自家焙煎(ばいせん)コーヒーの販売やヘーゼルナッツの栽培に取り組む「nomos(ノモス)」が、9月からヘーゼルナッツの収穫を行っている。(盛岡経済新聞)
枝に付いたヘーゼルナッツの実
代表の内澤啓太さんはコーヒーと一緒に提供できるものはないかと探す中、昭和30年代に岩手県林業技術センターでヘーゼルナッツ栽培の研究を行っていた資料を発見。岩手の新たな名物にできないかと、2021年に試験栽培を始めた。当初は10本の苗木を購入し、岩手の環境に適応できるかを確認。2022年に100本の苗木を購入し、2000平方メートルの農地を借りて本格的な栽培を始めた。現在は8種類200本を栽培している。
ヘーゼルナッツは順調に成長し、植えた時の2倍の大きさに育った。内澤さんが畑で作業中に、木に実が付いているのを発見。一本一本確認していくと、他の木にも実が付いているのが分かった。「見つけた時はびっくりした」と内澤さん。「ヘーゼルナッツは3~5年で実がなり始める。今年でちょうど3年目なので教科書通りの成長と言える。実がなるまで不安なところもあったが、ようやく一安心。実の形がかわいくて愛しさもある」と笑顔を見せる。
初めての収穫となったヘーゼルナッツは、10本ほどの木からわずか数十個。ヘーゼルナッツの実は成熟すると自然に落下するが、8月末に続いた大雨の影響もあり、成熟前に落ちてしまった実も少なくない。一度実が付くと次のシーズンは実の付きが良くなるといい、実際に花芽の数も増加しているという。農業にも初挑戦だった内澤さん。「全てが手探り。疑問があれば自分で調べて解決することの繰り返し。この3年間が報われた」と振り返る。
来年以降は収穫量の増加を目指し、将来的にはヘーゼルナッツを使った菓子やドリンクなどの製造販売も目標にしている。実がなり、収穫ができたことを発信することで、栽培者の増加にも期待を寄せる。
今年収穫した実は数個を試しに食べた後、保存しておく予定。内澤さんは「記念すべき初収穫なので、残しておこうと思う。年を重ねて成長する木々を見て自分の励みとしてきた。今が新しいスタートライン。これからも楽しみに栽培を続けたい」と笑顔を見せる。