Vol.23　中條淳子さん
食物アレルギーの子どもに 食べる幸せを…SWEETS AID

菜食料理研究家/中條淳子さん

Profile
香川県生まれ。商社に勤務の頃マクロビオティックと出会い身体の不調を克服。その後マクロビオティックの勉強を。2008年 リマクッキングスクール師範科修了。2009年家庭玄米菜食料理の「禾nogi cafe」（ノギカフェ）をオープン。2010年1月　株式会社 禾(ノギ)を設立。2011年11月、アレルギー対応のおこめのおかし「SWEETS AID (スイーツエイド)」オンラインショップを開設（現在、カフェ部門は休業中）。

 

　今回ご紹介する中條淳子さんは、マクロビオティックとの出会いで身体の不調を克服したものの、マクロビオティックをやり始めて 気付いたことが「自分たちが食べたいものをお店では食べられない」ということが問題。それがマクロビオティックのカフェを始める きっかけとなり、その後、東日本大震災でアレルギー対応のお菓子を支援物資として被災地に送り、その時の要望などからアレルギー 対応のお米のお菓子を作り、現在ネット販売されています。

マクロビオティックとの出会い

　中條さんのマクロビオティックとの出会いは、商社に勤務していた頃の身体の不調にあります。「当時の私は、多忙を理由に仕事をしながらごはん代わりに大好きなチョコレートでエネルギーを取るだけの生活をしており、午後3時位になると椅子に座っているのもだるい状態。病院に行っても過労や睡眠不足とのことで、あえて自分の生活を顧みて生活改善しようとは思いませんでした」という中條さん。そんなある日、『粗食のすすめ』の幕内秀夫先生と出会い、その中に書かれている低血糖症の典型的症状が自分の症状にぴったり合致したという。
　「いったん『病気です』と病名をつけられると、これはいけない！と頑張れるもので、先生が玄米食を勧めていましたので玄米を食べるようになりました。今まで太るからと、ご飯粒は食べずにいましたが、いつの間にかたくさんの玄米ご飯を。でも不思議なことに体重が増えることはなく、体重は減る一方でした」
　そして中條さんが玄米食生活を始めて１ヶ月過ぎた頃、いつも通勤道の上り下りで、毎回苦しくて休み休みという感じだったのが息もあがっていないのに気付いたそうです。玄米のご飯を食べるだけで、これだけ身体が変わるのであれば、他の食材もそれぞれ色々な役割を持っているに違いないと興味を持ち、様々な健康法食事法を調べ、そんな中で自分の疑問に全て納得する答えをくれたのがマクロビオティックだったそうです。

マクロビオティックのカフェ

カフェ店内とマクロビオティック料理の一例 　中條さんがカフェを始め、来店されるお客様は、当初中條さんが想像していた方々とは違ったそうです。もちろんマクロビオティックの玄米菜食の方もいましたが、食物アレルギーを持つ子供たちとそのご家族が多く来店するようになっていきました。
　「このお店では、卵・乳製品が混入してる心配がないので安心してなんでも食べさせられます。そして、家族全員で同じお店でみんながお店の物をデザートまで食べられるお店はありませんでした」と喜ぶ来店者の方々。
　マクロビオティックでは、甘いものはあまり頻繁に食べるとよくないものなので、当初ケーキなどのデザートを色々作ることに抵抗感があったという中條さん。しかし「嬉しそうにケーキやお菓子をほおばる子供たちの笑顔に、食べられるという幸せ感というものを見ました。身体に優しい食事や健康であるための食事は大切です。そして、家庭の食事の大切さを伝えようと始めたお店でした。食べるということ、特にお菓子の甘いふわふわしたものの幸せ感というのも、他には代えがたい幸せである」ということを学んだという中條さん。

マクロビオティックのデザート 　食物アレルギーを持つ子供たちが食べられるお菓子は、当時なんとも寂しい感じのものが多く、これしか食べられないから我慢して食べている感じを、とても残念に思っていた中條さん。そんな子供たちが、目をパチクリとびっくりさせて店のケーキを食べる姿は、何とも嬉しい光景でした。
　「おいしい！お母さんも食べて！ね、美味しいでしょ！？」自分の食べるお菓子を、誰かに自慢できること。そんな経験も自信につながるようで、「これなら○○ちゃんも美味しいって一緒にケーキを食べてくれるよ♪」そんな会話を耳にしたとき、初めてそんな想いを抱いてこの子たちは食べるということと常に向き合っているのだと知ったそうです。