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Vol.8 篠塚恭一さん
「旅で心も身体も元気に・笑顔になれる」お手伝いを…

  • 2006年12月1日

Vol.8 「旅で心も身体も元気に・笑顔になれる」お手伝いを…

篠塚恭一さん

あ・える倶楽部がめざすもの−旅して、人生、楽しもう!

 篠塚さんの介護旅行を支えるもう一つの柱として「あ・える倶楽部」という活動がある。これは、「アクティブ・ アンド・エンジョイ ライフ(Active & Enjoy−Life)」の頭文字三つをとって、“A'EL(あ・える)” 倶楽部とし て名づけたものである。そして、この言葉には、「いい旅にあえる、いい人にであえる、いい人生にであえる」と いう意味が込められているという。お客様とその旅をサポートする人たちが交流できる様々な機会の提供をめざ した会員組織となっている。

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唱歌ふるさとの生地で皆と歌いたい

 篠塚さんが提唱するもう一つの言葉として、「旅はリハビリ」がある。これは、“自然の中で新鮮な空気を吸 うだけでも、心はリフレッシュするし、元気をもらうこ とができる。さらに、人との出会いや新しい刺激を受け ることで、その人のQOL(人生の質)が高まるきっか けになる。そして、まだまだ旅ができるという意欲は、 生きる自信を培うことになる” というものである。また、 これはお客様だけではなく、旅をサポートするトラベル ヘルパーにも同様の効果があるという。介護旅行では、 ひとりのお客様に一定期間付き添い同じ時間をすごすた め、その関わりには深さが出て、ケアする側にもあたた かい人間味のあるサービスが生まれやすいという。

支えてくれてありがとう、支える機会をありがとう…

 あ・える倶楽部のもとには、サービスを利用したお客様からの様々な手紙やFAXが届く。そこには、旅する ことで得られた新たな自信や希望、人の人との触れ合いが生むあたたかさと感動の記憶、そして、深い感謝の気 持ちが綴られている。

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89歳のお客様とハワイで
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心優しい息子家族の呼び寄せ旅行

 「余り兆候は無かったけれど“奇跡の泉” まで連れて 行ってくれ、飲ませてくれた妻の優しさと涙は、又少し(夫 婦の)距離が近くなった感じで感動でした。・・・手助 けいただいた多くの人達に感謝一杯です。」

 「7年前、父が脳内出血で倒れてから、父をアメリカに 招待することをあきらめいたのですが、今回皆様のご協 力を得て、遂に念願かなって父を招待することができ、 本当に心より感謝しております。皆様のおかげで、父と のかけがえのない思い出を作ることができました。」

 このような手紙に対し、篠塚さんは、感謝の言葉をい いたいのは、実はトラベルヘルパーの方だと語る。トラ ベルヘルパーを希望する人の多くは「人の役に立ちたい、 喜ばれる仕事をしたい」ということでこの仕事を始める。 しかし、現場に出てお客様と過ごしてみると、実は自分 たちがお客様に提供しているものよりも、お客様から与 えられているものの多さに気がつくというのだ。篠塚さ んはさらに、「“人を支える” という行為によって、実は、 “自分が支えられる” のです。人というのは、一人では成 り立たない。漢字の「人」という字、二人の人が支えあっ ている姿を表しているとおりです。支える人と支えられ る人の両方がいてはじめて私たち個人はその存在を確認 することができるのではないでしょうか。」

■取材後記

10 年前、初めて「介護旅行」という言葉を耳にしたとき、“私にはちょっと関係ない” と思った。 それはたぶん、私の中に介護旅行=年を取ること、誰かのお世話になること、制約の多い旅行というマイナ スのイメージが存在したからだと思う。しかし、篠塚さんへの取材を終えた今、“年を取るからこそ、人の サポートが必要だからこそ、見えるもの、もらえる喜びがあるし、人にわけ与えることができるものもある のだ” という新しい考え方に出会えた。現在のこの時間を笑顔でハッピィに過ごすために重要なのは、年齢 でもなく、健康であるとか無いとかでもない。重要なのは、人生を前向きに楽しもうという姿勢であり、楽 しみや大変さを共有できる仲間や連れがいるということである。そして、なによりも、お互いがお互いをそっ と思いやる心なのだと思った。

■メギィ・ハシサコバ(ペンネーム)

大学で観光学を専攻。卒業後、地域・観光計画のコンサルタントとして、国内・海外の地域づくりや観光地 づくりのプロジェクトに携わる。旅が好き、ホテルが好き、人との出会いが好き・・・ということが高じ、 近年は年間8ヶ月以上を海外で過ごしている。現在、本業のコンサル業とは別に、スリランカをフィールド とした“立ち止まるための旅”づくりに挑戦中。

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