日本都市センター会館8階にある「防災専門図書館」(千代田区平河町2、TEL 03-5216-8716)で10月30日、企画展「南海トラフが動くとき~安政東海・南海地震から170年~」が始まった。(赤坂経済新聞)
防災専門図書館の廊下の展示スペースの様子
同館は、1956(昭和31)年7月6日開館した防災・災害に特化した専門図書館。蔵書は約17万冊で、地震や洪水などの自然災害だけでなく、火災・公害・事故・戦災など人為災害も扱う防災・災害に関する資料を収集し一般に公開している。入館無料で誰でも利用できる。
今回の企画展は「安政東海・南海地震」にちなんで企画したもので、11月5日の「津波防災の日」に合わせて公開を始めた。
「津波防災の日」は、東日本大震災を教訓とした津波対策の推進に関する法律により2011(平成23)年6月に制定。1854年11月5日、「安政南海地震」による津波が和歌山県を襲った際のエピソード「稲むらの火」にちなんで定められた。
司書で学芸員の堀田弥生さんは「南海トラフ地震は、繰り返し発生する海溝型地震。文献上で確認できるのは、飛鳥時代の白鳳(はくほう)地震が最初。以後、1944(昭和19)年の『昭和東南海地震』、1946(昭和21)年の『昭和南海地震』まで、幾度となく発生してきた。当展では170年前の江戸時代に発生した『安政東海地震』と『安政南海地震』にスポットを当て、今後の南海トラフ地震への対応を考えるきっかけにしてほしいと思い企画した」と話す。
今回の展示は、歴史上、繰り返し発生してきた南海トラフ地震の歴史を概観できるように構成する。エレベーターホールでは、同館が所蔵する「安政東海・南海地震」の瓦版の複製16点を解説と共に展示。希望者は職員に伝えると本物の瓦版も閲覧できるという。
廊下の展示スペースには、すごろく仕立ての瓦版をコマごとに詳細に紹介するほか、「繰り返す南海トラフ地震」や、「昭和東南海地震」「昭和南海地震」をグラフや写真で紹介。閲覧室では、「南海トラフ巨大地震の被害想定」についての展示を行うほか、南海トラフ地震に関する蔵書も見ることができる。このほか、首都直下地震についての展示も行う。同展を見に訪れた来館者には、「安政東海・南海地震」の被害を描いた同館が所蔵する瓦版を印刷した「すごろくクリアファイル」を配布する。
堀田さんは「来場された方には詳しく展示の解説をするので、気軽に声をかけていただければ」と話す。
開館時間は9時~17時。土曜・日曜・祝日・年末年始は休館。入館無料。2025年7月18日まで。