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ライフハッカー[日本版]編集部が2017年に読んだオススメの本

  • 2017年12月29日
  • ライフハッカー[日本版]

ライフハッカー[日本版]でおなじみの「書評」ですが、年末の特別企画として、編集部が今年読んだ本の中からオススメのものを紹介します。今年発表のものから過去の名著まで、各編集部員がそれぞれの視点で今年ベストの1冊を選びました。

『ザ・ガールズ』(エマ・クライン著、堀江里美訳、早川書房)by 岸田

Push ザ・ガールズ

2,160円

1989年生まれ、刊行当時は弱冠25歳だったエマ・クラインによる、(今年獄中で死亡した)チャールズ・マンソン事件を題材としたいびつな青春小説。少女らしいサマー・オブ・ラブと承認欲求をかけあわせると、カルトな狂気になります、といったストーリーです。

50代の女性が1969年の夏の出来事を回想するという体がとられているけれど、「泣いたことを示す濡れた睫毛」といったディティール描写がやけに生々しく、語り手との距離感がしばしば狂ってしまいます。

エマ・クラインが、#MeTooのムーブメントに後押しされ自身の被害を告発した際の内容も、本作のストーリーとリンクしていて興味深いところ。

『謎床:思考が発酵する編集術』(松岡正剛・ドミニク・チェン著、晶文社)by ヨコヤマ

Push 謎床: 思考が発酵する編集術

1,944円

「Google検索で出てくる言葉にはもはやオリジナリティーがない」と、ときたま誰かがソーシャルメディアでポストしそうな言葉がよぎります。"コンピューティング全入時代"ともいえる現代において情報というものがいかにリーチしやすく、さらに雑多にアーカイブされているかはそれこそ自明です。

ではそのなかで情報はどのように生まれ、知恵はどう育ち、思考はどう育まれるのでしょうか。ネストのように編み込まれたありとあらゆる事例やエピソード、トピックスのなかからそうしたことへの問い、または問いを導き出すための発見やヒントを与えてくれるのがこの『謎床:思考が発酵する編集術』。

知の巨人とも呼ばれる、編集工学提唱者の松岡正剛氏。そして、日本におけるクリエイティブ・コモンズを立ち上げた1人で、情報工学の俊英であるドミニク・チェン氏。本作はこの2人の思考、情報、知恵が混ざり合う珠玉の対話篇です。

基本的に対話形式で構成されていることもあり、ふたりの過去やエピソードから連想ゲームのように転がっていくトピックスの展開はとても読みやすく、何気なく散りばめられた(ようにみえる)言葉に何度もハッとさせられました。トピックスはテクノロジー、メディア、アート、文化、社会、人類学、思想、哲学、歴史などなど。領域を軽々と横断していく流れはカジュアルでありながらソリッド。本当に多様な情報や事例を取り出して、対話というインプロ性のなかで生まれる思考プロセスがどんどんと混ざり合りあっていき、そこに見出される知の発見は問いに対する答えではなく、どう思考するかというヒントの数々。

また、1944年生まれでコンピューティングとの出会いは大人になってからだった松岡氏と、1990年代に十代を過ごしアーリーアダプター的にコンピューティングを行なっていたドミニク氏。そのふたりの相対が読んでいる私にも影響してくるのです。物心ついたころにはWindows 95搭載のパソコンがあり、ケータイ電話やスマートフォンの台頭を十代のうちに間近にみてきた自分。その立場からこの対話を見続けることの意味も常に感じました。

ふたりの対話に、常に読者である自分にも問いかけられているような(あるいは自身が問わねばならないような)感覚を味わい、情報を簡単に手に取り消費していく自分を自覚していきます。情報と思考と知の三つ巴のなかに、私たちはどのようにそれらに対峙していくのかを考え始めることになるはずです。

「ウェブリテラシー」という言葉は叫ばれて久しく、「ポストトゥルース」といった言葉が台頭し始めた今だからこそ、一読の価値があります。文化論としても歴史としてもテクノロジー進化論としても、あるいはアイデア発想論としてでも多くの側面で読めるもので、それらは彼らが多くのトピックスを網目のように多様な視座からシームレスにつないでいく思考プロセスがあってこそなのだと感じ、それを読む自分の思考はいかに発酵していくのか、と対峙するのです。

『ナチスのキッチン』(藤原辰史著、水声社)by 今井

Push ナチスのキッチン

17,363円

19世紀から20世紀の台所の変遷から見えるドイツの歴史。最終的に現代とナチス時代の共通性から今の時代の台所や食の在り方に警鐘をしているが、そこは少々無理やり感がある。しかし、閉鎖されているように見える家庭の台所も社会から影響を受けており、小さな工場としてとらえた視点が独特。

それを構成する要素である、台所の空間設計とデザイン、料理本、家政学、労働力である主婦などが、政治的な意向によってどう変化していったのか、象徴的な人物がたどった人生やエピソードを加えて、それぞれ分析していることが興味深い。

『ゼロからトースターを作ってみた結果』(トーマス・トウェイツ著、村井理子訳、新潮文庫)by 開發

Push ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)

810円

タイトル通りの内容で、著者のトーマス・トウェイツさんが大学院の卒業制作として、一切の既存の部品に頼らず、まったくの”ゼロ”からトースターを作ってみたプロセスをレポートした本。

どのくらいゼロからかと言うと、トースターの筐体を組む鉄を作るために鉄鉱石を採掘しに行ったり、外面をコーティングするプラスチックをつくるために原油を手に入れようとしたり、硬貨を溶かして(※違法です)発熱体に必要なニッケルを生成したり…。

生まれた時から当たり前に便利なモノに囲まれて生きてきた自分としては、今さらそれが「なぜ動いているのか」ということについて意識することは少ないし、あまりにブラックボックスになりすぎていて、到底理解できないと諦めているのが正直なところです。

でも時折、「自分はこんなにインターネットばかりしてるのに、このPCやスマホがなんで動いているのかということすら、よくわかってないな…」などと虚しくなったりもします。だからこそ本書の著者のように、ちゃんと理解しよう向き合う姿勢は尊いし、そうすることで受け身の一消費者から少しだけでも抜け出せるのではないか、と思わされた次第です。

実際にゼロからトースターを作ってみた結果、著者はどんな気づきを得たのか? とても興味深いことが本の終わりに書かれているので、ぜひ読んでいただければと思います。コミカルなトーンでさくっと読めるので、忙しい人にもオススメの1冊です。

『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』(グレッグ・マキューン著、高橋璃子訳)by 島津

Push エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

1,728円

仕事や私生活でやるべきことが多く疲弊していた頃に、この本を手に取りました。

エッセンシャル思考とは、大多数のことは不要だと考え、重要度の高いものだけに集中するという思考法。本書では「見極める」「捨てる」「仕組み化する技術」の3つをエッセンシャル思考の基本としていますが、その中でも一番ためになったのが「捨てる技術」にあった次のフレーズ。

周囲に認められたいという思いから、なんでも引き受けてしまう人は多い。だが最高の成果をあげるためには、断ることも必要だ。ピータードラッカーはこう言っている。「できる人はノーという。これは自分の仕事ではないと言えるのだ」

まさに私は「ノー」と言えない人間でしたが、本書は断る勇気が必要であることを教えてくれました。そのほかにも、心に止まるフレーズが散りばめられており、ビジネスパーソンであればぜひ読んでもらいたい1冊です。

Image: Billion Photos/shutterstock

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