埼玉大学(さいたま市桜区下大久保)の総合研究棟1号館展示室で10月26日、「触れる機械展ミニ」が行われ、技術研究者や家族連れなどおよそ100人が来場した。主催は東京科学大学工学院機械系の葭田(よしだ)貴子准教授。(浦和経済新聞)
「見た目ベタベタ、触るとヌルヌル」を体験中
開催は今回が初めて。研究者仲間である埼玉大学工学部・辻俊明准教授から「オンラインではできないことをやってみよう」という提案を受け、画面越しでは伝わらない「触覚」の機械研究を一般にも知ってもらうことを目的にイベントを企画したという。
展示には、埼玉大学辻研究室(ロボット工学)、同大学高崎研究室(制御工学)、中央大学中村研究室(精密機械工学)、東京科学大学葭田研究室(脳科学)の4つの研究室が出展し、大学院生がインストラクターを務めた。会場には、研究と関わりのある「日本再生医療とリハビリテーション学会」の関係企業も、人体の動きを研究する技術や、機械義手などの身体の一部を補う精密機器を体験できるブースを設けた。
辻研究室からは、感覚を追体験させることができるペン型機器付きのロボットを紹介。同研究室の渡辺琉斗さんは「ペン先で物に触れた時の「力・速さ・位置」を記録し、その周波数の大きさを変えて再生する技術を使っている」と説明する。高崎研究室は、超音波振動子を使って「ぬるぬる」「ざらざら」などの感触を生じさせる機械を設置し、来場者に実際に触れてもらいながら仕組みを解説した。同研究室の菅原景哉さんは「テレビショッピングの紹介商品を『触って試せる』時代が来るかも」と展望を話す。
さいたま市大宮区から家族4人で来場した大島祐介さんは「インスタグラムで見かけ、子どもたちも興味を持ったので来場した。専門的なことを知らなくても楽しめる」と話していた。
葭田准教授は「機械を通じて『触る』技術は、技術者だけでなく、一般からの感想も取り入れながら研究を進めることが大切な分野。10年後の未来に興味のある人に、次回もぜひ来てもらえれば」と呼びかける。