なぜカラータイヤはないのだろう / (C)tiero/PIXTA(ピクスタ)
地球上で起きていること、どれだけ知っている?
この地球で当たり前に感じていることでも、うまく説明できないことがありますよね。例えば、「青い空が夕暮れに赤く染まるのはなぜ?」「台風が日本列島めがけてやってくる理由は?」
そんな地球に生きる私たちが知っておくべき「理系雑学」をご紹介します。太陽系を含む地球の歴史をはじめ、地球上で成立した大自然や気候、動植物、資源など、地球をめぐる大疑問にスッキリ回答!あらためて考えると、私たちはこの地球にまつわるさまざまなことを、じつはほとんど知らないのかもしれないかもしれません。
※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました。
なぜタイヤは黒色なの?黒色に秘められた秘密とは
クルマのボディカラーは色々あってカラフルなのに、タイヤの色はどれも真っ黒。色つきのタイヤがあったらボディの色に合わせたりしてお洒落も楽しめると思うのだが、なぜカラータイヤはないのだろう。
あの黒い色は、油やガスを原料とする炭素(元素記号はC)の粉であるカーボンブラックという物質。カーボンブラックは、着色剤として印刷のインキやコピー機のトナー、マスカラなどにも含まれているから聞いたことはあるだろう。
だが、これがクルマのタイヤに用いられているのは補強剤としての役目。タイヤの原材料のうち25パーセントを占めている、なくてはならない存在なのだ。
タイヤはゴムでできていて、ゴムそのものは乳白色である。かつての自動車のタイヤは白が主流だったが、1910年頃にアメリカの会社がカーボンブラックをゴムに混ぜてみたところ耐久性が飛躍的に増すことがわかり、またたく間に世界のクルマのタイヤは黒いものになったのである。もし、現代のクルマのタイヤにカーボンブラックが入っていなかったら、タイヤは消しゴムのようにボロボロ崩れ、しかも日光や外気にさらされて劣化が激しく、とても道を走ることなどできないだろう。
これまで、カラータイヤを商品化させる試みは何度もなされてきた。だが、ほかの補強剤を使ってみてもカーボンブラックに匹敵する強度のものはなく、実用に耐えうるカラータイヤはつくれないのが現状。自転車のタイヤなら黒以外のものも市販されているが、やはり黒タイヤに比べると耐久性に欠けるという。
著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』