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残業なし、夏休みは1カ月。それでも日本人より生産性が高いフィンランド人の働き方

  • 2020年2月14日
  • ライフハッカー[日本版]

働き方改革への取り組みが日本でも本格化したことで、働き方のロールモデルとされるヨーロッパの国々に熱い視線が注がれるようになっています。

その中でも、今一番ホットな国が北欧のフィンランド。

ほとんど残業はなく、有給休暇は完全消化。夏休みを1カ月はとるのに、1人あたりのGDPは日本人の約1.25倍、マクロ経済の安定・制度で世界1位。そして、世界幸福度ランキングは常に上位を占める(2018~19年は1位)という、ワークライフバランスの優等生のような国です。

人口は550万人という小国でありながら、働き方改革の実現に苦闘する日本と対照的なのはなぜなのでしょうか?

フィンランド大使館で広報を務める堀内都喜子さんの著書『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ社)をもとに、その理由を探りたいと思います。

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1. 定時に帰る後ろめたさは一切ない

Image: ESB Prifessional/Shutterstock.com

フィンランドの企業は、始業は8時と早めのところが多いのですが、終業も早く「16時半を過ぎるともうほとんど人はいなくなる」ほど。

それは一部のホワイト企業の話でなく、国民全体で共有する意識が「1日8時間、週40時間以内の勤務時間は守られるべき」とはっきりしているから。

繁忙期などで、どうしても残業が避けられない時は直属の上司の許可が必要で、上司が部下に残業を求める場合は、本人にその意思があるかを確認せねばなりません。そして、残業に費やした時間は、お金もしくは休暇として補償されます。

法律でも、今日の終業と明日の始業の間に11時間の仕事のない時間(インターバル)を設ける、週に1度は35時間の休憩をとるなど、労働者が過労に陥らないよう配慮されているのです。

日本の企業社会だと、部署内で1人だけ定時に帰ることへの後ろめたさが心理的なブレーキとなることがあります。ところが、そうした要因はフィンランドにはないのだそう。

フィンランド人は「人は人、自分は自分、規定の時間数を働いたら帰るのは当然」と考えていて、誰かの顔色をうかがう様子は見られない。どちらかといえば「私もそんな風に定時で帰りたい」と思っている人も多い。

フィンランドの友人が「大変な仕事を簡単そうにやっていたり、効率よくこなしサーッと帰るのが格好よく、できる大人の証拠」と言っていたが、まさにそういう効率のいい人が求められている。

(本書50ページより)

また、制度として認知度は高くても、日本ではあまり導入が進まない在宅勤務者の比率が高いのもフィンランド企業人の特徴で、週に1度以上の在宅勤務をしている人は約3割。

2020年1月の法改正が追い風となり、さらに在宅勤務をする人は増える見込みだそうです。

2. 効率化を徹底したワークスタイル

フィンランドの勤め人があまり残業をしないのは、仕事量が少ないからでなく、徹底した効率化の賜物のようです。たとえば、多くの企業が導入しているフリーアドレス制。

なんとなく流行っているからではなく、「他部署の人に自然に近づけたり、情報共有やコミュニケーションがとりやすくなったりというメリット」があることをきちんと意識して導入している企業が多く、オープンオフィスと個室の特長を併せ持ったハイブリッドタイプが最新のトレンド。

効率化を求めて、オフィス空間のスタイルにも変化を厭わない姿勢がフィンランドの企業にはあります。

個々の社員レベルでは、電動で高さを上下できる机を用い、立ってデスクワークにいそしむ人も多いとか。

これには、肩こりと腰痛を予防し、座りっぱなしからくる健康リスクを回避する意味もありますが、立っているほうが集中力が高まるからという理由もあります。座る派でも、「人間工学に基づいたハイスペックな椅子」を使う人が多いそうです。

3. 休憩を効果的にとることも仕事の1つ

Image: iJeab/Shutterstock.com

堀内さんによると、フィンランドでは「休憩時間をいかに効果的にとるか」がよく考えられてきた歴史があるそうです。

その一例が「タウコユンパ」。「タウコ」は休憩、「ユンパ」はエクササイズの意味で、休憩時間にエクササイズをするというもの。

友人の企業ではピラテスのインストラクターの資格を持っている社員が音頭をとって、毎日10分、簡単なエクササイズをしている。

大使館では、週に一度、スティックエクササイズと呼び、ポールを使ってストレッチをする。

プロや外部のインストラクターがいるわけでないので、自主的に声をかけたり、誰かがボランティアで号令をかけて動きを指示したりする。

(本書58~59ページより)

タウコユンパは任意参加で、気分が乗らなければしなくてもOK。ただ、5分やっただけでも気分転換になり、こった身体がほぐれるので、おすすめのライフハックだそう。

もう1つがコーヒー休憩と呼ばれるもので、法律でも労働者の権利と認められたものです。

たとえば、トラック運転手は8時間の勤務時間中に2回のコーヒー休憩が、製紙業界では1日に2回、10分ずつのコーヒー休憩の取得が可能です。

そのほかの業界でもこうした休憩は定められており、コーヒーにくわえてケーキやサンドイッチなど軽食をとる場合もあります。

さらに、勤務日に社員が皆で外に出るレクリエーションデイ、ランチと数時間の話し合いがセットになったリトリートという制度もあり、これらはスタッフが職務能力やモチベーション維持するのに役立っているそうです。

4. 業務効率と心身の健康の追求

人口が少ないフィンランドでは、男女とも少ない人数で決まった時間に最大限の結果を出すことが求められるため、長時間労働は避けつつ、効率性を追求する風土が根づいています。

その1つの表れが、「必ずしも会うことを重要視しない」こと。

どちらかというと顔合わせを重視する日本人と違い、フィンランド人は必然性もなく会うことは時間効率の観点から好まない傾向があるそうです。メールか電話で済む用件なら、それで済まそうという(日本人目線では)ドライな考えです。

同様に、書類仕事や業務プロセスをITの力で省力化するなどの工夫が得意なフィンランド人ですが、それでも限界はあるので、「常に優先順位を考え、重要度や緊急性の高いものからこなしていく」思考が身についています。

また、重要なキーワードとして挙げられるのが「ウェルビーイング」。これは、「身体的、精神的、社会的に良好な状態にある」という意味合いの概念で、職場においては、モチベーションや忠誠心などの向上も加わります。

さらには、イノベーションや創造性を生み出すにもウェルビーイングは欠かせないという認識があり、フィンランドの企業は、社員のウェルビーイング実現のために「フレックスタイムなどの柔軟な働き方、オフィス環境の改善、休憩のとり方」に注意を払っているわけです。

堀内さん自身は、フィンランド大使館職員として日本で働きながら、フィンランド的な働き方を実践しているそうです。そのため、日本の実情もよく知っており、「簡単に“日本は違うから”と諦めてほしくはない」と力説します。

日本の枠組みの中でも全体の意識が変わることで実現できることはたくさんあると信じており、それが次の世代がもっと暮らしやすくなるために必要なことだと伝えています。

本書を読んで、「フィンランドがうらやましい」で終わるのではなく、自分たちの組織・社会の発展のために役立ててみてはいかがでしょうか。

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Image: UfaBizPhoto, ESB Professional, iJeab/Shutterstock.com

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