きれいに澄んだ琥珀色が特徴の関西だし / jun PIXTA(ピクスタ)
「食い倒れの街」といわれるほど豊かな食文化のある大阪。その根底にあるのが、昆布がベースの「関西だし」です。たこ焼きやお好み焼き、きつねうどんなど、大阪のB級グルメから高級料理まで、なくてはならない「縁の下の力持ち」のような存在です。今回は大阪が誇るだしの歴史と文化をご紹介します!
関西と関東のだしの違いは〇〇
“関西と関東でだしの味が違う”とよく耳にしますが、その違いはずばり素材。大阪で一般的にだしに使われているのは真昆布。他の種類の昆布と比べて甘みが強く、コクがあるため、濃厚なだしに仕上がるそうです。一方、関東圏ではかつお節を組み合わせただしが好まれています。
大阪でだしに使わるのは真昆布。ほかの昆布と比べて甘みが強く、コクがある / ささざわ / PIXTA(ピクスタ)
地域によるだしの味の違いは、歴史的・地理的な背景があるようです。海上交通が盛んだった江戸時代、昆布の産地である北海道から日本海を通って大阪へとつながる西まわり航路が確立すると、大阪に大量の昆布が運び込まれるようになったそう。このルートは現在では「昆布ロード」と呼ばれることもあるのだとか。
そして大阪の水は軟水で、昆布からおいしいだしをひく条件が整っていたため、昆布だしが普及したともいわれています。そこに、和歌山、高知、鹿児島で揚がるカツオを加工したカツオ節が出合い、合わせだしが生まれたそう。
「きつねうどん」の優しい味わいは、寒い冬に体を温めてくれそう / kikisorasido PIXTA(ピクスタ)
だしの味をダイレクトに楽しめる料理として、大阪府民に愛されているのが「きつねうどん」。昆布の風味豊かな温かいつゆは、寒い冬にはたまらないおいしさです。ちなみに同じ関西でも、大阪では真昆布、京都ではあっさりした利尻昆布が好まれるという違いがあるそう。ひと口に「関西だし」といっても、いろいろな種類があるようですね。
参考・出典:農林水産省Webサイト「うちの郷土料理」
だし用パックを活用して作る「簡単だし」レシピ
100均などに売っているだし用パックを使えば、だしは家庭で簡単に作れます! 食卓に豊かな彩りを与えるだしを、各ご家庭の味として受け継いでいくのもいいかもしれませんね。
また、だしを存分に味わうためのおすすめレシピ「お麩のだし煮」もご紹介します。
簡単だし汁
覚えてしまえば簡単!加熱なしで作れる「簡単だし汁」 / レシピ作成・調理:村田明彦/撮影:福尾美雪
■材料・作りやすい分量・約3カップ分
昆布(10×10cm)…1枚
削りがつお…20g
水…4カップ
■作り方
1.昆布をキッチンばさみで半分に切る。だし用パックに昆布、削りがつおを入れて口を閉じ、保存瓶に入れる。水を加え、ふたをして一晩おく。
市販のだし用パックに削りがつおと昆布を入れる / レシピ作成・調理:村田明彦/撮影:福尾美雪
●だし用パックを入れたまま、冷蔵庫で約3日間保存可能。使う前に、だし用パックを軽く絞るとむだなく使える。
お麩のだし煮
材料はお麩だけ!シンプルなのに味わい深い「お麩のだし煮」 / レシピ作成・調理:本田明子/撮影:砂原文
■材料・4人分
麩(ふ)…50g
煮汁
・だし汁…2カップ
・酒、みりん…各大さじ1
・しょうゆ…小さじ2
・塩…小さじ1/2
■作り方
1.麩は水でもどし、水けを軽く絞る。
2.鍋に煮汁の材料を入れて中火で煮立て、麩を入れてふたをし、約5分煮る。火を止め、そのままおく。
3.粗熱がとれたら、煮汁ごと清潔な保存容器に入れ、ふたをして冷蔵室で保存。食べるときに好みでおろししょうがを添える。
だし汁が体にしみわたるおいしさ / レシピ作成・調理:本田明子/撮影:砂原文
関西の食文化を支える関西だし。その豊かな風味は、たこ焼きやうどんなど、様々な料理に息づいています。今夜のごはんは、関西だしを使ったお料理で、心も体も温めてみませんか?
参考・出典:農林水産省HP「うちの郷土料理」
文=山上由利子