夏も近づいてきました。
アウトドアでの活動も増えてくることでしょう。熱中症という言葉を聞いたことがありますか?
特に最近は猛暑日が多くなり、注意が必要になってきました。
ポイントは水分補給と無理をしないこと。すぐにできる熱中症対策をお教えしましょう。
気温が高い環境での活動中、脱水症状や体温調節が利かなくなった状態を「熱中症」と呼びます。炎天下での川遊び、ハイキングなど、これからの時期のアウトドアは熱中症がおきやすい環境になりますので、十分に注意しなければなりません。
熱中症には発生の経緯、状況によって3つの症状があります。以下にその特徴をあげます。
●熱射病
体温の上昇によって脳などの中枢神経に異常をきたした状態。はじめは全身が熱くなり、顔面が高潮し大汗をかく。その後、皮膚が乾燥し、頭痛、めまい、吐き気を訴え、ひどい場合には意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がある。死亡率が高い。
⇒対処法: すばやく体を冷やしながら、集中治療のできる病院へ、一刻も早く運ぶ。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが、その後を左右するので現場での判断・処置が重要である。体温を下げるには、水をかけ、濡れタオルをあててあおぐ、わきの下、足の付け根など太い血管がある部分に氷やアイスバックを当てるなどの方法が効果的。循環が悪い場合は、足を高くし、マッサージをする。
●熱疲労
脱水(大量の発汗、不十分な水分補給)による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられる。時に、高温高湿での活動が続くと、末梢血管が広がり、全身への血液量が減少し、血圧が低下することにより失神する場合もある(熱失神)。
⇒対処法: 涼しい場所に運び、衣服を緩めて寝かせ、水分補給をすれば回復する場合が多い。吐き気や嘔吐などで水分補給できない場合は、病院で点滴を受ける必要がある。
●熱痙攣(けいれん)
大量に汗をかいたときに塩分が入っていない水だけしか補給しなかったため、血液の塩分濃度が低下し、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴った痙攣がおこる。
⇒対処法: スポーツドリンクや生理食塩水(0.9%)を補給すれば、通常は回復する。
体調はもちろん、活動環境や活動時間帯、休憩のタイミングなどもよく考え、健康に安全に楽しくアウトドアを楽しみましょう。
参考:キャンプ指導者入門(社団法人日本キャンプ協会発行)
(2008.6.12更新)
著者プロフィール
高瀬 宏樹 (たかせひろき)
日本キャンプ協会の職員として、全国を飛び回ってキャンプを指導することがしごと。ふだんはキャンプインフォメーションセンターで広報業務や相談に応じている。3歳と8歳の男児の父親として体を張った子育てを実践中。