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福祉業界の「やりがい搾取」 月収15万円だった現役介護士の僕(5)

  • 2020年2月14日
  • レタスクラブニュース

福祉業界に多い「やりがい搾取」

2016年に大ヒットしたテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ(通称:逃げ恥)」でこんなエピソードがありました。



女優の新垣結衣さん演じる森山みくりが、商店街の作戦会議に参加し「ファーマーズ・マーケット(地域の生産者が商品を持ち寄って販売するスタイル)」の開催を提案しました。みくりが口に出す企画力や発想に、思わず商店街の人は手伝って欲しいと提案するのですが、みくりは「私に手伝えっていうのはタダですか、ノーギャラですか?」「人の善意につけ込んで労働力をタダで使おうとするのは搾取です!」といい放ちました。

このシーンを見て「日本社会の労働者への搾取の構造と同じだな」と思いました。

僕が従事している福祉業界では、この「やりがい搾取」が顕著に表れていて、無給(もしくは少ないお金)でプロのスキルを使おうとします。僕が以前派遣された介護施設では、業務の一環として、外部の研修や講演会に参加させるのが通常でした。



また、研修のために現場に欠員が出ることを恐れて、「研修や講演会は、休みの日に行ってください」と指示をして、時間外手当を出さない施設もありました。職員たちは「研修や講習は、休みの日に行くものだ」と、本気で思っていたようです。

また「スマート介護士資格」など、民間の新しい資格が登場すると、「この資格は持っておいたほうがいい」と、プロ意識を煽(あお)って、自腹で資格を取得させる施設も多くあります。



しかし、その資格を取得したところで手当てが増えることはなく、そこで得たスキルや知識を搾取する施設が多くあります。「人件費に割くお金はないけれどサービスの質を上げたい」という経営側の思惑もあり、福祉業従事者の多くは時間とお金と能力を搾取されています。



ボランティア精神で消耗する人

現状の福祉業界は各職員のボランティア精神で成り立っているといっても過言ではありません。サービス残業はお金をもらわずに労働しているのでボランティアと一緒です。本人が納得しているならよいかもしれませんが、違法なので許されるものではなく、サービス残業が嫌で仕事を辞める人は多くいます。

そして、情熱を持って施設に尽くしている人ほど、反動的にうつになり、休職や退職をしてしまうケースが多いです。しかし僕は、施設にいわれるがままサービス残業に応じてしまう職員もどうなのだろう? と疑問に思います。



強い使命感や責任感ゆえの行動かもしれませんが、それで心身を壊してしまっては元も子もありません。しっかり対価は求めるべきだし、それをしてこなかったゆえに、今も福祉業界に劣悪な労働環境が残っているのではないでしょうか?





著=深井竜次(レタスクラブニュース)

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