ダイキン工業滋賀製作所(草津市岡本町)の敷地内にある「ダイキン滋賀の森」が11月1日、環境省「自然共生サイト」に認定され、環境省から認定証を授与された。(びわ湖大津経済新聞)
春には在来種のカンサイタンポポが一面に花を咲かせる
ダイキン工業(大阪市)は2010(平成22)年、生物多様性保全に関する基本方針を制定し、2011(平成23)年に滋賀製作所の敷地内の庭園約1000平方メートルを「ダイキン滋賀の森」と名付け、周辺の地域本来の自然(里地里山)を再現することを目指した取り組みを始めた。
1970(昭和45)年の滋賀製作所設立時からあった庭園や池、樹木を残しつつ、琵琶湖や田上山地など近隣地域・同流域の植物を植え、池に絶滅危惧2類のミナミメダカを放流。ホタルの自生を目指して水路を作った。外来種を取り除き、在来種の保全に取り組むと、鳥やチョウ、トンボなども飛来するようになった。池には準絶滅危惧種の水草トチカガミが自生し、ミナミメダカも1000匹以上生息している。春になると、繁殖力の強いセイウヨウタンポポの影響で減少している在来種のカンサイタンポポが一面に咲く。
自然共生サイトは企業の森や里地里山など民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている地域を国が認定する制度。2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全しようとする国際目標「30by30(サーティー・バイ・サーティー)」達成のため、環境省が2023年度に認定を始め、全国で253カ所が認定されている。
ダイキン滋賀の森は、里地里山の環境を再現し、多様な動植物から成る生態系が存在し、ミナミメダカなどの希少な動植物種が生息していることが評価され、自然共生サイトの認定を受けた。
近隣の小学生がどんぐりや松ぼっくりを拾い、自然や外来種について学ぶ環境教育のフィールドとしても活用されている。小学校に渡した苗を苗木に育てて児童に植樹してもらう活動にも取り組んでいる。
空調生産本部の大家玲奈さんは「市内には住宅地が多く、生き物が暮らせる場所が減ってきている。ビオトープに完成はないので、環境の専門家のアドバイスを受けながら生き物の生息場所を守っていきたい」と話す。