およそ1200年前から受け継がれている神事「上総十二社祭り」が9月8日~14日の7日間にわたり行われた。(外房経済新聞)
すべてのみこしに「差し上げ」の指示をする、上総十二社祭り保存会青年部吉野部長
千葉県指定無形民俗文化財に登録されている同祭。12基のみこしが一宮、睦沢、いすみ、茂原の各神社から集う。主催は「上総十二社祭り保存会」。コロナ禍で4年間開催されなかったが、昨年、再開した。神社関係者や氏子総代、保存会青年部が中心となって運営し、およそ2000人~3000人が参加するという。
13日の例大祭では、一宮の玉前神社をはじめ各神社から9基のみこしが釣ヶ崎海岸の祭典場に向け出発し、年に一度の再会を果たした。
祭りに参加した地元出身の農家の男性は「今年は息子を担ぎ手デビューさせるため、一緒に参加した。地元の人に息子をお披露目した。来年以降も参加するので、将来、見守ってもらえれば」、他県から一宮へ移住してきた男性は「移住者でも担ぎ手として受け入れてくれる祭り。地元の人とコミュニケーションが取れる大事な機会。これからもこのつながりを大事にしたい」と、それぞれ話していた
当日は気温30度を超える暑さだったが担ぎ手たちは暑さにも負けず、釣ヶ崎海岸に到着すると波打ち際を疾走。祭典場に集まったみこしの「一斉差し上げ」が始まると、会場に集まった観客からは大きな歓声が上がった。
同保存会青年部の吉野健史部長は「年に1回の祭り。毎年9月に開催するが、準備を始めるのはゴールデンウイーク明けから。長い準備期間を経て神事が行える。青年部部長としての責任は重いが、やりがいもある」と話す。
「この祭りは神事として執り行うため、毎年9月8日から14日と決められている。平日になることが多く、他の地域のお祭りのように土曜・日曜・祝日に日程を調整しようとの意見もあるが、神事ということを大事にしているので、平日開催でもそのまま行っている。そのため、地域の協力が必要不可欠。地域一体となってこの祭りは行われている。この伝統は次の世代の子どもたちにも受け継いでいきたい」とも。