雷から放出されるエネルギーを電力として利用しようという研究は昔から行なわれてきた / (C)カワグチツトム/PIXTA(ピクスタ)
地球上で起きていること、どれだけ知っている?
この地球で当たり前に感じていることでも、うまく説明できないことがありますよね。例えば、「青い空が夕暮れに赤く染まるのはなぜ?」「台風が日本列島めがけてやってくる理由は?」
そんな地球に生きる私たちが知っておくべき「理系雑学」をご紹介します。太陽系を含む地球の歴史をはじめ、地球上で成立した大自然や気候、動植物、資源など、地球をめぐる大疑問にスッキリ回答!あらためて考えると、私たちはこの地球にまつわるさまざまなことを、じつはほとんど知らないのかもしれないかもしれません。
※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました。
雷のエネルギーは電力として使うことができるのか
空を切り裂く稲妻、轟く雷鳴。昔から人々に恐れられてきた雷は、自然の放電現象である。このエネルギーを、電力として使うことはできないのだろうか。
じつは、雷から放出されるエネルギーを電力として利用しようという研究は昔から行なわれてきた。
落雷によるエネルギーは膨大で、雷の電圧は雷雲が高ければ大きく、低ければ小さくなるが、仮に電圧を1億ボルト、電流を20万アンペアとして計算すると、200億キロワットにもなる。
東京電力の1日の電力供給量が3850万キロワットだとすると、単純計算で1.4年分。新たな発電エネルギーとして期待がふくらむ。
日本では、「雷都」と呼ばれる栃木県宇都宮市をはじめとする北関東が、雷が多いことで有名だし、南米ベネズエラのマラカイボ湖は、世界一雷の多い場所としてギネスブックにも登録されており、1年間に120万本もの稲妻が走るという。落雷は世界中のどこでも起こっていることを考えれば、たとえば避雷針を立ててこれを集めて電力にすることができれば、エネルギー問題解決の一助となるはずだ。
だが、これを実現するのは難しい。
まず、落雷はいつどこで起きるか予測不可能だし、雷電流は瞬間的でおよそ1万分の1秒しか続かず、現在のところ安定した電力とすることはできない。効率や安全性の面でも問題が多過ぎるのだ。
蓄電技術の開発は各方面で進められているが、電気は蓄電池やコンデンサなどにためることはできても、巨大エネルギーには適さないというのが現状である。
著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』