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Vol.8 篠塚恭一さん
「旅で心も身体も元気に・笑顔になれる」お手伝いを…

  • 2006年12月1日

Vol.8 「旅で心も身体も元気に・笑顔になれる」お手伝いを…

篠塚恭一さん

篠塚恭一さん

Profile
1961 年千葉県生まれ。
大手旅行会社の添乗員を経て、旅行専門の人材派遣会社に勤務。
企画担当した海外人材派遣の現地ガイドとしてカナダに在住。
帰国後、91 年に旅行会社へ添乗員派遣などを行う(株)SPI を設立。
95年頃から、当時はまだ大手旅行会社が消極的であった高齢者や障害者向けの旅行サービスをスタート。
98年、高齢者とその旅を支える人々が集うことができる場として「あ・える倶楽部」を設立し、旅を喜びとする全ての高齢者を支えるための本格的な介護旅行サービス事業を始動。
現在も、さまざまな挑戦を重ねながら元気&笑顔になれる旅をサポートし続ける介護旅行のパイオニア。

 

「人生は旅」とはよくいわれる。幾つになっても、どんな境遇でも「旅」は人生に励ましをくれる。
世界に類を見ない速度で進む高齢化社会で、高齢者や要介護者が安心して又サポート受けながら楽しく「旅」 ができる仕組みに取り組む企業がある。

 

“介護旅行” を支える旅行サービスの提供こそが自分たちの使命

 「どんなに好きな旅行でも、いつか自分の荷物が持てなくなったら、あきらめないとね…」と、添乗員時代から長 い付き合いがある80 過ぎのお客様が呟いた一言が、篠塚さんを高齢者向けのトラベル・サポート・ビジネスに 向かわせる大きなきっかけとなったという。

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 “急速な高齢化の進行で旅行業界におけるシニア市場 が拡大している一方で、健康に不安を抱えたシニア層 を対象とするサービスは不足している”・・・経営者に なってからもお客様のリクエストで時折添乗に出てい た篠塚さんは、年齢を重ね団体旅行に参加できなく なったお客様の受け皿となる旅行サービスが、業界の 中に欠落しているということを現場で実感していた。

 今までのような元気な旅行者向けの添乗だけではな く、お客様一人一人の状況に合わせた、もう一歩踏み 込んだサービスを提供したいという想いから、まずは 障害を持った人の旅をサポートするサービスや技術を 学ぶために、国内や海外の福祉施設や作業所を見学し、 専門家や障害を持つ人々とともに議論を重ねたとい う。このような地道な積み重ねを行う過程で、篠塚さ んの中に「介護旅行」という新しい概念で楽しむ旅が 生まれ、97 年から具体的な仕組みづくりを始めた。

 当初は介護業務のほか、旅に関するバリアフリー情 報の提供、旅行中に必要な医療的サービスの手配など も行う“バリアフリー旅行“全般を扱っていた。しかし、 自社の長所を活かすには、高齢者サービスに事業を特 化し、加齢とともに徐々に身体が不自由となり、不安 を覚えるようになった高齢者が、安心して外出や旅を 楽しむことを可能とする旅のサポートができる専門家 集団を育成し、必要に応じて派遣するという“介護旅 行サービス” をはじめることになった。

介護旅行を支えるプロ集団“トラベルヘルパーの誕生”

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 篠塚さんは、いくつもの新しい言葉や概念を生み出し てきている。その中のひとつに、“トラベルヘルパー” と いう言葉(概念)がある。このトラベルヘルパーとは、 介護旅行を様々な側面から支える専門性を持った人材で あり、その役割は 1.旅先へ同行してケアサービスを担 当する人、2.介護・旅行の専門知識をもち旅行者の相談に 応じた旅行日程を作成したり、予約や手配を行う人、3.旅 行前にそれぞれの想いをこめた旅行計画を立てる手助け をしたり、旅行後には後片付けや思い出のアルバムづく りなどをサポートするといった、旅の準備やフォローを 担当する人、などがある。トラベルヘルパーは、長期・ 短期の海外・国内旅行はもちろん、たとえば“大好きな 歌舞伎をみにいきたい” とか“陶芸教室に通いたい” といっ た高齢者の身近な外出支援も行っている。

 2006 年3月、介護旅行の質の向上とサービスの標準 化に欠かせないトラベルヘルパー育成の場として「特定 非営利活動法人日本トラベルヘルパー協会」を設立。介 護・医療関係機関と協力して、現場の担い手の育成に力 を入れている。ここでは、一般的な旅行に比べて人件費 などかかるために高くなってしまう旅行費用の軽減と、気軽に利用できるという利便性を高めるために、日本の各地域で活動する現地トラベルヘルパーの育成をめざしており、E-ラーニングといった遠隔教育にも取り組み始めている。

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NPO 勉強会

 「旅と介護の技術をもち、かつ、ホスピタリティ精神も兼ね備えたプロを育てることは簡単なことではありません。でも、誰かがやらなければ、お客様にあきらめてもらうという状況が続きます。だから、そのことに気づいてしまった私たちがやらなければならないのです。」という篠塚さんの会社に現在登録するトラベルヘルパーの数は340人。また、介護の資格はないが、ちょっとした外出をサポートするジュニア・トラベルヘルパーとして約120人が全国から登録している。「何らかのサポートを必要とする高齢者がいる一方で、喜んでもらえることをしたいという若者が少なくありません。この国もまだまだ捨てたものではないですよ。」トラベルヘルパーをめざし、エスピーアイの扉をたたく人は毎年増加している。

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