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第20回 バレエダンサー / 小口邦明さん
バレエ人気の原点は・・・

  • 2009年9月3日
小口邦明さん

バレエダンサー / 小口邦明さん

Profile
1987年生まれ。8歳の時、東京への引越をきっかけに森利子バレエ研究所にてバレエを始める。2004年大谷哲章バレエスタジオアプロンに入所。2005年よりロシア国立ワガノワバレエアカデミーに留学、夏休みを除く2年間をサンクトペテルブルグで過ごす。2007年7月に帰国。2008年3月、新国立劇場バレエ団のオーディションを受け合格。5月から公演に参加し、9月から正式に契約ダンサーとなり、現在に至る。

 

スターはここから誕生するといわれるロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー
スターはここから誕生するといわれるロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー
 今、「大人のバレエ」ブームといわれ、最近のバレエスタジオでは、大人から始める初心者クラスが数多く開講されています。バレエはシェイプアップ効果もあり美容と健康のためにと、とりわけスポーツクラブでのバレエクラスは、大人の女性だけでなく男性の数も増えています。
 さて、今回ご紹介する小口邦明さんは、世界の最高峰に位置するロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーに留学。ワガノワ・バレエ・アカデミーといえば、バリシニコフ、ルジマートフ、ヴィシニョーワ など世界的なダンサーや振付家を数多く輩出してきた歴史あるバレエ学校です。現在約350人の生徒が学んでいますが、毎年4000名を超える志願者の中から厳しい審査を経てわずか60名ほどが入学を許可されます。

バレエ界のトップランナーを目指してロシアへ

クラシック・バレエの最高峰といわれるワガノワ・バレエ・アカデミーの留学生オーディションが、1996年から栃木県で開催されており、1996年の第1回から2008年までに合計74名の方が合格されています。その中のお一人が小口邦明さんですが、オーディションは、さぞかし厳しかったでしょうね。サンクトペテルブルクでの生活はどんなでしたか?

絵の市場にはバレエの絵や写真が…
絵の市場にはバレエの絵や写真が…
川と運河が多いサンクトペテルブルク、凍った運河の上で
川と運河が多いサンクトペテルブルク、凍った運河の上で
 当時、バレエスタジオに教えに来ていたゲスト講師に勧められ、それまで無流派に等しい状態だったので、何か一つちゃんと学びたいと思い、高校を卒業してからオーディションを受け、18歳から20歳まで2年間行っていました。

 覚悟はしていましたがサンクトペテルブルグは寒かったです。学校は9月からなのですが、涼しいうちに冬の支度をする、というのが最初のやるべきことでした。特に靴とコートはいいものを揃えられるように友人とスーパーの裏にある市場に行きました。むこうは、スーパーやコンビニの店員は働きぶりと給料が関係ないので日本よりかなり無愛想でしたが、市場の人は売り上げがそのまま儲けになるからか接客態度も丁寧で、その温度差にびっくりしました。
 本格的に寒くなるのは11月頃からで、その頃から室内のほぼ全ての部屋に暖房が入ります。むこうの暖房は基本的にはお湯を24時間循環させるタイプで、4〜5月までトラブルでもない限り途絶えることはありません。ですから外はものすごく寒いのに買い物先に着いたり寮に帰って来ると、逆に日本よりも暑くてよく汗をかきました。でも外の寒さはやっぱりすごくて、気温がいちばん下がる1〜2月頃になると川が凍ります。凍った川の上も楽々歩けるくらいで、スーパーに行くのに少し近道になったりしました。現地の人も犬の散歩コースにしているのを見たことがあります。さすがだなと思ったのは昔からの習慣なのか雪などに対する対応が早くて、すぐ雪かきをしたり雪を溶かすための何か粉のようなものをまいたりして対策をしていました。


270年余の歴史を誇る名門ワガノワ・バレエ・アカデミーは、トップダンサーを生み続けるスターの宝庫ともいわれています。「ただ踊るだけでなく、踊りを通じて人間の内面的な美しさを磨く」といった全人教育が行われていると聞いていますが、どんな学校生活でしたか?

1860 年にオープンの歴史あるマリインスキー劇場
1860年にオープンの歴史あるマリインスキー劇場
 学校生活は基本的に午前中にクラシックのレッスンをして、休憩の後、バリエーションのクラスやキャラクター、演劇の授業があり、さらに留学生のための演目指導があってだいたい夕方5時〜7時くらいで学校の一日が終わります。お昼の休憩では学校の食堂で食事もとれて、黒パンという独特なパンやスープ、何かしらのタンパク質とサラダなど、各自、好きなように昼食をとることができました。なかにはリンゴ一個だけもらって帰っていく女の子もいましたが…。
 学校が終わると寮に帰って休むなり買い物に出かけるなど自由に出来ましたが、学校(授業)がしんどくて遊びに行ったりすることはほとんどありませんでした。寮での日課は洗濯と夕飯の支度くらい、生活がシンプルだったのでその分バレエに集中することができたと思います。

 日本との違いを一番感じたのは、学校もそうですがやっぱり舞台です。サンクトペテルブルグにはマリインスキー劇場という大きな劇場があるのですが演目のスケジュールが学校に張り出されていて、学生は学生証の提示だけで日本円にして500円弱、舞台によっては無料で観劇することができます。一般の席でも2〜3千円で十分良い席で観ることができます。一般のお客さんの量、舞台の質、空気感の違いを肌で感じました。


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