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Vol.03 さくら咲くときアナタははじまる
写真画家・詩人 KAZZ 森下さん

  • 2006年12月1日

写真画家・詩人 KAZZ 森下さん

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PROFILE

愛知県生まれ。博覧会等の大型プロジェクトのプランナーを長年経験する事で、逆に手の平サイズの創造に対するこだわりが抑えきれないようになり、写真画・詩作などを中心としたアーティスト生活に入る。
過去の著作に、詩集「君が為」、アーティスト毛利臣男とのコラボレーション「挽歌の時代」等。本年3月24日(月)より4月5日(土)まで、銀座「風 GALLERY」にて出版記念展覧会「さ く ら…咲く」…in GINZAを開催。

「写真画」というのはどのような作品のことを言うのですか?

 基本的には写真がベースです。私の作品テーマは、樹木を中心とした自然光景であり、先ずは山の中にカメラをぶら下げて入り込みます。ある時は沼地だったり、また、ある時は腰までのブッシュだったり。半分は自然と戯れて遊んでいる感じですが。

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そこで撮影したフィルムをコンピューターに取り込み、コンピューターの中でフィルムを元に自分の心に映った心象風景をつくってゆきます。カメラによって撮られた光景は、ある種ありのままの世界と言えますが、私が表現したいのは心の中に映った光景です。記憶にないのに懐かしい。ひょっとしたら、私たちの祖先が人間になるずっと前に見たかも知れない原風景としての光景。自分が最も素直になれる瞬間を写し出すことが、最大の楽しみです。

 

今回刊行された写真画詩集「さくら」も、そんな思いでつくられた作品ですか?

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出版記念展覧会「さくら」イメージ

 「さくら」は、もう少し直球勝負の作品です。母が昔生きていた頃、「桜も良いけど、年を取ると梅の美しさの方が好きになるものよ。風に舞い散る桜の潔さは余りにも切なくて…」と言っていました。幸いにして、身体のポンコツ具合とは裏腹に、今の所まだ私は桜の方が好きです。この5年間、本当に色々な桜と出会ってきました。その名をとどろかす名木や、千年を生き抜いた桜。あるいは、山奥の道端に咲いた名もなき桜…。そのどれもが私に語りかけてきました。多分、美しいご婦人ばかりを撮っているカメラマンは、こんな気分を味わっているのではないかと思えるくらいの恍惚で。その気持ちを伝えるために、今回は写真画の創作とともに、現代詩という手法をプラスしてみました。見事に開花を誇る桜。せつなくハラハラと舞い散るサクラ。健気に根を張るさくら…。その瞬間・瞬間に凝縮された確かな想い。そんな「さくら」たちの情感は、時にのんびりと、あるいは寂しげに、私たち人間の人生そのままの明暗を、くっきりと浮き彫りにしてくれます。

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