相模原の井上農園(相模原市南区下溝)が現在、来年1月に初出荷するバナナを栽培している。(相模原町田経済新聞)
相模原産バナナ
主に造園業を手掛ける同農園は2023年、レンタル用の観葉植物を栽培する温室を生かしてバナナ栽培をスタート。まもなく2回目の収穫期を迎える。
バナナ栽培をはじめたきっかけについて同園専務の井上喬之さんは「コロナ禍でオフィスに飾る観葉植物の需要が減った。施設を生かす手段でバナナに目をつけたが、農業は未経験だったので手探り状態だった」と振り返る。
栽培するバナナの種類は、「幻の品種」と呼ばれ、高級スーパーなどで1本1,200円~1,500円で販売されるというグロスミッシェル。甘みが強くねっとりとした食感が特徴で皮まで食べられる。
「グロスミッシェルは他品種と比べて、寒さに強くて樹高が低いという特徴がある。栽培条件で品種を選んだ」(井上さん)。栽培方法は岡山県で同品種を栽培する農家に学んだが、相模原の環境に合わせるために様々な苦労があったという。
同農園では、安全安心なバナナを子どもたちに食べてほしいと無農薬で栽培。天敵である虫を取り除くため、毎日手作業で葉を拭くなどの手間をかける。収穫初年度は近隣の住民や幼稚園の園児に配り、一部を来社した人に販売したところ、好評だったという。
2回目の収穫分は初めての一般流通で、相模原市のふるさと納税返礼品に加わった。「おいしいバナナを届けるために頑張っている。ただ、小さな苗から時間と手間をかけて育ててきたので、収穫はどこか寂しさも感じる」と井上さん。「市内の有機肥料や土を使って育てられるように研究している。バナナを通して地域を盛り上げていきたい」とも。