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新型コロナウイルス感染症が「COVID-19」と呼ばれる理由

  • 2020年4月3日
  • ライフハッカー[日本版]

世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)など、正規の保健機関や公共政策機関はどこでも、新型コロナウイルス感染症を、合意された名称である「COVID-19」と呼んでいます。

ですが、一部にはこれを、「中国」ウイルスと呼ぶか、何か場所にちなんだ名前をつけるべきだと主張して譲らない人たちもいます。これはとんでもない話です。その理由をご説明します。

場所にちなんだ病名をつけるのは適切でない理由

これまで多くの病気には、それが発生した場所にちなんだ名前がつけられてきました。けれどもやがて、さまざまな理由から、そうするのは適切ではないということがわかってきました。

理由の1つは、正確さに欠けるケースが多いということです。1918年に大流行したインフルエンザは、多くの国々で「スペインかぜ」と呼ばれました。

スペインが発生源だったからではありません。各国政府が、戦時下にある自国で、病気がまん延していることを公にしようとしなかったからです。

そうしたなかで、スペインでは新聞が検閲されていませんでした。そのためスペインは、このインフルエンザについて詳しく報じる最初の国になったのです。

実際には、このウイルスは別の場所で発生しており、一説によるとアメリカのカンザス州が発生地と考えられています。なので、もしこのインフルエンザに発生地に忠実な名前がつけられていたら、「アメリカかぜ」や「カンザスかぜ」と呼ばれていたかもしれません。

けれども、それが事実に即していようといまいと、自分の国が病気の発生地として有名になることを望む人なんて、いないでしょう。

もしあなたが、エボラ川やジカの森の近くで暮らしているとしたら、どんな気分でしょう?

また、無分別な名前が、感染拡大に対する適切な対処を妨げるおそれもあります。1900年にサンフランシスコのチャイナタウンで疫病が大流行したとき、中国人に対する人種差別や排斥、非難が生じて、健康政策の失敗を招く一因になりました。

新型コロナウイルスに関しても、反中感情が問題になっています。けれども、誰が病気を運んでいるのかに目を向けるよりも、どうやってそれをしっかりと封じ込めるのかに目を向ける方が、はるかに効果があります。

ウイルスは、誰がどこから来たのかなんて気にしません。感染する可能性は誰にでもあるのです。

WHOでは病名に関するガイドラインも

こうした理由から、WHOは2015年、病名に関するガイドラインを発表しました。これからは、人や場所に汚名を着せたり、いたずらに不安をあおったりすることなく、適切な言葉を使って病気に名前をつけるという姿勢を明確に示したのです。

これによって病気には、症状や特徴、わかっている場合には原因にちなんだ名前がつけられることになりました。たとえば「2019年に発見されたコロナウイルス感染症」の略称である「COVID-19」のようにです。

WHOは、次のような言葉について避けるべきとしています。

次のような言葉を病名に使うのは避けるべきです。

・地名(中東呼吸器症候群[MERS]、スペインかぜ、リフトバレー熱など)

・人名(クロイツフェルト・ヤコブ病、シャーガス病など)

・動物や食べものの名前(豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ、サル痘など)

・文化や集団、産業、職業に関連する言葉(在郷軍人病[日本での呼称はレジオネラ症]など)

・過度に不安をあおる言葉(「原因不明の」「致死性」「流行性」など)

たしかに、過去にはこのようにして名づけられた病気もありました。けれども、公衆衛生の専門家たちはその過ちから学び、今ではそうしたことはもう行われなくなったのです。

2020年の今、病名に地名を入れろと叫んでいるような人は、こうした歴史があることを知らないか(そんな人には、この記事を送ってあげてください!)、外国人嫌悪の感情を意図的に刺激しようとしているかのどちらかです。

世界のリーダーたちはいま、新型コロナウイルスの罪を互いになすりつけ合っていますが、それはまったく馬鹿げています。これは、ただのウイルスなのです。真剣に受け止めて、それを本当の名前で呼びましょう。

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Image: Shutterstock

Source: NCBI, nature, WHO

Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文

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