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南国フィジー版「森のようちえん」自然いっぱいの日常が子どもの好奇心を刺激し想像力を育む

  • 2017年10月12日
  • ライフハッカー[日本版]

「森のようちえん」という言葉をご存じでしょうか。森や海、川といった自然の中で幼児教育を行なう運動や団体のことをいいます。

もともとはデンマークが発想の発祥地(1950年代)で、北欧やドイツ、スイスなどで非常に支持されており、ほかのヨーロッパ諸国でも広がりをみせています。

フィジーでは、特に「森のようちえん」という言葉が意識されているわけではなく、ただただ身の回りに「自然」が豊富にあるため、日常が「森のようちえん」な状態です。

先日も、近所の人たちと「森のようちえん」へ行ってきました。

移動はトラックの荷台にて Photo: 永崎裕麻

着いたら早速、ビーチ沿いで「ロボ」を作り始めます。「ロボ」とは、フィジーの伝統的な料理のこと。

地面を掘って穴をつくり、その中に焼けた石をおきます。その上に、葉やアルミホイルで包んだイモ(キャッサバやタロイモ)や豚肉、鶏肉、魚などを置き、土をかぶせて3時間ほど蒸し焼きにします。

ロボ作りの風景。さらに蒸し度があがるよう、ココナッツの殻を土の上にかぶせています。 Photo: 永崎裕麻

豚肉もスーパーで買ってくるわけではなく、生きた豚2匹を「森のようちえん」に持参。1匹の豚の屠殺は、フィジー人男性が2〜3名がかりで行ないます。まず豚の足をヒモでしばって海に引きずっていき、海に沈めて弱らせ(殺してしまうと血が抜きにくくなるそう)、頸動脈にナイフを刺し、放血死させます。次に豚の表面をあぶり焼きにし、皮を剥ぎます。そして腹を切り、内臓を取り出し、豚肉を細かく切っていきます。

子どもたちも一連の作業を見守り、皮を剥いだり、豚肉を切ったりと、自分たちができる作業は手伝っています。

これぞ「食育」。食事前に発している「いただきます」という言葉が、ただのルーティンではなく、「命をいただく」という感謝の念をもって発することができるようになります。

日本では、肉がスーパーでパックに入った状態で売られているので、元の姿が想像できない子どもがいるという話を聞きます。それに、テレビなどでも屠殺の映像が流れることはありません。もし流れたとしたら、「ウチの子がトラウマになって肉を食べられなくなったらどうしてくれるんだ!」と視聴者からクレームがくることでしょう。

一方、フィジーの子どもたちは牛や豚、鶏などの屠殺現場を見ることに慣れています。でも、それが原因で肉を食べられなくなることはありません。

人間も含めた自然界で起きていることを、子どものうちに見せておくほうがいいのかもしれませんね。大人による管理・介入が、子どもの好奇心を抑制してしまっていることもありえます。

海辺で食べるマンゴーはまた格別の美味しさ Photo: 永崎裕麻

さて、ロボを食べたあとはデザートとして、木になっているマンゴーを長い木の棒でつついて収穫。みんなでシェアして波打ち際で食べます。ただし、うちの息子だけは海で見つけたアオヒトデをかじっています(笑)。

室内での遊びだと、どこかクリエイティビティを制限してしまっているように感じますし、友達とおもちゃを取り合う光景をよく見かけます。自然の中に放り込むと、子どもたちは走り、登り、掘り、投げ、歌い、叫び、躍動します。人間もやはり自然の一部なんだなと気付かされます。

また、貝や石、枝、葉、砂、アオヒトデなど、自然の中にはおもちゃになるものが無限にあるため、子どもたちは取り合うようなことはしません。遊びをクリエイティブに発想し、協力的に楽しみます。さきほどの食育の話のように、楽しみながら学んでいます。体験とセットの学びとなるので、脳にも記憶されやすいですしね。

それに、公園や室内の遊びがメインの生活をしていると、遊具やゲームの遊び方には詳しくなっても、自分で遊びを開発するような機会が少なく、海や山、川といった、アウトドアでの遊び方が分からなくなってしまうかもしれません。

脳科学者の茂木健一郎さんは『5歳までにやっておきたい 本当にかしこい脳の育て方』という書籍において、「子どものころのドーパミン分泌量が人生の分岐点になりえる」とおっしゃっています。ドーパミンとは脳内の神経伝達物質で、嬉しいことや楽しいことがあると分泌されます。すると人は快感を得るため、また分泌されるよう、嬉しいことや楽しいことを求めてチャレンジします。茂木さんは、その循環のことを「ドーパミン・サイクル」と呼んでいます。

また、脳の80%は0〜5歳頃までに基礎が完成するので、5歳までにいかにドーパミン・サイクルをクルクルまわすかが、子育てのキーポイントの1つだそう。「森のようちえん」には、好奇心や探究心を刺激し、ワクワクやドキドキを経験させる要素が満ちあふれているのでオススメです。

フィジーでの子育ては、園舎内ではなく、自然空間で行なう機会に恵まれているので、存分にその価値を今後も活用していきたいと思います。

永崎 裕麻(ながさき・ゆうま)|Facebook

「旅・教育・自由・幸せ」を人生のキーワードとして生きる旅幸家。 2年2カ月間の世界一周後、世界幸福度ランキング1位(2011/2014/2016)のフィジー共和国へ2007年から移住し、現在11年目。現職は在フィジー語学学校(Free Bird Institute)のマネージャー。 100カ国を旅した経験を活かし、内閣府国際交流事業「世界青年の船」「東南アジア青年の船」に日本ナショナル・リーダー(2017)や教育ファシリテーター(2013)として参加、教育企画の立案、スカイプ・コーチング、旅ライターとして執筆、などの活動もしており、フィジーと日本を行き来するデュアル・ライフを実践中。関心が強い分野は「留学」「海外就職」「海外移住」「難民支援」。1977年、大阪府生まれ。神戸大学経営学部卒業。一児の父。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。

Image: 永崎裕麻

Source: 5歳までにやっておきたい 本当にかしこい脳の育て方(日本実業出版社)/ Amazon

Reference: Wikipedia

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