「秩父札所」の巡礼道沿いに設置する道標の付け替え作業が11月5日、秩父札所連合会メンバーや市役所や町役場の協力で始まった。(秩父経済新聞)
新しい秩父札所の道標
秩父札所は、秩父市・横瀬町・皆野町・小鹿野町にまたがる34カ所の観音霊場で、坂東33カ所、西国33カ所とともに日本三大観音霊場の一つに数えられている。今回の道標設置は秩父札所1番から34番まで、巡礼者がスムーズに徒歩で道を進むために設置する。
併せて、秩父札所巡礼道のロゴも一般公募から選んで刷新した。新しいロゴは、秩父の「父」の字をモチーフに、かさとつえを持った巡礼者の姿をイメージしたもので、巡礼道であることが直感的に分かるデザインとなっている。秩父札所連合会の事務局長を務める秩父札所10番「大慈寺(だいじじ)」副住職の斉藤雄大さんは「インバウンド観光客にも配慮し、札所巡礼を『pilgrim』とするかどうか迷ったが、秩父夜祭を『Yo-matsuri』と表記しているのと同様に、地元の人にも分かりやすい表記を考慮し『Fudasyo(札所)』と表記した」と話す。
当日は、秩父市観光課の岩本さんや横瀬町振興課の関口さんを含め、同連合会関係者ら7人が参加。全員で札所1番から9番まで約13キロを歩き、作業を行った。現在設置されている古い道標を外して新しい道標に交換する作業や、分かりづらい分かれ道や道中に道標を新設した。新しい道標には左右を示す矢印を表記したものもあり、行き先の分かりやすさを向上させた。今回準備した道標は250枚だが、今後の作業次第で追加も検討する。
今後は道標の位置やトイレ、近隣の店などの情報を含めた案内地図も新たに作成予定。これまでは各札所が個別に道標を設置していたため、統一的な管理が行われていなかったが、今回を機に設置場所を一元管理し、巡礼者向けの案内を強化する。
秩父札所1番「四萬部寺(しまぶじ)」副住職の丹羽隆浩さんは「普段私たちでも巡礼道を歩くことはあまりない。市や町の職員には道が分かりづらい所を客観的に指摘してもらったり、観光トイレの位置を教えてもらったりして、大変助かっている」と話す。
秩父札所32番「法性寺」住職の荒谷哲巨さんは「初日の作業日は天気が良く、順調に進んだ。情報が多ければ後で選択できるので、ランニングアプリを使って標高差を記録し、案内地図に反映できるかも検討している」と話す。千葉から訪れた巡礼者は「道に迷ったとき、道標があると非常にありがたい。四国の札所巡りをした時も、道標に助けられてスムーズに回ることができた」と道標の重要性を話していた。
この道標設置作業は、来年3月18日まで作業日を分けて行う予定。