国内12番目となる水鳥・湿地センター「涸沼水鳥・湿地センター」の展示施設(下石崎2585-4)が11月10日、茨城町の涸沼(ひぬま)湖畔にオープンした。(水戸経済新聞)
施設外観(写真提供=茨城町)
茨城町の展示施設と鉾田市の野鳥観察に特化した観察棟「鈴の音テラス」(箕輪)の2拠点で構成する同センター。ラムサール条約登録湿地「涸沼」のワイズユース(=賢明な利用)を推進するため、環境省と茨城町・鉾田市がこれまで施設の整備を進めてきた。役割は「涸沼の魅力を知ってもらうための情報提供拠点」「涸沼を守り継承するための活動拠点」「涸沼の魅力に触れるための利用拠点」という。
茨城町の施設には、涸沼の歴史や汽水湖の環境、水鳥、魚類、昆虫、植物など豊かな生態系について紹介する「展示コーナー」、学習の拠点として利用可能な「レクチャールーム」、「ライブラリー」を備える。施設と涸沼の間にはサイクリングロードがあり、サイクリストが自転車を停めて立ち寄れるよう、「サイクルポート」を設置する。施設南側にある「見晴らしデッキ」からは涸沼が一望できる。
展示室には、涸沼のシジミ漁で使っている船、「カッター」と呼ばれる漁具、茨城町指定天然記念物で平均体長約3センチの「ヒヌマイトトンボ」の20倍拡大模型、ウナギなどの水生生物の姿が観察できる水槽、シジミ漁が擬似体験できるコーナーを設ける。
同センターでは施設オープンに合わせ、環境・観光ガイドブック「涸沼は僕らの遊び場だ!!」の配布も始めた。同冊子には、ラムサール条約や涸沼の文化と生き物、施設紹介、涸沼を囲む3市町「茨城町・大洗町・鉾田市」の、グルメ、レジャー、観光情報などを掲載している。
11月9日は、茨城町と環境省関東地方環境事務所の主催で記念式典が行われ、小林宣夫茨城町長をはじめ出席者によるテープカットが行われた。
環境省関東地方環境事務所の神谷洋一所長は「涸沼の自然や生態系はすばらしい。施設には地元の文化的な展示もあり、人と自然の関わりを学ぶこともできる。地元内外の人に来ていただき、涸沼の魅力に触れてほしい。さらに世界の人に向けて涸沼の情報を発信し、次世代を担う子どもたちのためにもこの生態系を守り、未来へ継承していきたい」と話す。
同施設の横田祐之センター長は「施設建設に当たり1年以上前から関わり、やっとオープンを迎えることができた。涸沼の魅力を発信する拠点となる施設ができたので、多くの人に『涸沼』に興味を持っていただき、豊かな自然に親しんでもらえたら」と話す。
開館時間は9時~16時30分。月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。