サイト内
ウェブ

まだ、旅の恥はかき捨てなの? 海外旅行の前におさえたい各国のマナー&習慣

  • 2017年4月27日
  • ライフハッカー[日本版]


JTBの調査によると、2017年のゴールデンウィークに海外へ出かける人は、59.5万人と推計されています。

過去最高に迫るほど多くの日本人が海外へ旅立つわけですが、そうした日本人旅行者へ向けて「海外旅行をよりリアルに楽しむためにも、訪れた国や地域の歴史・文化に根ざしたマナーや習慣を実践してみましょう」と語るのは、30年の客室乗務員経験を持ち、現在はマナー講師としてグローバルな人材を育成している、橋本文香(はしもと・ふみか)さん。

そこで、ゴールデンウィーク前におさえておきたい人気渡航先のマナーや習慣などについて、橋本さんに話を聞いてみました。

橋本文香(はしもと・ふみか)/日本マナー・プロトコール協会認定講師
日本航空の客室乗務員、訓練所教官として30年間に渡り勤務。退職後、観光専門学校の学科長などを歴任し、エアライン業界に多くの人材を輩出。現在はマナー講師として学校や企業で講座、研修を行い、グローバルな人材の育成に力を注いでいる。


マナーは、歴史や文化、宗教の「違い」であって、「間違い」ではない


橋本さん:「日本での当たり前が、海外では通用しない」、海外旅行へ行ったことのある人なら、そんな思いを一度は経験したことがあるのではないでしょうか。マナーや習慣は、その国や地域の歴史・文化・宗教などを背景に根付いているものです。日本語と外国語には表現の違いがありますが、どちらも間違いではありません。それは、マナーも同じです。

訪問先の当たり前=マナーなので、それを覚えて実践することは、旅先での時間をより豊かにしてくれるだけでなく、トラブルを回避することにもつながります。

日本と海外の国を比べたときに、マナーの違いを最も感じるのが、食事のマナーです。


食器を手に持って食べるのはマナー違反

日本では「箸」だけで料理を食べるのが一般的で、古くはお膳で食事をしていたので、こぼさないためにも食器を手で持つことが当たり前。しかし、アジア圏を含め、世界の大半ではグラス以外の食器を手で持つのは不作法で、マナー違反になります。また、飲み物をついでもらうときも、グラスはテーブルの上に置いたままにします。


ヌードルハラスメントには、要注意

ラーメンなど、麺類をズルズルと音を立てて食べるのは、日本では当たり前ですが、最近は「ヌードルハラスメント」という言葉があるように、海外では周囲の人たちに不快感を与えることになります。現地の日本料理店ではよいかもしれませんが、中華料理の麺類、ベトナム料理のフォーであっても音を立てないようにいただきましょう。特にフランスは、食べることに人生の豊かさを求めているお国柄で、音には敏感です。レストランでは、ナイフやフォークでカチャカチャと音を立てないように注意が必要です。


フランス、イギリス、アメリカでの微妙な違い

テーブルマナーは、フランスが世界のスタンダードと言われていますが、欧米でも国によって違いがあり、必ずしもフランス式が正しいというわけではありません。

たとえば、ナイフとフォークの使い方。アメリカでは、お肉を一口サイズに全部切ってから食べてもOK。同様に、ナイフとフォークを持ち替えてもよいのはフランスとアメリカですが、イギリスではNGです。

また、フランスでは、食事中はテーブルの上に手を出しておかなければいけませんが、アメリカでは、使わない手は膝の上に置いた方が良いとされることもあるようです。

橋本さん:いずれも、ローカルのレストランでは、そこまで気にすることはないかもしれませんが、店内の人たちの様子を見て、あなたもそのように実践してみてください。せっかく、おいしい料理をいただいているわけですから、その国の文化や習慣、その場の雰囲気を一緒に楽しむことは貴重な経験になるはずです。


相手をガッカリさせない、ボディーランゲージ


橋本さん:マナーは、自分が恥をかかないためではなく、相手に不快感を与えない、ガッカリさせないために行うものです。また、文化・風習によりボディーランゲージも日本とは違いがあるので、自分の意図を誤解されないためにも確認しておくと良いでしょう。


日本の招き猫と、外国人用の招き猫は、手のひらの向きが違う

日本では、手のひらを下にして「こっちへ来て」と招きますが、海外では「あっちへ行け」のサインになります。では、海外ではどうしているかというと、日本でクルマを誘導する際の「バックオーライ」のように、手のひらを上にして招きます。最近では、外国人用のおみやげに、手のひらを上にした招き猫も販売されています。このように、メッセージがまったく逆に伝わることもあるので覚えておきたいですね。


ピースサインは、国によって意味が大違い

写真を撮るときのポーズで1番多いのが、ピースサイン。日本やアメリカでは平和、イギリスでは勝利を意味するので問題ありません。でも、ギリシャでは、「くたばれ!」というメッセージになるので気をつけましょう。犯罪者に2本の指でモノを投げたことに由来しているようです。

また、手の甲を見せるピースサイン=裏ピース。日本では小顔に見せたいときに、顔の近くですることもあるようですが、このポーズは要注意です。たとえば、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドなど英連邦では、中指を立てるのと同じように、最大の侮辱を表す意味で、アメリカや欧州では性的な表現になります。もし、2個や2人と伝えるときも、必ず手のひらを見せるようにしてください。

橋本さん:世界的に人気のイギリス人アーティストグループが、日本の歌番組に出演した際に、日本人出演者が「あなたたちのファンです」と裏ピースをしておどけて見せましたが、イギリス人のメンバーたちは、表情が凍り付いてしまいました。ボディーランゲージを含め、マナーを知らなかったでは済まされない場合もあるので、「知識を身につけること」「してはいけないことを覚える」ことも重要です。



習慣の違いを覚えると、旅先での行動もスマートに楽しめる


橋本さん:日本では、エスカレーターに乗るときに、関東では左側に立ち、関西では右側に立つ人が多いようですが、ロンドンのエスカレーターに「Stand on the right」の表示があるように、現地なりのルールがあります。知っていれば戸惑うこともなく、誰かに迷惑をかけることもありません。そこで、日本とは違う主な習慣の違いをご紹介します。


お辞儀をするのは日本人だけ? 海外では「ハロー」でOK

海外のお店で店員が「ハロー」と言っているのに、日本人は恥ずかしいのか、英語が話せないコンプレックスなのか、声を出さずに目を背けてしまう人がいます。また、エレベーターの中で、外国人からアイコンタクトでニコっとされて驚くこともあります。でも、そんなときは、「ハロー」と口に出したり、ニコッと返したりしましょう。いずれも、"私はあなたに危害を加えませんよ"という意味が込められているわけですから。

また、お辞儀は日本独特のあいさつです。宗教によっては神様以外にお辞儀をする習慣がない場合もあるので、礼儀としてのあいさつは、握手や現地の言葉で交わす方が良いでしょう。


自動ドアのタクシーは日本だけ。閉め忘れに要注意

言われて思い出す海外の習慣はいくつもあります。なかでもタクシーを利用するときに気をつけたいのが、乗降の際のドアの開け閉めです。また、ロンドンのタクシー、ブラックキャブを利用する際は、乗る前に運転手へ行き先を告げて、了解を得てから乗り込み、到着後はタクシーから降りて料金を支払うのがマナーなので忘れずに。


中国では緑の帽子はタブー。タイでは頭をさわるのがNG

日本の宅配会社が中国に進出した際に、ユニフォームの緑色の帽子をグレーに変更しました。なぜかと言うと、諸説ありますが、「妻が不貞を働いた夫は、緑の帽子をかぶる」という歴史的背景があったからです。これが今でも受け継がれているので、中国を訪れる際は、緑色の帽子はタブーだと覚えておきましょう。

また、旅行とはあまり関係ありませんが、中国、香港、シンガポールなどでは、置き時計や傘をプレゼントするのは禁物です。中国語で置き時計や目覚まし時計のことを「鐘」と言いますが、この発音が「終」の発音と同じで、「死を告げる」という意味に結びつくからです。同じように、傘や扇子も「別れる、離れる」という発音に似ているので、プレゼントにはふさわしくありません。

タイは上座部仏教で、頭の上には精霊が宿っているとされています。ですから、子どもの頭をなでるのは禁物です。また、僧侶は庶民からリスペクトされているので、バスなどでは僧侶優先席があるくらいです。ただ、女性が僧侶にさわると、その僧侶は修行をやり直さなくてはいけません。むやみにさわることはないと思いますが、覚えておきましょう。


日本では想像がつかない、法律や罰金制度は渡航前にチェック


橋本さん:日本でも同じですが、海外でもマナーとして守れないことを法律や条令で厳しく処することがあります。ここでは、日本人が気をつけるべき事例を挙げてみました。


アメリカでは、お酒の取り扱いに細心の注意が必要

アメリカでは、屋外でお酒を飲むことが禁止されていることはご存じかもしれませんが、お酒にまつわるNGはほかにもあります。たとえば、ワインなどのお酒をボトルのままで持ち歩いていると罰金を科せられます。袋に入れて持ち歩けば問題ありませんが、その状態で飲んだり、お酒をそのままクルマの助手席に置くだけでも罰金の対象です。さらにひどい場合は、理由も聞かずに逮捕されて、事情聴取後に罰金を取られることもあるので気をつけましょう。

また、連邦法に規定されていないことは、各州の州法が基本になるので、飲酒に関するルールも州によって異なります。宗教上の理由でお酒を飲まない人が多いユタ州では、お酒を販売する曜日が決まっています。時間帯によってお酒の販売が禁止されている州もあるので、お酒のルールを含め、事前にガイドブックなどで調べておくのが良いでしょう。 


横断歩道以外で、道路を横切ると罰金に

アメリカでは、横断歩道以外の場所で道路を横切ったり、横断歩道であっても信号を無視することを「ジェイ・ウォーク」と呼び、罰金の対象となります。駐車禁止と同じで、警察官などに見られていなければ、おとがめはありません。日本では、歩行者が交通違反で罰金を科せられるケースはめったに無いので、気にしない人が多いようですが、アメリカでは常に気をつける必要があります。


クリーンな国、シンガポールでしてはいけないこと

「ジェイ・ウォーク」はシンガポールでも罰金の対象ですが、ほかにも、チューインガムの持ち込み、ゴミのポイ捨て、タンやツバを吐くこと、公共トイレで使用後に水を流さないだけでも罰金です。日本ではついしてしまいそうなことも、処罰の対象になるので気をつけましょう。


ドイツで右手を高くかがげると犯罪行為として逮捕される

すでにご存知の方も多いと思いますが、ドイツでは右手を高くかがげる「ナチス式敬礼」のポーズをすると民衆扇動罪で逮捕され、処罰の対象になります。オーストリアでも同様の法律があります。ドイツでタクシーを止める際は、"№1"のジェスチャーのように、人差し指を伸ばして手を上げるようにしましょう。


ハワイ、オーストラリアでは、入国時の持ち込み物の事前確認が必要

ハワイでは生態系を守るために、入国時の荷物の持ち込み物に厳しいルールを設けています。たとえば、カップラーメンにはお肉のエキスが入っているので、かなりの額の罰金になります。お肉に関しては細かいルールがあるので、基本的にエキスであっても荷物に入れるのは避けましょう。ある日本人は、「梅肉」と書かれた梅干しを持ち込もうとして、税関職員に問い詰められたぐらいですから。

同様に、オーストラリアも入国時の手荷物検査が厳しいことで知られているので、事前に持ち込み禁止物を調べておくことをおすすめします。


マナーや習慣、ルールは国や地域よって異なります。私たち日本人から見れば「違い」であったり「非常識」と思えることも、それは決して「間違い」ではなく、現地では「当たり前」「常識」なのです。そのことは、私たちが日本を訪れる外国人観光客に接するときも同じです。

日本人は、知識はあっても行動に移すのが少々苦手ですが、一歩踏み込むことで、新しい経験と発見が生まれ、旅をより一層楽しいものにしてくれるはずです。ぜひ、これからの海外旅行に生かしてみたいですね。


(文/香川博人、写真/大嶋拓人)
取材協力/ NPO法人 日本マナー・プロトコール協会
Photo by Getty Images.

あわせて読みたい

キーワードからさがす

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
copyright 2017 (C) mediagene, Inc. All Rights Reserved.