海辺で何かを探す楽しみといえば、ビーチコーミング。貝殻やビーチグラス、種子や生きものの骨など、人それぞれにお宝があります。
ビーチコーマーには不人気なプラスチックも、観察してみるといろんな発見がありました。
イギリスのエレン・マッカーサー財団の報告書によれば、毎年少なくとも800万トン(毎分15トン)のプラスチックがごみになって、海に流入しているそうです。実際に海岸に行くと、色とりどりのプラスチックがたくさん見つかります。
海岸では 波や風の作用によって重さや大きさが同じようなものは、同じような場所に集まります。海岸線と並行に、いくつかの帯状のラインがありますので、じっくり見ながら歩いてみましょう。
満潮時にできたラインには、漂着物が運ばれてきていることが多いので、丁寧に観察してください。軽くて風で移動しやすいプラスチックは、砂浜の背後地の草むらの中にも入り込んでいます。コンクリートブロックなどの脇にも、プラスチックが吹き溜まっていることがあります。
近年プラスチックによる海洋汚染が問題視されています。生きものが漁網などに絡まったり、本来のエサと似て見えるプラスチックごみを食べてしまうなど、命を脅かす問題もあります。
ごみになったプラスチックが劣化して破片化し、5㎜以下のサイズになったマイクロプラスチックは特に厄介です。
最初は1個だったプラスチックごみが劣化とともに無数の破片になってしまうので、回収は困難ですし、植生帯の中に入り込むと風で転がることもなく、その場所でどんどん細かくなって砂にも入り込んでいきます。
小さくなってしまう前にクリーンアップしよう、と思ったときは、まず市町村の役場に連絡してください。海岸名やクリーンアップの予定日時を伝えると、ごみの分け方や置いておく場所などを教えてくれます。
小島あずさ 一般社団法人JEAN
出典:日本自然保護協会 会報『自然保護』2019年9・10月号