パリパラリンピックでメダルを獲得したボッチャ日本代表(火ノ玉ジャパン)の遠藤裕美選手と遠藤さとみ選手(競技アシスタント)らが10月2日、長谷部健渋谷区長らを表敬訪問した。(シブヤ経済新聞)
庁舎内のコートでボッチャをする遠藤裕美選手や長谷部健渋谷区長ら
重度脳性麻痺者や同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたボッチャは、障がいの有無や年齢、性別などを問わず「誰もが手軽に楽しめる」競技としても浸透。渋谷区では東京パラリンピック開催決定を機に普及活動を始め、2022年には区庁舎15階に常設のボッチャコートを設置。区民らが使えるようにしている。
区と区教育委員会は2019年、日本ボッチャ協会と相互協力に関する協定を締結。区立小中学校を対象に出前授業を行い、体験を通してパラスポーツへの理解を広げる啓発活動を展開。2020年度からは区民が参加できる「ボッチャ渋谷カップ」を開催しているほか、渋谷区スポーツ協会(旧渋谷ユナイテッド)では、2021年度から学校部活動のスポーツ・文化活動の一つとして「ボッチャクラブ」を運営している。
日本代表は今大会で2個のメダルを獲得、5つのカテゴリーで8位入賞を果たした。遠藤裕美選手と母親で車いすの補助やボールを手渡す競技アシスタントのさとみ選手は、初出場ながら女子個人として初のメダルとなる銅メダル(脳性まひBC1)を獲得。混合団体でも銅メダルに輝いた。
日本ボッチャ協会代表理事の澤邊芳明さんは「ボッチャは世界78カ国が参加していて、パラリンピックの中でも競技人口はトップクラスに多い競技。東京大会でメダルを取ったことで日本の選手たちはマークされて、かなり対策された。その中で、アジア各国が台頭してきて国を挙げて支援してメダルを取る体制を整えてきているので、日本も渋谷区をはじめ、引き続きぜひ応援、ご指導いただき勝てるチームにしていきたい」とあいさつ。
車いすラグビー(ウィルチェアラグビー)日本代表が渋谷センター街でパレードを行ったことに触れ、「本当に悔しく、うらやましかった(笑)」と冗談めかすと、長谷部区長らは11月に控える「くみんの広場 ふるさと渋谷フェスティバル」内でパレードを行うことを提案した。
裕美選手は「初出場となった個人戦では銅メダルを獲得でき、チーム戦では3大会連続のメダルを獲得できた。皆さんの応援がしっかりパリに届き、私たち選手がコート上で最高のパフォーマンスを発揮できて最高にうれしく思っている」と喜びを表現した。
長谷部区長は「おめでとうございます」と祝福しつつ、「これを機にさらに上のメダルを目指して頑張ってもらえたら。区でできる応援があれば何でもやりたい」と宣言。区役所内に「ボッチャ部」ができたことにも触れ、「渋谷区もボッチャをやる人が増えてきて、広がってきていることもうれしく思っている。トップのプレーを渋谷区で見せてもらえたら。15階のボッチャコートも毎日使われている状況ので、さらにどこかに増やすことも含めてやっていきたい。障害だけでなく世代も超えてできるスポーツなので、渋谷区に根付かせられるように一緒に取り組んでもらえたら」と呼びかけた。
長谷部区長や裕美選手らはその後、庁舎内のコートでプレーをした。同協会は来年、健常者のチームが出場する日本全国大会を、再来年には老若男女や障害有無関係なく参加できるインクルーシブ大会を、それぞれ予定している。