅の影響を受けやすいと説明する。

「生息地が失われた途端、鳥たちが絶滅するのです」

 彼女はまた、森林に生息する鳥類の種類が減ると、森林伐採の問題が悪化するおそれがあると指摘する。多くの鳥は植物の種子を拡散し、花粉を媒介して、伐採された森林に生命を呼び戻すのに役立っているからだ。

 バードライフ・インターナショナルは、今回絶滅の可能性が高いとされた4種を絶滅したと断定するには、さらなる研究が必要だとしているが、いずれも2001年の時点ですでに目撃されなくなっている。

 ごくまれに、絶滅したと思われていた動物が再び発見されることもある。

 80年前に絶滅したとされていたヴァンゾリーニ・ボールドフェイスド・サキ(Pithecia vanzolinii)というサルの生存が2017年に確認されたことは、広大なアマゾン熱帯雨林の保全活動の数少ない勝利の実例だ。

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