南鳥島沖の海底からレアアースが発見され、話題となった / (C)metamorworks/PIXTA(ピクスタ)
地球上で起きていること、どれだけ知っている?
この地球で当たり前に感じていることでも、うまく説明できないことがありますよね。例えば、「青い空が夕暮れに赤く染まるのはなぜ?」「台風が日本列島めがけてやってくる理由は?」
そんな地球に生きる私たちが知っておくべき「理系雑学」をご紹介します。太陽系を含む地球の歴史をはじめ、地球上で成立した大自然や気候、動植物、資源など、地球をめぐる大疑問にスッキリ回答!あらためて考えると、私たちはこの地球にまつわるさまざまなことを、じつはほとんど知らないのかもしれないかもしれません。
※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました。
超貴重な「レアアース」は日本にも大量にねむっている⁉
日本の経済産業省が「安定供給の確保が政策的に重要である」として指定した31種のレアメタルの中でも、希土類に属する1種類の物質は「レアアース」という呼び名で総称されている。政治・経済的な理由で決められたレアメタルとは異なり、純粋に化学的に分類された金属元素で、17種類の元素によって構成されている。
レアアースは、地球上にわずかしか存在していないが、ハイテク産業で使われる合金や触媒の添加物として重要な役割を果たす。たとえば、低環境負荷型のハイブリッド車に用いられる高性能モーターにはネオジム(元素記号はNd)やジスプロシウム(元素記号はDy)、液晶テレビの画面材料にはイリジウム(元素記号はIr)が必須である。そのほかにも、環境への負荷を減らすためのグリーンテクノロジーには不可欠な存在で、今後、さらに需要が増えるのは確実とされている。
現在、レアアースの埋蔵量は世界全体で900万トンあるが、そのうち5~9割が中国にあると推測され、生産量でも95パーセント以上を中国が独占。そのため2010年に、中国が輸出禁止措置をとった際には世界中に衝撃が走り、9割以上を中国からの輸入に頼っていた日本のハイテク産業も、大きな打撃を受けた。
こうしたリスクを回避するため、近年では日本でもレアアースの採掘が検討されている。特に、本州の南東約1800キロメートルにある南鳥島沖の海底からは、日本の国内需要の250~2000年分をまかなえる量のレアアースが発見され、話題となった。技術開発の成果によって、海底から高濃度のレアアースを回収するメドも立ってきたことから、現在、20~30年先をにらんだ開発戦略が議論され始めている。
著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』